最近、ミニPCを使って自宅に「NAS(ネットワークストレージ)」を構築する人が増えています。
コンパクトで静音、しかもコスパが良いミニPCは、家庭用サーバーにぴったり。
この記事では、ミニPCをNAS化するメリットから、おすすめのモデル、実際の設定手順までを丁寧に解説します。
ミニPCをNAS化するメリットとは?
まずは「なぜ専用NASではなくミニPCなのか?」という疑問から。
ミニPCをNAS化する最大の理由は、自由度とコストパフォーマンスにあります。
1. コスパが高い
既に使っていないミニPCを再利用すれば、追加投資はほぼゼロ。
新品を購入しても、同等性能のNAS機器より安く済むケースが多いです。
2. 小型で静音、省電力
ミニPCは小型で消費電力が低いため、24時間稼働に向いています。
ファンレスや静音設計モデルも多く、リビング設置でも気になりません。
3. 拡張性とカスタマイズ性
OSを自由に選び、ファイル共有、メディア配信、クラウド同期、Docker運用などを自分好みに構築可能。
「ただのストレージ」ではなく、「自分だけのサーバー」に育てられるのが魅力です。
NAS化に向くミニPCの選び方
NAS化するうえで、ハードウェア選びは最重要ポイント。
ミニPCなら何でもいいわけではありません。ここでチェックすべきポイントを整理します。
CPU性能
用途に合わせて選びましょう。
ファイル共有が中心なら「Intel N100」「Celeron J4125」など省電力CPUで十分。
PlexやDockerを動かすなら「Core i5」「Ryzen 5」以上をおすすめします。
メモリ
最低8GB、できれば16GB以上が理想。
メモリが多いほど、キャッシュや並列処理がスムーズになります。
ストレージ構成
- OS用にSSDを1枚(128〜256GB程度)
- データ保存用にHDDまたは大容量SSDを別途用意
外付けHDDをUSB3.2やeSATAで接続すれば、柔軟に容量を増やせます。
ネットワーク性能
有線LANは必須。1GbE(ギガビットイーサ)以上が望ましく、
2.5GbEポート付きモデルなら今後も安心です。
冷却・電源
24時間稼働に耐える冷却設計と安定した電源が重要。
放熱が弱いと寿命を縮める原因になります。静音ファン搭載モデルを選びましょう。
ミニPC NAS化におすすめのモデル
ここでは、実際にNAS構築で人気のミニPCを紹介します。
Beelink EQ12 / Beelink SER5
省電力で静音性が高く、デュアルLANポートを備えるモデルもあり、
家庭用NASとして非常にバランスの良い1台。
PlexやNextcloudも軽快に動作します。
Minisforum MS-01 / Minisforum UM790 Pro
Ryzen搭載で高性能。Dockerや仮想環境を同時に動かしたい人におすすめ。
2.5GbE対応で転送速度も優秀です。
GEEKOM Mini IT12 / GEEKOM Mini IT13
Core i5〜i7を搭載し、オフィス利用からNAS運用まで幅広く対応。
M.2+2.5インチSATA両対応で、データドライブを柔軟に拡張可能。
いずれのモデルも静音・省電力・拡張性の三拍子が揃っており、
家庭用サーバーとしての実用性は十分です。
NAS化のためのOSとソフトウェア選び
ミニPCをNASにするには、OS選びがカギです。
代表的な選択肢を挙げます。
OpenMediaVault(OMV)
初心者に最もおすすめ。
Debianベースで軽量、Webブラウザ上で設定が完結します。
プラグインも豊富で、Samba共有やDocker連携も簡単。
TrueNAS SCALE
ZFSファイルシステム対応で信頼性重視の構築に最適。
やや上級者向けですが、仮想化・コンテナにも強いです。
Ubuntu Server+Docker構成
柔軟にカスタマイズしたい人向け。
NextcloudやJellyfinをDockerで動かせば、
クラウドストレージやメディアサーバーも簡単に構築できます。
NAS化の設定手順(OpenMediaVault例)
具体的な流れを見てみましょう。
ここではOMVを例に解説します。
- OSインストール
公式サイトからISOをダウンロードし、USBに書き込んで起動。
ストレージを選んでインストールします。 - 初期設定
IPアドレスを固定し、Web管理画面にアクセス。
管理者パスワードを設定します。 - ディスクのマウントと共有フォルダ作成
HDD/SSDを認識させ、共有したいフォルダを作成。
Samba(Windows共有)やNFSを有効化。 - ユーザー・アクセス権設定
家族や利用者ごとにアカウントを追加し、アクセス範囲を制御。 - 追加機能の導入
Dockerプラグインを入れ、Nextcloud・Plex・HomeAssistantなどを稼働させるとさらに便利。 - 運用確認
他のPCやスマホからアクセスし、転送速度や共有設定をテスト。
問題なければ24時間稼働を開始します。
運用時の注意点とトラブル回避術
NASは常時稼働するため、安定性とデータ保護が命。
運用前に次のポイントを押さえておきましょう。
バックアップ設計
「RAID1(ミラーリング)」でHDDを2台運用すれば、片方が壊れても安心。
ただしRAIDはバックアップではないので、外部HDDやクラウドにもコピーを。
冷却と清掃
内部のホコリが熱を溜める原因になります。
数か月に一度は掃除をして、温度監視ツールで過熱を防止。
電源管理
停電対策にUPS(無停電電源装置)を導入すると安全。
突然のシャットダウンによるデータ破損を防げます。
セキュリティ対策
外部アクセスを許可する場合は、VPN経由が基本。
ポート開放やリモート接続の設定は慎重に行いましょう。
ミニPC NAS化の実践アイデア
慣れてきたら、NAS+αの使い方も楽しめます。
- メディアサーバー化:JellyfinやPlexで家中のデバイスに映画を配信。
- クラウド化:Nextcloudを導入して自宅クラウドを構築。
- スマートホーム連携:Home Assistantで家電を自動制御。
- VPNサーバー:外出先から安全に自宅ネットワークへアクセス。
ミニPCのNAS化は単なるデータ保管だけでなく、
「家庭のデジタルハブ」を作る第一歩にもなります。
まとめ:ミニPCのNAS化で家庭に最強サーバーを
ミニPCをNAS化すれば、安価・静音・省電力で理想の家庭用サーバーを実現できます。
OpenMediaVaultやTrueNASなどを活用すれば、初心者でも手軽に始められます。
ポイントは次の通りです。
- CPU・メモリ・冷却性能を意識して選ぶ
- OS用とデータ用ストレージを分ける
- RAIDとバックアップでデータ保護を万全に
- 定期メンテナンスで安定稼働を維持する
余っているミニPCがあるなら、まずは試してみましょう。
一台の小さなPCが、あなたの家庭の中心になるかもしれません。
これが、ミニPCのNAS化完全ガイド!家庭用サーバーに最適なおすすめモデルと設定手順です。
