最近、スマートウォッチが「健康管理の相棒」としてすっかり定着しましたよね。
歩数や睡眠だけでなく、心拍数、血中酸素、ストレスまで可視化できる──そんな便利な機能が人気の理由です。
でも、ちょっと気をつけたいのが「医療機器認定」という言葉。
実は、スマートウォッチの中には“医療機器として正式に承認”されたモデルが存在します。
この記事では、日本国内で実際に医療機器認定を受けたスマートウォッチをわかりやすく紹介しながら、選び方のポイントや注意点も一緒に解説していきます。
医療機器認定ってそもそも何?
まず知っておきたいのが、「医療機器認定」と「健康管理機能」の違いです。
一般的なスマートウォッチには「心拍数」や「歩数」「睡眠」などの機能がありますが、これらはあくまで“日常の健康管理”を目的としたものであり、医療機器ではありません。
一方、心電図や血圧のように、医療判断にかかわるデータを計測・解析する機能を搭載している場合は、薬機法(旧薬事法)に基づいて「医療機器」として承認を受けなければなりません。
この承認を得ているものだけが「医療機器認定を受けたスマートウォッチ」と呼ばれます。
つまり、“医療用途として正式に認められた”信頼性のあるモデルというわけです。
日本で医療機器認定を受けたスマートウォッチはごくわずか
実は、医療機器として承認されたスマートウォッチはまだごく一部に限られています。
その理由は、医療機器として認められるためには、高い精度と安全性の証明が必要だからです。
ここからは、実際に国内で承認・認定を受けている代表的なスマートウォッチを紹介します。
Apple Watch Series 4シリーズ(Series 4以降)
日本で初めて医療機器として承認を受けたスマートウォッチが、Apple Watch Series 4です。
2020年に「心電図アプリケーション」と「不規則な心拍の通知プログラム」が厚生労働省から承認され、これが国内初の事例となりました。
使い方はシンプル。デジタルクラウンに指を置いて約30秒で心電図を記録でき、そのデータをiPhoneのヘルスケアアプリに保存可能です。
測定結果はPDFとして出力し、医師に見せることもできます。
Series 4以降のモデル(Apple Watch SEを除く)や、Apple Watch Ultraシリーズでも利用可能。
「日常で心臓の状態をチェックできる」という点が大きな魅力ですね。
HUAWEI WATCH Dシリーズ
次に注目なのが、HUAWEI WATCH Dシリーズ。
このモデルは「血圧測定機能」で医療機器認証を取得しており、腕に装着するだけで血圧を測れる点が特徴です。
一般的なスマートウォッチは“血圧っぽい数値”を表示しても、あくまで参考レベル。
でもHUAWEI WATCH Dは管理医療機器として認証を受けているため、家庭用血圧計として利用できます。
さらに、心電図アプリケーションも医療機器プログラムとして承認されており、血圧と心電図の両方を一台でチェック可能。
まさに「腕時計型の医療機器」といえる存在です。
GarminのECG対応モデル
スポーツウォッチで人気のGarminも、近年は医療機器としての領域に進出しています。
2025年時点では、Garminの一部モデルに搭載された「心電図アプリケーション」が医療機器プログラムとして承認されました。
これにより、Garminユーザーも正式な医療機器として心電図を測定できるようになったのです。
もともとトレーニング用途で高い信頼を得てきたブランドだけに、医療分野でも今後の展開が期待されています。
医療機器認定モデルが少ない理由
ここまで読むと、「どうして他のスマートウォッチは認定されていないの?」と疑問に思うかもしれません。
理由は大きく3つあります。
- 厳格な承認プロセス
医療機器として承認されるためには、精度・安全性のデータ提出や試験が必要です。
これには長い時間とコストがかかります。 - ハードウェアとソフトウェアの両立の難しさ
スマートウォッチは小型デバイスのため、医療機器として必要な正確さを維持するのが難しい。 - 法的リスクへの慎重姿勢
医療機器の範囲に入ると薬機法の規制を受けるため、メーカー側も慎重になっています。
このように、技術・コスト・法規制の三重のハードルがあるため、現状は限られたメーカーだけが医療機器認定を取得できているのです。
医療機器認定スマートウォッチの活用シーン
医療機器として承認されたスマートウォッチは、日常生活や医療現場でも少しずつ活用が進んでいます。
- 不整脈の早期発見
心電図アプリで異常なリズムを検知し、受診のきっかけになるケースがあります。 - 在宅医療や遠隔モニタリング
血圧測定や心電図データをクラウドで共有し、医師が遠隔で確認できる仕組みが広がっています。 - 高齢者の健康管理
見守り用途としても注目されており、日々のデータを蓄積して生活リズムの変化を捉えることができます。
ただし、これらのデータはあくまで医療判断の補助。
自己診断や自己治療に使うのではなく、気になる変化があれば必ず医療機関に相談しましょう。
医療機器スマートウォッチを選ぶときのチェックポイント
- 医療機器認定を受けているか確認する
製品情報やメーカー公式サイトに「医療機器認証番号」や「承認番号」の記載があるかをチェックしましょう。 - どの機能が認定対象かを把握する
たとえば心電図だけが医療機器として承認されていて、血圧測定は対象外というケースもあります。 - 自分の利用目的に合っているか
運動管理がメインなら一般的な健康管理機能で十分。
心臓や血圧を継続的に見たい場合は、医療機器認定モデルを選ぶ価値があります。 - アプリとの連携性
データの保存や共有がスムーズか、医師に見せやすいかもポイントです。
医療機器スマートウォッチのこれから
これからのスマートウォッチは、健康管理だけでなく「医療の入り口」としての役割がさらに広がると考えられています。
特に、血圧・心電図・血糖値といった生体データを継続的に測定できるようになれば、在宅医療や予防医療の分野で活用が進むでしょう。
同時に、プライバシーやデータの扱い方、医師との連携体制など、新しいルールづくりも求められています。
技術と制度の両面で成熟していけば、「スマートウォッチが日常の健康診断を担う時代」もそう遠くないかもしれません。
スマートウォッチの医療機器認定一覧と今後の選び方
現時点で日本で医療機器として認定・承認されている主なスマートウォッチは、次の通りです。
- Apple Watch Series 4(Series 4以降、Apple Watch Ultra含む)
→ 心電図アプリ/不規則な心拍通知 - HUAWEI WATCH Dシリーズ
→ 血圧測定機能/心電図アプリ - Garminの一部モデル
→ 心電図アプリ
これらはいずれも、薬機法上の医療機器として正式に認められたモデルです。
それ以外の多くのスマートウォッチは、あくまで「健康管理用のウェアラブル機器」であり、医療機器ではありません。
選ぶ際は、「医療機器認定済みか」「どの機能が承認対象か」をしっかり確認すること。
そして、得られたデータは自分の健康を見つめ直すきっかけとして活用しましょう。
スマートウォッチの進化は、これからますます加速します。
“身につける医療機器”という新しい形のヘルスケアに、今後も注目です。
