最近、デスク周りをスッキリさせたい人や、出張・在宅ワークの両立をしたい人の間で「ミニPC」が急速に人気を集めています。見た目は小さくても、中身はかなりパワフル。
でも、実際どれくらいの性能があるのか気になりますよね。この記事では、CPU性能やグラフィック性能といったベンチマークの観点から、ミニPCの実力を徹底的に掘り下げていきます。
ミニPCとは?進化した小型PCの今
「ミニPC」とは、その名の通り小型化されたデスクトップPCのこと。手のひらサイズから本のような厚さのモデルまであり、一般的なデスクトップと比べて体積が1/10以下というものも珍しくありません。
昔のミニPCは「省スペースだけど性能はいまいち」というイメージが強かったのですが、近年は状況が一変。ノートPC向けの高性能CPUや、AMD・Intelの最新APUを採用することで、驚くほどのパフォーマンスを発揮するモデルが増えています。
たとえば、Ryzen 7 7840HSやCore Ultra 7 155Hを搭載したモデルは、Geekbenchなどのベンチマークでもマルチコア1万点を超えるスコアを叩き出しています。これだけの数値なら、写真編集や動画エンコードなど、クリエイティブ用途にも十分対応可能です。
さらに、冷却技術の進化も目覚ましく、ファンレスや静音設計でも安定動作を維持できるモデルが増えています。まさに「小型なのに本格派」。これが今のミニPCのトレンドです。
CPU性能をベンチマークで比較
ミニPCの心臓部となるのがCPU。性能を比較する際によく使われるベンチマークは、CinebenchやGeekbenchなどです。
CinebenchではCPUの純粋な処理性能を、Geekbenchでは日常的なアプリ操作に近い環境でのパフォーマンスを測定します。
たとえば、Ryzen 9 8945HSを搭載したミニPCでは、Cinebench R23でマルチスコア14,000前後、シングルスコア1,800程度。
Intel Core Ultra 7 155Hを搭載したモデルでは、マルチ11,000〜12,000点ほどの数値を記録しています。
このクラスのCPUなら、4K動画編集や3Dモデリングなどの重い処理にも十分対応できるレベルです。しかもデスクトップ向けCPUのような大きな冷却システムを必要とせず、省電力で動作します。
一方、ミニPCの中にはCeleronやPentiumを搭載した低価格モデルもあり、こちらはベンチマークで2,000〜3,000点程度。ブラウジングや文書作成、動画視聴などの軽作業に向いています。
つまり、「どんな用途に使いたいか」で必要なベンチマークの基準が大きく変わるのです。
グラフィック性能をベンチマークで検証
ミニPCのグラフィック性能は、iGPU(内蔵GPU)かdGPU(独立GPU)かによって大きく異なります。
最近注目されているのが、AMDのRadeon 780MやIntel Arcシリーズなど、強力なiGPUを備えたモデル。これらは3DMark Fire Strikeで4,000〜6,000点を記録するなど、軽いゲームや動画編集も快適にこなせるレベルです。
実際、フルHD解像度で「フォートナイト」「VALORANT」などを中設定で60fps前後でプレイできるという実測レビューも増えています。
一方で、ゲーミング用途を重視するなら、外部GPUを搭載したハイエンドモデルも要チェック。
たとえば、RX 7600M XTを搭載したミニPCでは、Time Spyスコアが10,000を超え、AAAタイトルも高設定で快適に動作します。
ただし、筐体が小さい分だけ熱がこもりやすく、長時間の高負荷ではクロックが下がるケースもあるため、冷却性能の良し悪しも重要な比較ポイントです。
ストレージとメモリの実力
CPUやGPUと同じくらい重要なのが、ストレージとメモリです。ミニPCの多くはNVMe SSDを採用しており、読み込み速度5,000MB/s超えという高速なモデルも珍しくありません。
このスピードがあることで、OS起動やアプリの立ち上げ、動画編集時のキャッシュ処理が圧倒的に快適になります。
また、メモリは16GBが標準化しつつあり、上位機では32GB・DDR5対応のものも。メモリの増設が可能かどうかも、選ぶ際の重要なポイントです。
