最近「OSなしミニPC」というワードをよく見かけるようになりました。
小型で静音、省スペースなのに、しっかりデスクトップ並みの性能を持つミニPC。中でも「OSなし（ベアボーン）」モデルは、自分でWindowsやLinuxを入れて自由にカスタマイズしたい人にぴったりです。今回は、そんなベアボーンタイプのミニPCについて、選び方のポイントとおすすめ機種を紹介します。
OSなしミニPCとは？ベアボーン構成を理解しよう
まず前提として、「OSなしミニPC」＝ベアボーンPC という構成を理解する必要があります。
ベアボーンとは、ケース・マザーボード・電源・（場合によってはCPU）が組み込まれた状態で販売され、メモリ・ストレージ・OSは自分で用意して組み立てるタイプのPCです。つまり、完成済みのPCではなく「半完成状態」の小型デスクトップ。
メリットは明確です。
自分の用途や好みに合わせてメモリやSSDを選べる自由度が高く、手元に余っているパーツを再利用すればコストも抑えられます。
一方で、OSのインストールやドライバー設定を自分で行う必要があるため、多少の知識や手間が求められます。
OSなしミニPCを選ぶメリットとデメリット
メリット
- 自分で構成を決められる自由度
- メモリやストレージのメーカーや容量を自由に選択可能。
- OSもWindowsだけでなく、UbuntuやFedoraなどのLinuxディストリビューションを入れられる。
- コストパフォーマンスの良さ
- 既に手元にSSDやメモリがある場合、それを活用できるため無駄が少ない。
- OSライセンスを持っていればさらに節約できる。
- スキルアップにつながる
- 自分でOSを入れたりパーツを組み込んだりすることで、PC構成の理解が深まる。
- トラブル対応力も自然に身に付く。
デメリット
- 初期設定がやや面倒
- BIOS設定、ブート順変更、ドライバー導入などを自分で行う必要がある。
- 特にWindows 11はTPMやSecure Bootの要件があり、やや複雑。
- 保証やサポートが限定的
- OS付き完成品に比べ、メーカーサポートは最小限。初期不良やドライバー対応は自己解決が前提。
- 初心者にはやや敷居が高い
- 「届いたらすぐ使いたい」という人には不向き。PCを組み立てたことがない人は戸惑う可能性も。
OSなしミニPCを選ぶときのポイント
ベアボーンミニPCを選ぶ際には、以下のポイントを意識しましょう。
1. CPU性能
軽作業ならCeleronやPentiumでも十分ですが、快適さを求めるならCore i5／Ryzen 5以上が安心。動画編集や仮想環境を使うならCore i7／Ryzen 7クラスがおすすめです。
2. メモリスロット・対応規格
自分でメモリを挿すため、DDR4かDDR5か、最大容量はいくつかを要確認。デュアルチャネル対応モデルだと性能を引き出しやすくなります。
3. ストレージスロット
M.2 NVMe対応スロットがあると高速SSDが使えます。2.5インチベイもあれば大容量HDDを追加することも可能。
4. 冷却性能と静音性
小型ゆえに熱がこもりやすいので、ファン設計や通気性もチェック。静かな環境で使いたいならファンレスモデルも検討を。
5. 拡張ポート・通信機能
USB-A／USB-C、HDMI、DisplayPort、LANポート、Wi-Fi、Bluetoothなど、用途に合わせて入出力ポートを確認しましょう。
6. OSインストールの自由度
Linux対応ドライバーの有無や、Windows 11の要件（TPM・Secure Boot）に対応しているかを事前に確認するのが大切です。
自分でOSを入れるときの準備と手順
OSなしミニPCを買ったら、次はセットアップ。手順をざっくり見ておきましょう。
- パーツを取り付ける
- メモリとSSDを規格通りに取り付け。静電気に注意。
- インストールメディアを作る
- Windowsなら「Media Creation Tool」でUSBを作成。
- Linuxなら公式サイトからISOをダウンロードしてRufusなどで書き込み。
- BIOS設定
- 起動時にDeleteキーなどでBIOSへ。
