こんにちは。今もiPhone Xを手にしているあなたに、そっと現実を伝えながら、これからの選択肢をお話しします。
「そろそろ限界かも」「まだまだ使えるはず」――その狭間で揺れる気持ち、よくわかります。発売から8年以上。かつて「未来」と騒がれたこの端末は、2026年の今、どんな立ち位置にいるのでしょうか。
この記事では、ノスタルジーではなく「今、使えるか」に焦点を当てます。最新の状況を踏まえ、この名機とどう付き合い、次にどう進むべきかの判断材料をお届けします。
iPhone Xを2026年に使い続ける「3つの現実」
まずは、現実を直視しましょう。美しいデザインと革新的なFace IDで私たちを驚かせたiPhone Xも、技術の進歩の前には無情です。2026年にメイン機として使い続ける際には、主に3つの大きな壁が立ちはだかります。
1. ソフトウェアサポートの終了という絶対的な壁
一番の決定的な点は、公式のiOSアップデートが提供されなくなったことです。最終バージョンはiOS 16でした。つまり、それ以降に登場した新機能や、最も重要な定期的なセキュリティアップデートが受けられない状態です。特に、iOS 18以降の目玉である生成AI機能「Apple Intelligence」は利用不可能。文章の自動要約や高度な画像編集、進化したSiriといった、現代のスマートフォンの「知性」からは完全に取り残されています。
2. ハードウェア性能の限界が日常にじわり効く
当時最速を誇ったA11 Bionicチップも、今やウェブサイトやアプリの処理に重さを感じる場面が増えています。最新のSNSアプリ、少し重めのゲーム、動画編集をしようとすると、その「もたつき」は無視できません。カメラも同様。最新機種が当たり前にこなす暗所での綺麗な撮影(ナイトモード)や、計算写真学による驚異的な画質向上を目の当たりにすると、その差は明らかです。
3. 現代の「当たり前」が使えない不便さ
- 5G通信の非対応:今や街中に張り巡らされた高速で安定した5Gネットワーク。その恩恵にあずかれないのは、通信速度や混雑時の安定性で見劣りする原因です。
- 交通系ICカードの予備電源機能なし:iPhone XS以降のモデルに搭載された、バッテリー切れ後も数時間はSuicaが使える「予備電源機能」。これがないiPhone Xは、バッテリー切れが即「改札で足止め」を意味します。このリスクは都市生活者にとって無視できません。
それでも「使える」シチュエーションと中古購入の注意点
では、完全に終わった端末なのか? そんなことはありません。上記の制約を「前提」として了解した上でなら、まだまだ活躍の場はあります。
現役として「使える」ケース
- Wi-Fi環境下のサブ機・専用機として:自宅やオフィスで、動画や音楽を楽しむメディアプレイヤー、子どもや祖父母との連絡用の専用端末、ゲーム専用機としてなら十分機能します。
- 基本操作に徹する場合:電話、メール、LINE、シンプルなネット検索、メモやカレンダーといった基本機能に限定すれば、多少の動作の鈍さはあるものの、日常の用は足せます。
中古購入を考えるあなたへ、絶対にチェックすべきこと
2〜3万円台と非常に手頃な価格が魅力の中古iPhone X。しかし、飛びつく前に以下のリスクを頭に入れてください。
- バッテリー状態は最優先事項:経年劣化によるバッテリー持ちの悪化はほぼ確実です。Appleの正規バッテリー交換プログラムは終了している可能性が高く、信頼できる第三者の修理店での交換を想定する必要があります。そのコストも計算に入れましょう。
- 故障時の修理は「難航」を覚悟する:製造から長い年月が経ち、純正部品の調達は非常に困難です。万が一、画面破損やその他の故障が起きた場合、「修理できない」「修理コストが機体価格を超える」という事態も十分あり得ます。
中古購入は「消耗品」「リスクあり」と割り切り、短期間の使用やサブ機として考えるのが賢明です。
もし買い替えるなら? iPhone Xから感じられる「進化の実感」
もし今、iPhone Xから最新のiPhoneへ乗り換えたら、どこがどれだけ変わるのか。具体的にイメージしてみましょう。
1. ディスプレイと操作性の飛躍
