「ゲーム中にPCが熱くなってパフォーマンスが落ちる」「ファンの音がうるさい」──そんな経験、ありませんか?
ゲーミングPCは高性能なぶん発熱も多く、冷却環境が整っていないと性能が発揮できません。特に、冷却ファンはPC内部の空気を循環させる要の存在。どんなファンを選ぶかで、温度も寿命も快適さも変わります。
ここでは、ゲーミングPCに最適な冷却ファンを選ぶポイントと、おすすめモデルをわかりやすく紹介します。
冷却ファンがゲーミングPCに欠かせない理由
ハイエンドGPUやCPUを搭載したゲーミングPCでは、プレイ中に100度近くまで温度が上がることもあります。その熱を効率よく外に逃がすのが冷却ファンの役割。
熱がこもると「サーマルスロットリング」と呼ばれる現象が起き、性能が自動的に抑えられてしまいます。つまり、せっかくの高性能パーツも冷却が追いつかなければ“宝の持ち腐れ”になってしまうんです。
また、熱はパーツの劣化を早めます。しっかり冷やして温度を安定させることは、結果的にPC全体の寿命を延ばすことにもつながります。
冷却ファンを選ぶ前に知っておきたい基本知識
サイズと取り付け位置
冷却ファンの主なサイズは120mmと140mm。
120mmは多くのPCケースに対応し、バランスが良い定番サイズ。140mmはより多くの空気を静かに送れるため、静音性を重視したい人に向いています。
取り付け位置は主に3か所。
- 前面や底面に「吸気ファン」
- 背面や上部に「排気ファン」
- ラジエーターやヒートシンク用の「専用ファン」
空気の流れ(エアフロー)を意識し、前から吸って後ろに逃がす流れを作るのが理想です。
スペックの見方
ファン選びでは次の4つの数値をチェックします。
- 風量(CFM):空気を動かす力。多いほど冷却力が高い。
- 静圧(mmH₂O):風を押し出す力。ヒートシンクなど抵抗のある場所に向く。
- 回転数(RPM):高いほど風量が増えるが、音も大きくなる。
- 騒音(dB):静音性の目安。25〜30dBならかなり静かです。
静音と冷却はトレードオフの関係。用途に合わせたバランスが大切です。
ゲーミングPC向けファンで重視すべきポイント
1. エアフローを最適化する
PCケースの構造を確認し、吸気と排気のバランスを取ることが最優先。
吸気ばかり強くても、排気が足りなければ熱気がこもります。前面から吸い込み、背面と上部から出す「前→後ろ→上」への空気の流れを意識しましょう。
2. 用途に合ったタイプを選ぶ
ヒートシンクや水冷ラジエーターに取り付ける場合は「静圧重視タイプ」。
ケースの吸排気に使うなら「風量重視タイプ」が適しています。
用途を間違えると、せっかくの高性能ファンでも効果を発揮できません。
3. 静音性と寿命を考える
静かで長持ちするファンを選ぶなら、軸受け(ベアリング)も重要。
「流体動圧軸受(FDB)」や「磁気ベアリング」は静かで寿命が長いと定評があります。
また、PWM対応(4ピン)のファンを選ぶと、温度に応じて自動で回転数を変えられるため、静音性と冷却を両立できます。
ファン選びで失敗しないためのコツ
吸気と排気の数を意識する
基本は「吸気より少し強めの排気」。
吸気ファンで冷たい空気を取り入れ、排気ファンで熱気を押し出します。
吸気が強すぎるとケース内にホコリが溜まりやすくなるため、バランスが重要です。
取り付け方向を間違えない
ファンには風の向きを示す矢印が刻印されています。
逆に取り付けると、せっかくのエアフローが逆流してしまうことも。
吸気・排気の流れを意識し、正しい向きで取り付けましょう。
ケーブルやホコリも敵
ケーブルが風の通り道をふさいでいないか、定期的に確認を。
ホコリが溜まると冷却効率が下がるだけでなく、ファンの寿命も縮まります。
月に一度はエアダスターなどで掃除すると、静音性も維持できます。
冷却ファンを効果的に運用するコツ
ファンカーブを設定する
マザーボードのBIOSや専用ソフトを使えば、温度に応じてファンの回転数を変えられます。
普段は静かに、ゲーム中はしっかり冷やす──そんな“賢い動作”を設定しておくと快適です。
温度をモニタリングする
「HWMonitor」や「NZXT CAM」などのツールを使えば、CPUやGPUの温度をリアルタイムで確認できます。
高負荷時の温度上昇が激しいようなら、ファンの回転設定や配置を見直すサインです。
定期メンテナンスで性能維持
ホコリ除去、フィルター掃除、ケーブル整理。
こうした小さなメンテナンスを怠ると、どんな高性能ファンでも性能は発揮できません。
半年に一度はケースを開けて内部の空気の通り道を確保しましょう。
用途別のおすすめ冷却ファン
高性能志向のハイエンド構成に
NZXT F140 RGB DUO
140mm口径の大風量ファン。ARGB対応で見た目も華やか。静音性と冷却力を両立したハイエンドモデルです。大型ケースや水冷ラジエーターにぴったり。
バランス型で定番を選ぶなら
Corsair RS120 ARGB
120mmサイズで扱いやすく、PWM対応。RGBライティングでゲーミング感も演出できます。静音性とコスパのバランスが非常に良い定番モデル。
コスパを重視するなら
owltech OW-FS1225ARGB-BK3P
3個セットでお手頃価格。初めてファンを増設したい人におすすめ。ARGB対応で見た目にも楽しいモデルです。
CPU冷却を強化したい人に
Scythe MUGEN6 BLACK Edition
CPUクーラーとして定評のあるモデルで、付属ファン単体でも静音性・風圧ともに優秀。CPU冷却を最優先したいユーザーに向いています。
予算を抑えたい人に
darkFlash DM20 Line Black
1,000円前後で購入できるエントリーモデル。静圧は控えめながら、サブファンや排気用として活躍します。コスト重視構成に最適です。
ファンを増やすだけでは冷えない理由
冷却ファンを多く付ければ冷える、と思われがちですが実は違います。
ファンの配置やケース内の空気の流れが悪いと、いくら数を増やしても熱がこもります。
重要なのは“空気の通り道をデザインする”こと。吸気と排気がスムーズにつながる配置が理想です。
また、静圧と風量のバランスも大切。
高回転で風量が多くても、静圧が足りなければヒートシンクを通り抜けません。
逆に静圧が高すぎると風量が減り、ケース全体の循環が悪化します。
構成に合ったファン特性を選ぶことが、効率的な冷却のカギです。
冷却ファンでゲーミングPCをもっと快適に
冷却ファンは、PCを守る“縁の下の力持ち”です。
適切な風量と静圧を持ち、バランスの取れた配置にすれば、温度は下がり、動作音も落ち着き、長時間のゲームも安心して楽しめます。
最適なファン選びとは、性能だけでなく静音性、見た目、そして自分のプレイスタイルに合うこと。
ゲーミングPCを長く快適に使うために、冷却ファン選びを妥協せず、自分の環境にぴったりなモデルを見つけてください。
ゲーミングPCに最適な冷却ファンの選び方とおすすめモデルまとめ
冷却ファンは「どれでも同じ」ではありません。
エアフロー設計、静圧や風量、ファンカーブの調整などを理解すれば、ゲーミングPCの性能を最大限に引き出せます。
自分のケース環境とプレイスタイルに合わせて最適なファンを選び、快適で静かなゲーミング環境を手に入れましょう。
