最近、デスクの上をすっきりさせながらも高性能なPCを使いたい――そんな人たちの間で「ミニPC」が人気を集めています。小さな筐体に最新CPUや高速SSDを詰め込み、今やノートPCを超えるパワーを持つモデルも珍しくありません。
そして、その中でも注目されているのが「メモリ32GB構成」のミニPCです。この記事では、なぜ32GBメモリが快適動作の鍵になるのか、どんな人におすすめなのか、そして実際にどんなモデルがあるのかを紹介していきます。
ミニPCでもメモリ32GBが選ばれる理由
まず、メモリ（RAM）はPCの「作業机」のようなものです。机が広ければ広いほど、同時にたくさんの資料やツールを広げて作業ができますよね。
PCも同じで、メモリが多ければ同時に複数のアプリを動かしても処理が滞りにくくなります。たとえば、ブラウザのタブを十数枚開きながら動画を再生し、写真編集ソフトを立ち上げる。そんな状況でも快適に動くのが32GBメモリ搭載ミニPCの魅力です。
特に近年は、Windowsやブラウザ自体が以前よりもメモリを多く消費するようになっています。16GBでも不満はないけれど、同時作業が増えると「少し重いな」と感じる瞬間が出てくる。その余裕を作るのが32GB構成です。
動画編集や配信でもたつかない快適さ
動画編集ソフトや配信アプリは、動作が重くなりやすい代表格です。
たとえば4K動画を扱うと、プレビュー再生だけでも大量のメモリを使います。さらに、バックグラウンドでブラウザや音楽プレイヤー、チャットツールなどを開いたままだと、16GBでは足りなくなるケースが増えます。
32GBあれば、レンダリング中に別作業をしてもフリーズせず、エフェクトを多用してもスムーズに動く余裕があります。
また、YouTubeやTwitchでゲーム配信をする場合もメモリが重要です。ゲーム自体に加えて、配信ソフト（OBSなど）やチャット、ブラウザが常に動いています。こうした「同時負荷」を軽々こなせるのも、32GBミニPCの大きな強みです。
ミニPCだからこそ「余裕のある構成」が安心
「ミニPC＝省スペース・軽作業用」と思われがちですが、いまのミニPCは違います。
最新のRyzenシリーズやIntel Core Ultraを搭載したモデルも登場し、コンパクトでもデスクトップ並みの処理能力を備えています。
ただし、筐体が小さいぶん内部の拡張性は限られます。メモリスロットが1～2本しかない機種も多く、後から増設できない場合も少なくありません。だからこそ、購入時点で余裕のある32GB構成を選んでおくことが“後悔しない選択”になります。
また、ミニPCは冷却性能にも注意が必要です。コンパクトな設計だと熱がこもりやすく、高負荷作業を続けるとパフォーマンスが落ちることも。高性能なCPUと32GBメモリを備えたモデルほど、冷却設計のしっかりしたものを選ぶのがポイントです。
CPU・ストレージとのバランスも大事
メモリ容量だけを見て選ぶのはNGです。
快適さを引き出すには、CPUやストレージの性能もバランスよく整っている必要があります。
たとえば動画編集や3Dレンダリングを行うなら、8コア以上のRyzen 7やCore i7クラスを選ぶとよいでしょう。SSDはSATAよりもNVMe対応の高速タイプを搭載しているか確認を。
最近のミニPCは、1TBのNVMe SSDを標準で搭載するモデルも増えています。これならデータの読み書きが早く、アプリの起動もストレスなく行えます。
実際に人気のあるミニPC（メモリ32GB搭載モデル）
ここでは、実際にユーザー評価が高く、動画編集やゲーム用途にも対応できるモデルを紹介します。
- MINISFORUM UM870 Slim
Ryzen 7 8745HとDDR5 32GBを搭載。高速1TB SSDとマルチモニタ出力対応で、編集用途やクリエイティブ作業に最適。 - GMKtec M5 Plus
コストパフォーマンスの高さが魅力。ミドルクラスのRyzen CPUを採用し、普段使いから軽い動画編集まで安定して動作。 - GMKtec M6 Ultra
最新世代のチップを搭載した高性能モデル。処理速度が速く、ゲームや配信をしながら他の作業もスムーズにこなせます。 - ASRock DeskMini 310W＋32GB DDR4構成
自作派向けのベアボーンモデル。自分好みにパーツを組み合わせられる自由度があり、長く使える拡張性も魅力です。
どのモデルも手のひらサイズながら、32GBメモリ＋高性能CPUで快適な動作を実現しています。価格も5万円台からあり、かつてより格段に手が届きやすくなりました。
16GBで十分？それとも32GBを選ぶべき？
「そこまで重い作業はしないし、16GBでも大丈夫では？」という声もあります。
確かに、ウェブ閲覧やOffice、動画視聴程度なら16GBでも困りません。
ただし、作業内容が少しでも増えると話は変わります。ブラウザのタブを大量に開く、写真編集と動画視聴を同時にする、配信ソフトを動かしながらチャットを開く――こうした場面ではメモリの余裕が効いてきます。
つまり、16GBは「今の快適さ」、32GBは「これからの余裕」です。
長く使いたい人、将来的に動画編集や配信にも挑戦したい人には、最初から32GB構成を選ぶことをおすすめします。
コストと将来性のバランスをどう考えるか
32GBモデルは16GBモデルより価格が1～2万円ほど高いのが一般的です。
とはいえ、その差は“安心を買う”と考えると決して高くありません。
後からメモリを増設できないミニPCも多く、買い替えとなれば結局コストがかさみます。初期投資で余裕を持たせておくほうが、長期的には経済的です。
また、AIアプリや高解像度編集ソフトなど、今後はさらにメモリを多く使う時代になっていくと予想されています。
いま32GBを選んでおけば、数年先まで安心して使えるマシンになるでしょう。
ミニPCを選ぶときのチェックポイント
32GBメモリ以外にも、購入時に確認しておきたいポイントがあります。
- デュアルチャネル構成かどうか
メモリを2枚で動かすデュアルチャネルなら、体感性能が大きく向上します。 - 冷却性能
小型筐体は熱がこもりやすいため、ファンやヒートパイプの設計をチェック。 - ポートの種類と数
HDMIやUSB-C、2.5GbE LAN、SDカードスロットなど、接続環境を事前に確認。 - ストレージ拡張性
M.2スロットの有無やSSD交換のしやすさも見逃せません。 - メーカー保証とサポート
長く使うなら、国内サポートや保証期間が明記されているメーカーが安心です。
小型でも“本格派”。ミニPCの可能性は無限大
数年前までは「ミニPC＝サブ機」でしたが、今では「小さくても本格的に使える」時代です。
32GBメモリを積んだモデルなら、動画編集・配信・マルチタスク・ビジネス用途まで幅広く対応可能。
机の上をすっきりさせつつ、高速で安定した作業環境を手に入れることができます。
コンパクトな筐体に大きな余裕を。
ミニPCのメモリ32GB構成は、これからの働き方や趣味の幅を広げる“頼れる相棒”になるはずです。
