最近は、通勤や通学中に「ワイヤレスイヤホン」を使うのが当たり前になってきました。コードの煩わしさがなく、どこでも音楽や動画を楽しめる便利さが魅力です。
でも――突然「プツッ」と音が途切れたり、片耳だけ聞こえなくなったりした経験、ありませんか？
この記事では、そんな“音が途切れる”トラブルの原因と、その解決策をわかりやすくまとめました。ワイヤレスイヤホンの仕組みから、今日から実践できる改善方法まで、徹底的に解説していきます。
Bluetoothの仕組みと「音が途切れる」現象の関係
まず理解しておきたいのは、ワイヤレスイヤホンが「Bluetooth」という無線通信を使ってスマホやPCとつながっているということ。
Bluetoothは主に2.4GHz帯という周波数を利用しています。これはWi-Fiや電子レンジなど、身の回りの多くの機器と同じ帯域です。
つまり、便利な反面、電波の混雑や干渉が起きやすく、ちょっとした条件の違いで通信が不安定になることがあるのです。
Bluetoothの電波は壁や人体、水、金属などに弱く、反射・遮断されると音切れを起こします。特に完全ワイヤレスイヤホン（左右が独立したタイプ）は、左右のイヤホン間もワイヤレスで通信しているため、環境の影響を受けやすい仕組みになっています。
ワイヤレスイヤホンが途切れる主な原因
1. 電波干渉・通信環境の悪化
2.4GHz帯を使う他の機器――Wi-Fiルーター、電子レンジ、ワイヤレスマウス、コードレス電話などが近くにあると、Bluetoothの信号が弱まります。
駅のホームや電車の中、オフィスのように無線機器が密集している場所では、特にこの現象が起きやすいです。
また、スマホをポケットに入れたまま使うのも意外と要注意。体が電波を遮るため、イヤホンの受信側まで信号が届きにくくなることがあります。
2. Bluetoothのバージョンやコーデックの違い
Bluetoothには「バージョン」と「コーデック（音声の圧縮方式）」があります。
古いバージョン（4.2以前）の機器や、SBCコーデックしか対応していないモデルは通信の安定性が低く、音切れが起きやすい傾向があります。
最新のBluetooth 5.0以降は、通信距離も長く干渉にも強くなっています。また、aptXやLDACといった高音質コーデックは、音質だけでなく通信の安定性も向上しているので、対応機器を選ぶと安心です。
3. バッテリー残量の低下
イヤホンやスマホのバッテリーが減ってくると、通信機能が省電力モードになり、電波出力が弱まることがあります。
その結果、音がプツプツ途切れたり、接続が切れたりすることも。
また、イヤホンのバッテリー自体が劣化している場合、充電しても性能が十分に発揮されず、片耳だけ切れるような症状を起こすこともあります。
4. ペアリングやソフトウェアの不具合
ペアリング情報が古くなっていたり、複数のデバイスと同時に接続されている場合、信号が混線して接続が不安定になることがあります。
また、スマホやイヤホンのソフトウェアに不具合がある場合も途切れの原因になります。
特にiOSやAndroidのアップデート後に途切れが発生したときは、Bluetooth設定のリセットや再ペアリングを試すと改善することが多いです。
5. 使用環境による物理的な遮蔽物
Bluetoothの通信距離は理論上10メートル程度とされていますが、これは遮蔽物がない場合の話。
現実には、壁や家具、バッグ、人体などが間に入るだけで通信は不安定になります。特に金属や水分（人の体を含む）は電波を吸収するため、スマホを背中側のポケットに入れるなどすると音切れしやすくなります。
ワイヤレスイヤホンの音切れを防ぐ具体的な対策
距離と障害物を意識する
最も基本的で効果的なのが、イヤホンとスマホの距離を近づけること。
カバンやポケットの奥ではなく、手に持つ、または胸ポケットなど電波が届きやすい位置に置くと安定します。
また、電子レンジやWi-Fiルーターの近くでは使用を避けましょう。干渉が少ない環境で使うだけでも、音途切れはかなり減ります。
バージョン・コーデックを確認する
イヤホンとスマホの両方が最新のBluetooth規格に対応しているか確認しましょう。
もし古いデバイスを使っている場合は、Bluetooth 5.0以降に対応したモデルに買い替えると、通信安定性が大きく向上します。
また、設定画面でコーデック（AAC、aptX、LDACなど）が適切に選ばれているか確認してみましょう。
ペアリングをリセットする
一度ペアリングを削除し、再登録するだけでも接続が安定することがあります。
長期間使っていると、設定情報が破損したり競合したりすることがあるため、トラブルが続くときはこのリセットを試してみるのがおすすめです。
バッテリーを十分に充電する
使用前に、イヤホンとスマホの両方をフル充電にしておきましょう。
バッテリー残量が少ないと、通信出力が下がって音が途切れやすくなります。
また、イヤホンケースの端子にホコリや汚れが溜まっていると、充電不良で電圧が安定しないこともあるため、定期的に掃除するのも効果的です。
干渉の少ない環境を作る
自宅で使う場合は、Wi-Fiの設定を5GHz帯に変更することで、Bluetoothとの干渉を減らせます。
オフィスなどでは不要なBluetooth機器（マウス・キーボードなど）の電源を切るのもひとつの方法。
電波が混雑している環境では、どんな高性能イヤホンでも音切れを完全に防ぐのは難しいため、環境を整えることが大切です。
それでも改善しない場合のチェックポイント
- 他のデバイスでも同じ症状が出るか確認
- イヤホンのファームウェアが最新か確認
- ケースやイヤホン端子に汚れ・傷がないか点検
- 初期化（リセット）を試す
- イヤホンメーカーの公式アプリがある場合は診断機能を利用
これでも解決しない場合、ハードウェアの不具合が考えられます。メーカーのサポートに相談するか、修理や買い替えを検討しましょう。
快適に使うためのワイヤレスイヤホン選びのポイント
- Bluetooth 5.0以上対応：通信範囲が広く安定。
- 高性能コーデック対応：aptXやLDACなど、音質・遅延・安定性のバランスが良い。
- アンテナ設計の工夫：左右間通信が安定する機種を選ぶ。
- バッテリー性能：長時間使用しても出力が安定するモデル。
- 防水・防塵性能：屋外でも安心して使える。
レビューやメーカーの技術説明を参考に、自分の使うシーン（移動・室内・ジムなど）に合ったモデルを選ぶことが大切です。
日常でできるちょっとした工夫
- イヤホンを装着したまま歩くときは、スマホをイヤホンの受信側に近いポケットに入れる。
- 長時間使用する前に、イヤホンを一度ケースに戻してリセットする。
- 電車内など電波が混み合う場所では、短時間だけ有線イヤホンを使うのも手。
ワイヤレスイヤホンは、ちょっとした使い方の違いで快適さが大きく変わります。
「原因を知って対策する」ことが、音切れを防ぐ一番の近道です。
ワイヤレスイヤホンが途切れる原因と対策を知って、快適なリスニングを
「音が途切れる」トラブルは、ほんの少しの工夫でほとんど解決できます。
通信環境を整え、バッテリー管理を見直し、適したイヤホンを選ぶことで、ストレスのない音楽体験が戻ってきます。
ワイヤレスイヤホンの仕組みを理解して、自分の使い方に合った環境を整える。
それだけで、もう“プツプツ音”に悩まされることはなくなるでしょう。
あなたの耳に、いつも安定したサウンドを届けるために――今日からできる対策を、ぜひ試してみてください。
