最近では「小さくても高性能」なミニPCが人気を集めています。デスク上にすっきり置けて、用途に合わせてカスタマイズできるのが魅力です。
そんなミニPCを自作するとき、最も重要になるパーツが「マザーボード」。選び方を間違えると、ケースに収まらない、端子が足りない、発熱が多いなどのトラブルが起こりやすくなります。
この記事では、ミニPCに最適なマザーボードの選び方と、用途別のおすすめ構成をわかりやすく紹介します。
そもそもミニPCとは?どんな人におすすめ?
ミニPCとは、一般的なデスクトップよりも小型のケースに収められたパソコンのこと。
たとえば「Mini-ITX」や「Micro-ATX」といった小さなマザーボード規格を使い、省スペース化を実現します。
サイズはコンパクトでも、構成次第ではハイエンドゲーミングや動画編集にも対応可能です。
次のような人に特におすすめです。
- デスク周りをすっきりさせたい
- リビングや寝室で静かなPCを使いたい
- 消費電力や発熱を抑えたい
- 趣味で小型PCを自作してみたい
ミニPCを組む際は、省スペース・静音性・拡張性のバランスをどう取るかがポイントになります。
ミニPC用マザーボードの選び方
1. フォームファクター(サイズ)を確認
マザーボードにはいくつかサイズ規格があります。
主なものは次の3つです。
- ATX(305×244mm)
- Micro-ATX(244×244mm)
- Mini-ITX(170×170mm)
ミニPCを組みたいなら「Mini-ITX」がおすすめ。
サイズが小さいぶん拡張スロットは少ないですが、性能面では十分です。ケースの対応サイズを必ず確認しておきましょう。
2. 対応CPUソケットを間違えない
IntelかAMDかによって、マザーボードの「ソケット形状」が異なります。
たとえば、Intel第14世代CPUならLGA1700、AMDの最新世代ならAM5ソケット対応が必要です。
使用したいCPUが決まっているなら、その対応ソケットを持つマザーボードを選びましょう。
3. チップセットで機能が変わる
チップセットはマザーボードの“頭脳”のような部分。
IntelならZ/B/Hシリーズ、AMDならX/B/Aシリーズがあります。
上位チップセットほど拡張性やオーバークロック対応が広がりますが、価格も上がります。
ミニPC用途なら、コスパの良い「Bシリーズ」がおすすめです。
4. メモリスロットと最大容量
Mini-ITX規格では、通常メモリスロットは2本のみ。
16GB×2で32GB、または32GB×2で64GBが上限になる場合が多いです。
動画編集や仮想環境を使う予定なら、64GB対応モデルを選んでおくと安心です。
5. ストレージスロットと拡張性
M.2スロットの数と配置も重要です。
M.2 SSDを複数搭載したい人は、スロットが2つ以上あるモデルを。
さらにSATAポートの数も確認して、必要なストレージが接続できるかを見ておきましょう。
6. 接続端子と無線機能
ミニPCでは「I/Oポートの充実度」が使い勝手を左右します。
背面のUSB Type-C、DisplayPort、HDMI、LAN(2.5GbEなど)のほか、Wi-FiやBluetoothが標準搭載されていると便利です。
LANケーブルを使わないリビング設置ではWi-Fi対応が必須です。
7. 電源回路と冷却設計
小型ケースでは熱がこもりやすいため、マザーボード自体のVRM(電源回路)やヒートシンク性能も確認しておきましょう。
高性能CPUを使うなら、冷却強化されたモデルを選ぶのがポイントです。
ミニPCにおすすめのマザーボード厳選
ここからは、用途別におすすめのMini-ITXマザーボードを紹介します。
価格や入手性、将来性を考慮して選びました。
ASUS ROG STRIX B650E-I GAMING WIFI(AMD AM5)
ASUSのゲーミングブランドROGシリーズから登場した、ハイエンドMini-ITXマザーボード。
PCIe 5.0対応のM.2スロットやWi-Fi 6Eを搭載し、最新のRyzenプロセッサをしっかり支えます。
