こんにちは。あなたの手元にあるそのiPhone X、まだまだ現役で頑張っていますか? 発売から8年以上が経ち、確かに少し動作が重くなったかも…なんて感じている人も多いのではないでしょうか。ふと、「この子、いつまで使えるんだろう?」という不安がよぎることもありますよね。
結論から言うと、iPhone Xが「明日、突然、文鎮のようになる日」はそう簡単には来ません。しかし、「使えなくなる」という状態は、ある日突然ではなく、段階を経て少しずつ近づいてくるものなのです。この記事では、公式のサポートポリシーに基づき、iPhone Xのユーザーが知っておくべき「未来の地図」と、今からできる具体的な準備をわかりやすくご紹介します。あなたとあなたの愛機が、これからもより良い関係を築いていけるヒントになればと思います。
「使えなくなる」には、実は2つの段階がある
「使えなくなる」と一口に言っても、実はその意味は一つではありません。主に、私たちユーザーに直接関わってくるのは次の2つのステージです。
ステージ1:最新の「ソフトウェアサポート」が終了する
これは、もう既に始まっている変化です。iPhone Xは、2023年秋のiOS 17のリリースをもって、最新のOSアップデートの対象から外れました。つまり、これ以降はiOSの目玉となる新機能は追加されなくなります。ただし、慌てる必要はありません。Appleは過去の事例から、販売終了後も約5~7年間は重要なセキュリティアップデートを提供し続ける傾向があります。ですから、今すぐにネットが危険にさらされるわけではないのです。ただ、長期的に見れば、サポートされないOSを使い続けることは、少しずつセキュリティリスクが高まっていくことを意味します。
ステージ2:公式の「ハードウェア(修理)サポート」が終了する
こちらの方が、より直接的な「使えなくなる」に近いかもしれません。Appleは自社製品の修理サポートを、以下のようにフェーズ分けして終了させていきます。
- ビンテージ製品:販売を終了してから5年以上7年未満の製品。iPhone Xは、おそらく2024年頃にこのカテゴリーに入りました。この段階では、Appleや正規サービスプロバイダーでの修理は「可能」ですが、使える部品の在庫に制限が出始めます。
- オブソリート(旧式)製品:販売終了から7年以上経過した製品。このカテゴリーに指定されると、Appleは一切のハードウェア修理サービスを提供しなくなります。純正部品も流通しなくなるため、公式の場所ではもう直せない状態になります。iPhone Xは、2025年以降、順次この「オブソリート製品」となっていく運命にあります。
つまり、物理的に壊れた時が、最も大きな「使えなくなる」の危機と言えるでしょう。
愛機の寿命を延ばす! 今から始める実践的ケア術
公式サポートが終わっても、適切なケアをすれば、まだまだ一緒にいられる時間はあります。特に影響が大きい2つのポイントを押さえておきましょう。
命綱「バッテリー」の健康状態をチェック
リチウムイオンバッテリーは消耗品です。劣化が進むと、充電の減りが早い、急に電源が落ちるといったトラブルの原因に。まずは現在の状態を知ることから始めましょう。
「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」と進むと、「最大容量」が表示されます。Appleは80%を著しい劣化の目安としています。もしここが80%を切っているなら、交換を考えた方が良いサインです。
- 交換の選択肢1:正規修理
オブソリート製品になる前であれば、Apple Storeや正規サービスプロバイダーで交換できます。iPhone Xの場合、AppleCare+に加入していない場合の費用は税込で約14,500円が目安です。 - 交換の選択肢2:信頼できる非正規修理店
オブソリート化後は、実績と評判のある街の修理店が頼りになります。費用は店舗によって大きく変わり、5,000円前後から可能な場合も。ただし、使用する部品の品質や技師の腕前には差があるので、口コミや保証内容をよく確認することが大切です。防水機能が維持できるかどうかも重要なポイントです。
よくあるトラブル「充電ポート」のお手入れと対処法
充電ができない、接触が悪い…そんな時、まず試したいのが「お掃除」です。ライトでポートの中を照らすと、ホコリや綿ゴミが詰まっていることがよくあります。繊維の出ない柔らかい布や、先が尖っていないプラスチック製の爪楊枝などで、優しくかき出してみてください。強くやりすぎると内部を傷つけるので注意です。
液体をこぼしてしまった場合は、絶対にそのまま充電を試みず、ポートを下向きにして軽くトントンと叩き、風通しの良い場所で丸一日ほどしっかり乾かしましょう。
それでもダメな場合、ポート自体の故障が考えられます。正規修理の場合、本体交換(データは消去されます)となり、費用が高額になる可能性が高いです。一方、技術力のある非正規店では、部品交換でデータを保持したまま、5,000~8,000円程度で即日修理してくれるケースもあります。いざという時の選択肢として、近所に良いお店がないか、調べておくのも賢い準備です。
買い替えの「その時」を見極める5つのサイン
ケアを続けても、そろそろ次の相棒に交代する時期が来るかもしれません。以下のサインがいくつか当てはまるなら、買い替えを真剣に考えるタイミングかもしれません。
- 我慢できないほど「遅い」:メールを開く、ブラウザで検索する、カメラを起動する…そんな日常動作の一つひとつで「待たされる」ストレスを感じるようになった。
- バッテリー地獄から抜け出せない:最大容量が80%を大きく切り、ちょっと外出するだけでもモバイルバッテリーが手放せない。充電器のそばから離れて生活できない。
- 修理費用が機体の価値を超える:画面の大破や水没など、修理見積もりを取ったら、中古のiPhone Xの相場(2026年現在で1~2万円前後と推測)と同等か、それを超えてしまった。
- 必要なアプリが動かなくなる:仕事や生活に必須のアプリ、特に銀行系のアプリなどが、「対応OSバージョンではありません」と表示され始める。
- 最新機能を使いたい欲が抑えられない:もっと綺麗な写真が撮りたい、動画編集をサクサクやりたい、など新しい技術への憧れが強くなっている。
買い替えを決めたら、次はどれを選ぶ?