さらに、M.2スロットの空きがあるモデルならSSDを追加でき、ストレージ拡張も簡単。Thunderbolt 4やUSB4を搭載したモデルなら、外付けGPUや高速外部SSDも接続できます。
コンパクトながらも拡張性をしっかり確保しているのが、最近のミニPCの魅力です。
実使用で見えてくる冷却と静音の違い
ミニPCでよく話題になるのが「熱」と「音」。
どんなに高性能なCPUやGPUを積んでいても、熱でクロックが下がれば性能は発揮できません。
レビューを見ると、冷却システムに余裕のあるモデルは、長時間ベンチマークを回しても性能低下がほとんどありません。逆に、筐体の小さいモデルでは30分程度で5〜10%ほどパフォーマンスが落ちることもあります。
ファンノイズについては、最近のミニPCはかなり静かです。
アイドル時は20〜25dBほどで、ほぼ無音。高負荷時でも40dB前後に抑えられているモデルが多く、動画編集や配信中でも気にならないレベルです。
つまり、性能と静音のバランスがとれたモデルを選ぶことで、小さくても快適な作業環境が手に入るというわけです。
用途別に見るミニPCのベンチマーク目安
目的に合わせて、どの程度のベンチマークスコアを目安にすべきか整理しておきましょう。
- オフィス・軽作業向け
Geekbenchマルチ 5,000〜8,000点程度。
Webブラウズや資料作成、動画視聴中心なら十分。 - クリエイター・編集向け
Cinebenchマルチ 10,000点以上、Fire Strike Graphics 4,000点前後。
4K動画編集やRAW現像もスムーズ。 - ゲーミング・3D用途向け
Time Spy Graphics 8,000点以上。
ディスクリートGPU搭載モデルを推奨。
このように、ベンチマークは「使い方」を基準に見ていくと、必要な性能が明確になります。
ミニPC選びで後悔しないためのポイント
性能だけでなく、ミニPCには見落としがちな注意点もあります。
- 拡張性を確認すること
一部のモデルではメモリやSSDがオンボード(取り外し不可)になっていることがあります。将来的に容量を増やすなら、交換可能か確認を。 - 冷却構造と吸気口の位置
設置場所が悪いと熱がこもりやすくなります。通気性を確保することも性能維持のポイント。 - 電源アダプターの容量
高性能CPUやdGPUを積んでいるのに電源が貧弱だと、最大性能が出ません。90W以上を推奨するモデルもあります。 - 価格とコスパのバランス
コンパクトな設計はコストがかかるため、同等性能のデスクトップより高くなる傾向があります。必要な性能と価格のバランスを見極めましょう。
こうした点を押さえることで、ミニPCの魅力を最大限に引き出せます。
ミニPCの未来とベンチマークの重要性
今後のミニPC市場は、さらなる高性能化と省電力化が進むと予想されています。
AMDの新世代APU「Ryzen AI」や、Intelの「Core Ultra 200シリーズ」など、AI処理を意識したチップも続々登場。
これにより、iGPU性能はさらに向上し、外付けGPUなしでも動画編集や中程度の3Dゲームが楽しめる時代が来つつあります。
また、Wi-Fi 7や2.5GbE対応、Thunderbolt 5対応など、周辺機能の進化も進んでおり、「小型PC=妥協」という時代は終わりました。
これからミニPCを選ぶなら、ベンチマークの数値をしっかり確認しつつ、冷却設計や拡張性も含めてトータルで判断するのがベストです。
まとめ|ミニPCのベンチマーク比較で自分に合った1台を見つけよう
ミニPCのベンチマーク比較を通じて見えてきたのは、「小さくても性能は本格派」という事実。
CPU性能ではマルチ1万点超えが当たり前になり、グラフィック性能でも軽いゲームや動画編集がこなせるレベルに達しています。
もちろん、筐体サイズの制約や熱の問題など、注意すべき点もありますが、それを踏まえて選べばコスパの高い1台が見つかります。
最後にもう一度――
ミニPCのベンチマーク比較!CPU性能・グラフィック性能を徹底検証。
数値だけでなく、使い方や環境まで見据えた「あなたにぴったりのミニPC選び」を、今日から始めてみてください。