VRMも強力で、コンパクトながら本格的なゲーミングPCを組みたい人に最適です。
ASRock B650I Lightning WiFi(AMD AM5)
安定した電源設計と冷却性能で評価の高いMini-ITXモデル。
価格と機能のバランスが良く、Ryzen 7000シリーズを生かせます。
M.2スロットが2つあり、ストレージ構成の自由度も高めです。
GIGABYTE A620I AX(AMD AM5)
より手頃な価格でAM5世代に対応したMini-ITXマザーボード。
2.5GbE LANとWi-Fi 6Eを搭載し、普段使いや軽いクリエイティブ用途にぴったり。
静音・省電力志向の構成にも合います。
ASRock N100DC-ITX(Intel N100)
低消費電力CPUを内蔵した省スペース向けモデル。
軽作業・オフィス用途・メディアプレイヤー用として人気があります。
ACアダプタ電源で動作するため、電源ユニット不要で超小型PCが作れます。
ミニPC構成の考え方
省電力・日常用途モデル
- CPU:Ryzen 5 8600GまたはASRock N100DC-ITX(内蔵GPU搭載)
- マザーボード:ASRock N100DC-ITX
- メモリ:16GB
- ストレージ:NVMe SSD 500GB
- ケース:Mini-ITX対応のスリムケース
- ポイント:静音性重視。ファンレスまたは低回転ファンを採用。
軽作業やブラウジング中心ならこの構成で十分。
VESAマウントでモニター裏に固定するなど、省スペース設置も可能です。
ゲーム・クリエイティブ向けモデル
- CPU:Ryzen 7 7800X3DまたはCore i7-14700K
- マザーボード:ASUS ROG STRIX B650E-I GAMING WIFI
- GPU:GeForce RTX 4070クラス
- メモリ:32〜64GB
- ストレージ:M.2 SSD 1TB+追加SATA SSD
- ケース:GPU搭載対応のMini-ITXケース
- ポイント:電源と冷却に余裕を持たせる。SFX電源を採用。
小型でもデスクトップ並みの性能を目指すならこの構成が理想です。
エアフローを意識してファン配置を工夫すると安定性が上がります。
ミニPCを自作するときの注意点
ミニPCはコンパクトな分、組み立てに少しコツが必要です。
次のポイントを意識しておくと失敗が少なくなります。
- ケースとマザーボードの規格を必ず確認
- 電源ユニットのサイズ(SFXやTFX)を合わせる
- ケーブル長やコネクタ位置を事前に把握
- エアフローを妨げないよう配線を整理
- 冷却ファンの位置を調整し、VRMの温度上昇を防ぐ
特にMini-ITXケースはスペースが限られるため、パーツの干渉確認が重要です。
YouTubeなどの自作PC動画を参考にするのもおすすめです。
失敗しないマザーボード選びのコツ
- CPUとソケットをセットで考える
- ケースに収まるサイズを優先
- Wi-FiやBluetoothなど必要な機能を明確に
- VRMやヒートシンクの品質にも注目
- 少し上のグレードを選んでおくと長持ち
価格だけで決めると、後から「端子が足りない」「発熱が気になる」と後悔することも。
特にミニPCは拡張が難しいので、最初から余裕を持たせるのがポイントです。
ミニPCを自作するならどのマザーボードが最適?まとめ
ミニPCを自作するなら、マザーボード選びがすべての基礎になります。
サイズ、ソケット、チップセット、冷却性能、端子構成を総合的に見て、自分の用途に合った1枚を選びましょう。
軽作業中心ならASRock N100DC-ITX、
ゲーミングやクリエイティブ用途ならASUS ROG STRIX B650E-I GAMING WIFIやASRock B650I Lightning WiFiが特におすすめです。
限られたスペースに性能と静音性を詰め込むのがミニPC自作の醍醐味。
お気に入りのマザーボードで、自分だけの小型PCを組み上げてみてください。