いざ買い替えるとなると、迷うのが次の一台です。主に3つの道があります。
- 最新モデルへの飛びつき:iPhone 15シリーズ以降は、全てUSB-Cポートを採用。これからはAndroidユーザーとケーブルを共用できるなど、汎用性がグッと上がります。
- 「Lightning」時代の最後の輝きを掴む:もし今持っているLightningケーブルや周辺機器を全て使い切りたいなら、最後のLightningモデルであるiPhone 14シリーズ(2022年9月発売)の中古を狙う手もあります。現状の資産を活かし切れます。
- 今の愛機と、もう少しだけ一緒にいる:オブソリート後も、非正規修理店の力を借りながら使い続ける覚悟を決める。ただし、長期的には修理部品自体が世界中から消えていくリスクがあります。
何があっても大丈夫! 買い替え前に必ずやるべき「データの盾」
どの道を選ぶにしても、絶対にやっておかなければならないことがあります。それは、今のiPhone Xにある大切な思い出やデータを、確実に守っておくことです。
- iCloudバックアップの最終確認:「設定」→上部のApple IDメニュー→「iCloud」→「iCloudバックアップ」へ。ここに「今すぐバックアップを作成」と表示されていたら、ワンタップで最新のバックアップを取得できます。Wi-Fi環境で行いましょう。
- パソコンへの「完全バックアップ」が最終兵器:iTunes(Windows)またはFinder(Mac)を使って、パソコンにバックアップを作成する方法です。これはアプリのデータを含む完全なクローンを作れる、最も信頼性の高い方法。特に写真やチャット履歴など、消えたら困るものの最終保証としておすすめです。
- 新iPhoneへの「お引越し」は超簡単に:新しいiPhoneを買ったら、初期設定中に旧iPhone(あなたのX)の近くに置いてみてください。「クイックスタート」という機能が自動で働き、データを直接転送する方法を案内してくれます。これが最も簡単で確実な移行方法です。
さようなら、ではなく「ありがとう」の準備を。iPhone Xが使えなくなるその日まで
iPhone Xは、額縁のないフルスクリーンとFace IDでスマホの歴史を塗り替えた、まさに「名機」でした。8年という長きにわたって多くのユーザーを支えてきたそのライフサイクルは、確かに終盤を迎えています。
でも、「使えなくなる」は終わりではありません。それは、あなたが次の一歩を踏み出すための、静かな合図なのです。今、あなたができる最善のことはこの3つです。
まず、現状を把握する。バッテリーの健康をチェックし、この記事で学んだサポートのフェーズを確認する。
そして、思い出を守る。今日中に、必ずバックアップだけは完了させる。
最後に、未来を選ぶ。残された公式サポートの時間を考えながら、(A)非正規修理で最後まで使う、(B)中古Lightningモデルに移る、(C)新しいUSB-Cの世界に飛び込む、という3つの道から、あなたの価値観と予算に合った一つを選ぶ。
「使えなくなる」日は、突然ではなく、約束されたプロセスとしてやって来ます。情報を知り、準備をすることで、その日を恐れる必要はなくなるでしょう。むしろ、名機との別れを惜しみながら、次の出会いへと心を弾ませる、そんな余裕さえ生まれてくるはずです。
あなたのiPhone Xが、最後のその日まで、快適に働き続けられますように。