- ブート順をUSB最優先に変更し、必要に応じてSecure Bootを調整。
- OSをインストール
- USBから起動し、画面の指示に従ってインストール。
- 完了後、メーカーサイトからチップセットやWi-Fiドライバーを入れる。
- アップデートと最適化
- Windows UpdateやLinuxのパッケージ更新を実行し、最新状態に。
この工程を一通りこなせば、自作PCとほぼ同じ感覚で自分だけの環境が完成します。
OSなしミニPCのおすすめ5選
ここからは、最新モデルを中心に評価の高い「OSなしミニPC（ベアボーン構成）」を5つ紹介します。
1. MINISFORUM NPB6（Core i7-13620H）
Intel第13世代Core i7搭載の高性能モデル。
Thunderbolt 4やDDR5メモリ対応で、動画編集やマルチタスクも余裕。冷却性能も高く、ベアボーンながら安定動作が評判。
性能を求める上級者におすすめ。
2. GMKtec M7 Ultra（Ryzen 7 PRO 6850U）
AMDのビジネス向けRyzen PROを搭載。
低消費電力ながら処理性能が高く、静音性にも優れる。
Linuxでの互換性が高い点も魅力で、自作派の中では人気が高い。
3. GMKtec M6 Ultra（Ryzen 5 7640HS）
コスパ重視のRyzen 5モデル。
価格を抑えつつ、一般作業やプログラミングにも快適。
軽量コンパクトで設置場所を選ばないのもポイント。初めてのベアボーンに最適。
4. ASUS NUC 14 Essential（Intel N95）
ASUSブランドのエントリーNUCシリーズ。
省電力ながら複数モニタ出力にも対応し、オフィスやリビングで使いやすい。
VESAマウントでモニタ背面にも装着可能。手軽に「自分でOSを入れる体験」をしたい人に。
5. Intel NUC 15 (RNUC15CRHC700000I)
Intel純正ベアボーンの最新モデル。
Core 7 240Hを搭載し、安定性・信頼性は抜群。OSなし構成なので、自由にWindowsやLinuxを導入可能。
長期運用や法人利用にも向いている。
Linuxを入れて楽しむならこのポイントを押さえよう
OSなしモデルの魅力のひとつは、自由にLinuxを導入できること。
Ubuntu、Fedora、Debian、Archなど多くのディストリビューションが動作します。
ただし、Wi-FiチップやGPUドライバーが対応していない場合もあるので、購入前に「製品名＋Linux」で動作報告を検索しておくと安心です。
RyzenやIntel UHD Graphics搭載モデルは比較的相性が良く、初心者でもスムーズにセットアップできます。
注意したい総コストとサポート
ベアボーンは安く見えますが、総費用で考えるのがポイントです。
- 本体：約4〜10万円
- メモリ・SSD：約1〜2万円
- Windowsライセンス：約2万円（または無料のLinux）
つまり、すべて新品で揃えると最終的に7〜12万円ほど。
手元のパーツを活用できるかが、コスパを左右します。
また、サポートは各メーカーの英語サイトに依存することも多いため、国内販売代理店経由で購入すると安心です。
こんな人に「OSなしミニPC」はおすすめ
- 自分でOSを入れたり設定したりするのが好き
- 既存のパーツを有効活用したい
- 軽量で省スペースなPCを求めている
- WindowsとLinuxをデュアルブートで使いたい
- サーバーや開発環境などを自分で構築したい
逆に、「届いたらすぐ使いたい」「設定に時間をかけたくない」という人は、最初からWindowsプリインストールモデルを選ぶ方がストレスは少ないでしょう。
まとめ：OSなしミニPCで“自分仕様”を作ろう
OSなしミニPCは、自由度とカスタマイズ性の高さが最大の魅力です。
WindowsでもLinuxでも、自分の手で環境を整えることで、パソコンを「道具」から「作品」に変えられる体験ができます。
今回紹介した5機種はいずれも評価が高く、初心者から上級者まで満足できるラインナップ。
ベアボーンに興味があるなら、この機会に一歩踏み出してみてください。
あなたの理想の1台は、きっと“OSなしミニPC”の中にあります。
