タブレットを選ぶとき、「RAM○GB」というスペック表記を目にしたことがあると思います。なんとなく“数値が大きいほうが速い”とは感じつつ、実際のところRAMとは何なのか、どう影響するのかを理解している人は意外と少ないものです。この記事では、タブレットのRAMについて、その役割や選び方、動作速度との関係をわかりやすく解説します。
RAMとは?タブレットの「作業机」にあたる重要な部品
RAM(ランダムアクセスメモリ)は、タブレットが動作するうえで欠かせない「作業領域」です。正式名称は「Random Access Memory」で、データを一時的に保存しながら処理を進める役割を担います。
たとえば、アプリを開いたり、ウェブページを読み込んだりするとき、そのデータは一度RAMに置かれ、CPUがそこから情報を読み取って動作します。
このRAMが大きければ大きいほど、一度に多くのアプリを開いたり、スムーズに切り替えたりできるようになります。反対にRAMが少ないと、アプリが突然落ちたり、画面がカクついたりといった現象が起こりやすくなります。
イメージするなら、RAMは「机の広さ」、ストレージ(ROM)は「引き出しの数」です。机が広いほど、同時に多くの作業を広げて効率よく進められます。
RAMとストレージ(ROM)の違いを理解しよう
タブレットのスペック表には「RAM 4GB/ROM 64GB」といった表記がよく見られます。ここで混同しがちなのがRAMとROM(ストレージ)の違いです。
- RAM(メインメモリ):作業中に一時的にデータを置く場所。電源を切ると中身は消える。
- ROM(ストレージ):写真や動画、アプリなどを長期間保存する場所。電源を切ってもデータが残る。
つまりRAMは「今やっている作業」に関わり、ROMは「保存しておきたいもの」に関わる部分です。RAMが足りないと動作が重くなり、ROMが足りないとデータを保存できなくなります。どちらも重要ですが、動作の快適さに直結するのはRAMです。
RAM容量によるタブレットの使い心地の違い
RAMの容量がどれくらいあると快適に使えるのか。これは使い方によって大きく変わります。
- 3〜4GB程度
→ SNSやネットサーフィン、動画視聴などの軽い用途なら十分。 - 6〜8GB程度
→ 複数アプリを切り替えながら使う、画像編集などもスムーズ。 - 12GB以上
→ 高画質ゲームや動画編集、長期的に快適さを求める人に最適。
最近ではミドルレンジのタブレットでも6GB以上を搭載しているモデルが増えています。Androidタブレットの場合、OSやアプリの消費メモリが多いため、最低でも4GB、理想は6GB以上が目安です。
一方で、iPadはOSの最適化が進んでおり、同じRAM容量でも快適に動作する傾向があります。
RAMが足りないとどうなる?動作が重くなる理由
RAMが不足すると、タブレットの挙動にさまざまな悪影響が現れます。
- アプリの起動が遅くなる
開いていたアプリのデータを保持できず、再読み込みが頻発します。 - 画面の切り替えがもたつく
マルチタスク中に動作が重くなり、アプリ間の切り替えがスムーズにいかなくなります。 - バックグラウンド処理が止まる
音楽を再生しながら別の作業をしていると、突然音が止まることも。 - 全体のレスポンスが悪化する
CPUが必要なデータを取りに行くたびに時間がかかり、体感的な“重さ”が増します。
RAMはCPUが作業を進めるための作業スペースです。机が狭ければ作業効率が落ちるのと同じで、RAMが足りないと処理の流れが滞ります。
CPUとのバランスが快適さの鍵
「RAMが多ければ速い」というのは一面の真実ですが、実際にはCPU(中央演算処理装置)の性能も大きく関係しています。
RAMが十分でも、CPUが処理能力の低いチップだと、複雑な作業はスムーズにこなせません。逆に、CPUが高性能でもRAMが少なければ、データのやり取りに時間がかかってしまいます。
そのため、タブレットを選ぶときは「RAM容量+CPU性能」の両方を確認するのが大切です。
たとえば、ミドルレンジのSnapdragonやApple Mシリーズなど、処理能力とRAMのバランスが取れた組み合わせを選ぶと、長期的にも快適に使えます。
RAMは後から増やせる?仮想RAMの仕組みも紹介
ノートPCなどと違い、タブレットのRAMは基板に直接取り付けられており、後から増設することはできません。購入時点での容量がそのまま上限になります。
一部のAndroid端末には「拡張RAM」や「仮想メモリ」と呼ばれる機能があり、ストレージの一部をRAM代わりに使う仕組みがありますが、これはあくまで補助的なものです。ストレージはRAMよりも読み書き速度が遅いため、体感的な効果は限定的です。
そのため、後悔しないためには購入時に自分の利用シーンを想定し、余裕を持った容量のRAMを選ぶことが大切です。
タブレットのRAMを効率よく使うコツ
もし今使っているタブレットで動作が重いと感じるなら、RAMの使い方を見直してみましょう。
- 使っていないアプリをこまめに終了する
- 不要なウィジェットや常駐アプリを減らす
- 定期的に再起動してメモリをリフレッシュする
- OSやアプリを最新バージョンに保つ
これらを意識するだけで、限られたRAMを有効に使え、動作のもたつきを軽減できます。特に古いタブレットでは、常駐アプリの整理だけでも大きな違いが出ます。
タブレットのRAMとは?まとめと選び方のポイント
ここまで見てきたように、タブレットのRAMは動作速度に直結する非常に重要な要素です。RAMが大きければ多くのアプリを同時に使え、処理がスムーズになります。ただし、CPUやストレージ、OSの最適化なども合わせて考えることが大切です。
最後に、タブレット選びのポイントを簡単にまとめます。
- ネットや動画中心なら「4GB」でもOK
- マルチタスクやゲームも快適に使いたいなら「6〜8GB」
- 長く使いたいなら「8GB以上」を目安に
- RAMは増設できないため、最初から余裕を持って選ぶ
タブレットを快適に使ううえで、RAMはまさに“心臓部”のような存在。自分の使い方に合った容量を選べば、ストレスのない操作体験が得られます。
次にタブレットを選ぶときは、ぜひ「RAMとは何か」を思い出して、自分にぴったりの一台を見つけてください。