- 「ノッチ」から「ダイナミックアイランド」へ:単なる切り込みが、ライブアクティビティ(タクシー配車やスポーツ結果など)を表示するインタラクティブな領域へ進化。
- 120Hz ProMotionディスプレイ:画面の動きが圧倒的に滑らか。スクロールやゲームの体験が次元違いです。
- オールデイ・ディスプレイ:ロック画面でも時刻やウィジェットを常時表示。一目で情報が得られる便利さは、一度使うと手放せません。
2. カメラ性能の次元が違う
- 画素数とセンサーの進化:1200万画素から4800万画素へ。光を取り込むセンサー自体も巨大化し、どのような環境でも明るくクリアな写真が撮れるようになりました。
- レンズのバリエーション:超広角、望遠(光学5倍ズーム以上)レンズが加わり、表現の幅が劇的に広がります。
- 計算写真学の深化:ポートレートモードの精度向上、夜景モードの進化など、ソフトウェアによる画像処理がプロ級の仕上がりを実現します。
3. 通信と充電の「ストレスフリー」化
- 5G通信:動画のサクサク再生、大容量ファイルの瞬時ダウンロード。通信の待ち時間がほぼなくなります。
- MagSafe:ピタッと磁着して確実に充電。カチャッとはまる各種アクセサリ(ウォレット、カースタンドなど)の便利さは革命的です。
- USB-Cポートへの統一:充電ケーブルが他のガジェットと共通化。持ち物がシンプルになります。
4. 最大の違いは「知性」:Apple Intelligence
これが、2026年現在における新旧の決定的な分かれ道です。端末内で処理される生成AI「Apple Intelligence」は、単なる機能追加ではありません。
- メールやウェブ記事を一瞬で要約。
- 打ち間違えた文章を適切に修正・言い換え。
- 写真から特定の人物や物を切り抜く「ジェネレーティブ切り抜き」。
- 自然な会話ができる、文脈を理解するSiri。
この「スマートさ」は、日常のあらゆる作業を軽く、速く、賢くしてくれます。iPhone Xでは絶対に味わえない、現在進行形の進化の中心です。
あなたの選択肢を整理する:iPhone Xとの向き合い方
ここまでの話を踏まえて、あなたの状況に照らし合わせてみましょう。
「まだ継続使用」が向いている人
- スマホを「電話、メール、LINE、ネット検索」程度にしか使わない。
- 最新アプリやゲームに興味がない。
- 予算的に新機種の購入が難しい。
- サブ機として、Wi-Fi環境下での使用が主。
「中古購入」がギリギリ成立する条件
- どうしても1〜3万円台の予算で収めたい。
- 子供の最初のスマホや、短期間の使用が目的。
- バッテリー交換などの追加コストと、故障リスクを承知している。
- 最新機能には一切こだわらない。
「買い替え」を真剣に検討すべき人
- セキュリティアップデートが切れている状態に不安を感じる。
- 動作の重さやカメラの性能に日常的に不満がある。
- 5Gの速さや、Apple Intelligenceのような最新の利便性を享受したい。
- これからさらに長く、安定して使える端末が欲しい。
まとめ:iPhone Xとのこれから
2017年、私たちの手に「未来」をもたらしたiPhone X。その革新的なデザインとFace IDは、間違いなくスマートフォンの歴史を塗り替えました。
しかし、2026年という「現在」から振り返ると、その立ち位置は変わりました。未だに美しく、基本に忠実な端末ではあるけれど、現代のスマートフォンが提供する「進化の最前線」からは撤退したベテラン。そんな風に言えるかもしれません。
大切なのは、ノスタルジアや愛着ではなく、「あなた自身が今、スマートフォンに何を求めているか」です。
「使えるツール」として最低限の機能だけで良ければ、まだ役目を果たしてくれます。しかし、「進化を味わい、安心・安全に、ストレスなく使い続けたい」と願うのであれば、乗り換えはもはや「選択肢」ではなく「必然」に近いと言わざるを得ません。
iPhone Xとの別れは、一つの時代の終わりを意味します。でもそれは、また新しい、そしてこれまで以上にあなたの生活をスマートにサポートする時代の始まりでもあります。この名機とどう別れ、次にどう進むか。その判断が、あなたのこれからのデジタルライフを形作っていくのです。
