小型でパワフルなミニPC。デスク上の省スペース性やインテリア性の高さで人気ですが、実は「熱」と「騒音」に悩むユーザーも多いんです。ファンの音を抑えたい、でも熱を持つと性能が落ちる…。そんなとき役立つのが「冷却シート（サーマルパッド・放熱シート）」です。今回は、静音性と放熱性を両立させるおすすめ冷却シートを7製品紹介しながら、その選び方や効果をわかりやすくまとめます。
ミニPCの熱対策に「冷却シート」が効く理由
ミニPCはコンパクトゆえに、内部空間が狭く熱がこもりやすい構造です。
高負荷の作業をすると、ファンが全開で回り「ブーン」という音が気になる…そんな経験、ありませんか？
冷却シートは、CPUやSSDなどの発熱部品とヒートシンクや筐体を“熱でつなぐ”役割を持つアイテムです。
これを貼ることで、部品から金属ケースに熱がスムーズに伝わり、空気の流れが少なくても放熱しやすくなります。
結果として――
・ファンが高回転になる頻度が減る
・内部温度が下がり、サーマルスロットリング（性能低下）を防げる
・静かで安定した動作をキープできる
つまり、「冷却シートを貼る＝静音性と放熱性を同時に底上げする」ことにつながるのです。
冷却シートを選ぶときのポイント
熱伝導率は“数値”よりも“バランス”
パッケージに書かれた「W/m・K」という熱伝導率の数値。高いほど熱を伝えやすいですが、厚みや密着性も重要です。
薄すぎると隙間が埋まらず、厚すぎると逆に熱が伝わりにくくなる場合も。ミニPCの場合は、0.5〜1.0mm程度の厚みが扱いやすいでしょう。
材質の違いを理解する
冷却シートの素材にはいくつかのタイプがあります。
- シリコーン系：柔らかくて扱いやすく、コスパも良い。
- グラファイト／グラフェン系：熱伝導率が非常に高く、ハイエンドな冷却性能。
- フェーズチェンジタイプ：熱が加わると柔らかくなり、微細な隙間を埋めるタイプ。
静音を重視するなら、扱いやすいシリコーン系か、高伝導なグラフェン系がおすすめです。
電気を通す素材には注意
グラフェン系シートの中には電気を通すものもあります。
基板上で使うとショートする危険があるため、必ず絶縁性のあるタイプを選びましょう。
実際にどれくらい効果があるの？
冷却シートを貼ると、どのくらい温度が下がるのか気になりますよね。
レビューや検証では、アイドル時で2〜5℃程度の低下、負荷時でも5〜10℃程度の改善が見られた例があります。
わずか数℃でも、ファンが高速回転を始める「閾値温度」に達しにくくなり、静音運用時間がぐっと伸びます。
“熱暴走を防ぐ保険”としても優秀です。
ミニPC冷却シートおすすめ7選
ここからは、静音性と放熱性の両立を目指す人にぴったりの製品を紹介します。
価格帯や特徴も合わせてチェックして、自分のミニPCに合うものを選びましょう。
1. Thermal Grizzly KryoSheet（グラフェンシート）
超高性能グラフェン素材を使ったサーマルパッド。
液体グリスのような塗りムラがなく、貼るだけで安定した熱伝導を実現します。
長期間使っても乾燥しにくく、静音重視のファンレス構成にもおすすめ。
ただし導電性があるため、施工時は位置ズレに注意。
2. Thermal Grizzly Minus Pad 8
柔らかく密着性に優れたシリコーン系パッド。
8W/m・Kの熱伝導率で、CPUやVRM、SSDなど幅広い用途に対応。
コスパと扱いやすさのバランスが非常に良く、初めての冷却シートにも最適です。
3. Cooler Master Thermal Pad TPX-NOPP-9010
信頼のクーラーマスターブランド。厚み1.0mmのパッドがミニPCのギャップ埋めにぴったりです。
やや硬めの素材ながら、圧をかけるとしっかり密着。耐久性も高く、長期間の運用に向いています。
4. WÄM Alphacool Apex ソフトサーマルパッド（11W/m・K）
ドイツの冷却ブランド・Alphacoolが手掛ける高性能モデル。
柔らかくて扱いやすく、厚み1mmでヒートシンクと部品をしっかり密着。
高負荷でも安定して温度を抑えたい人におすすめです。
5. 放熱グラファイトシート T62（0.13mm）
超薄型で、ケース全体に熱を拡散させる用途に最適。
ミニPCの底面や側面に貼ると、金属筐体がそのまま“ヒートスプレッダ”として働きます。
軽量・安価で導入しやすい点も魅力です。
6. RS PRO 熱伝導シート（8W/m・K）
RSコンポーネンツ製の産業グレードパッド。
耐熱性・絶縁性に優れ、安定した性能を長期間維持できます。
コストを抑えつつ品質を重視したいユーザーに。
7. WW-P10090-65 グラフェン銅箔熱伝導シート
大型の銅箔＋グラフェン構造で、ケースと部品を面で熱結合できるモデル。
底面貼付や筐体放熱化に向き、ファンレスPCの熱対策にも効果的。
工作好きなユーザーにはカスタム用途として人気です。
ミニPCに冷却シートを貼るときのコツ
実際に貼るときは、次の3つを意識しましょう。
- 接触面をきれいに脱脂する
油分や埃があると熱が伝わりにくくなります。 - 厚みを測ってから選ぶ
ヒートシンクと部品の隙間を実測し、0.5〜1mm前後のパッドを選ぶと失敗しにくいです。 - 圧をかけて均等に密着させる
ネジ留めやクリップを使い、シート全体に均等な圧を加えましょう。
貼るだけで終わりではなく、「どこに熱を逃がすか」を意識するのがポイントです。
底面がアルミや金属製の筐体なら、そこを“放熱板”として活かせます。
こんな人に冷却シート導入がおすすめ
- 静音重視でファンをできるだけ回したくない人
- 長時間稼働させるサーバー・ホームシアター用途のミニPCユーザー
- 高負荷時の温度上昇や性能低下を防ぎたい人
- ファンレス構成やVESAマウントで空気の流れが少ない環境
- 改造・メンテナンスが好きで、冷却性能を手軽に上げたい人
冷却シートは“ちょい足し”のカスタマイズですが、静音・温度・安定性のバランスを整えるうえで費用対効果の高いパーツです。
冷却シートで静音ミニPCライフを快適に
最後にもう一度。
冷却シートは「貼るだけ」でミニPCの熱伝導を改善できる頼もしいアイテムです。
ほんの数℃の違いでも、ファンの動作音が減り、パフォーマンスが安定し、長時間の作業も快適になります。
もし今、「ファンの音が気になる」「底面が熱い」と感じているなら――
今日から冷却シートを試してみてください。
静音性と放熱性を両立する“最強のミニPC”に、一歩近づけるはずです。
