最近、デスクの上をすっきりさせたいとか、リビングで静かに作業できるパソコンが欲しいという声をよく聞きます。そんな人たちの間で注目されているのが「ACEMAGIC」のミニPCです。価格が手ごろで、しかも小さいのに高性能――そんな評判を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ACEMAGICミニPCを実際に使って感じた性能・静音性・拡張性を中心に、本音でレビューしていきます。
コンパクトなのに侮れないACEMAGICミニPCとは?
ACEMAGICは中国発のミニPCブランド。日本ではまだ知名度こそ高くありませんが、コストパフォーマンスと省スペース性でじわじわ人気が広がっています。
見た目は手のひらサイズ。小型スピーカーほどの筐体にCPU、メモリ、SSDがきっちり詰まっています。しかも多くのモデルがWindowsを標準搭載していて、電源を入れればすぐに使える設計です。
代表的なモデルをざっくり挙げると、次のようになります。
- ACEMAGIC V1:Intel N150搭載、16GBメモリ、512GB SSD。軽作業向き。
- ACEMAGIC S1 N100:第12世代N100搭載、4コアCPUで普段使いにちょうどいい。
- ACEMAGIC F3A:Ryzen AI 9 HX370搭載、最大64GB RAM対応のハイエンド機。
この価格帯でここまでのスペックを詰め込んでいるのは正直驚きです。
性能:普段使いには十分、動画編集も意外といける
まず気になるのが性能。小さな筐体の中にどこまで力があるのか、正直最初は半信半疑でした。
ACEMAGIC S1 N100をメインに使ってみた感想としては、日常的な作業なら何の不満もないというのが本音です。
Webブラウジング、YouTubeの視聴、Officeアプリでの文書作成――この辺りはスムーズ。複数タブを開いてももたつくことはほとんどありません。
意外だったのが、軽い画像編集や簡単な動画編集ならこなせてしまう点。もちろんエンコード時間はそれなりにかかりますが、趣味レベルなら十分使えます。CPUの性能でいえば、ノートPCの中級モデルと同等か少し上という印象でした。
一方で、3Dゲームや4K動画編集のような重負荷作業では限界が見えます。CPU使用率が100%に張り付き、ファンも全力回転。快適に使うには、やはり用途を割り切るのが大切です。
静音性:ファンの存在を忘れるほど静か
個人的に最も感心したのが静音性。
アイドル時、つまり待機や軽作業中はほぼ無音。耳を近づけても「サーッ」という風切り音がかすかに聞こえる程度です。夜間の静かな部屋でも気にならないレベルで、テレビの音や空気清浄機の風音のほうが大きいくらい。
もちろん、高負荷作業を続けるとファンの回転音は聞こえます。それでも耳障りな「ブーン」という低音ではなく、軽い風切り音。冷却性能も悪くなく、負荷が下がればすぐに静かになります。
長時間動画を再生しても熱がこもらず、表面温度もほどよく抑えられていました。
静かな環境で作業したい人、リビングや寝室で常時稼働させたい人にとって、この静音性はかなり魅力的だと思います。
拡張性:小型でも手を抜かない構造
ミニPCというと「あとから増設できない」「パーツ交換が難しい」というイメージがありますが、ACEMAGICは意外と柔軟。
モデルによって違いはありますが、SSDの換装やメモリの増設が可能な構造になっています。ACEMAGIC S1 N100の場合、M.2スロットが空いており、最大2TBまでのSSDに交換可能です。
ACEMAGIC F3Aのような上位モデルでは、64GB RAMや4TB SSDにも対応。USB4ポートや2.5GbE LANなど、周辺機器との連携も強力です。
ミニPCの中でも“自分好みに手を入れたい人”に向いている設計といえるでしょう。
ただし、筐体が非常にコンパクトな分、放熱スペースが限られています。高性能パーツを詰め込みすぎると熱がこもりやすくなるため、換装時は冷却面にも注意が必要です。
デザインと設置性:インテリアになじむコンパクトさ
外観の印象もACEMAGICの魅力のひとつ。
角のない丸みを帯びたフォルムに、マットな質感のブラックボディ。デスクに置いても主張しすぎず、どんな空間にも自然になじみます。
マグネット式のスタンドやVESAマウントに対応しているモデルも多く、モニタ背面や壁際にもスマートに設置可能です。
ケーブル類を整理すれば、まるで“PCが存在しない”ようなすっきりとしたデスクを作れるのがこのシリーズの良さ。
省スペースにこだわる人、リビングやキッチンに常設したい人にもおすすめです。
実使用で感じたメリットと注意点
ACEMAGICミニPCを実際に使ってみて感じた「良い点」と「注意点」をまとめておきます。
良い点
- 小型でも日常用途は十分な性能
- 驚くほど静かで、常時稼働も苦にならない
- 設置自由度が高く、どこにでも置ける
- SSD換装やポートの多さなど拡張性も悪くない
- コストパフォーマンスが非常に高い
注意点
- 高負荷作業やゲーミングには力不足
- モデルによっては冷却効率が限界に近い
- 海外メーカーゆえ、サポート情報が少なめ
- 稀に初期状態の設定で不具合報告がある
特に最後の2点は、購入前に販売元や保証の有無をよく確認しておくことをおすすめします。国内正規販売店から購入すれば、初期不良時の対応もスムーズです。
どんな人におすすめできるか?
ACEMAGICのミニPCが向いているのは、次のような人たちです。
- ノートPCの代わりにコンパクトな据え置きを探している
- サブPCや家族共用マシンとして使いたい
- テレワークや動画視聴を静かにこなしたい
- DIY感覚でSSDやメモリを交換して楽しみたい
逆に、ハイエンドなゲーミングPCや動画制作をメインにしたい人は、より上位クラスのPCを選んだ方が満足度が高いでしょう。ACEMAGICはあくまで「コスパ重視」「小さくて静かな実用マシン」としての位置づけがベストです。
本音レビューのまとめ:ACEMAGICミニPCは“手のひらサイズの主役級”
ACEMAGICミニPCを使ってみて感じたのは、「価格を考えると、ここまでやれるのか」という驚きでした。
小さくても日常作業に必要な性能をしっかり備え、静かで、省スペースで、しかも拡張もできる。
それでいて3万円台から手に入るのだから、コストパフォーマンスの高さは圧倒的です。
もちろん、万能ではありません。重い作業には限界がありますし、ブランドとしての信頼性はまだ成長途中です。
それでも、自分の用途を見極めて選べば、ACEMAGICミニPCは確実に生活を便利にしてくれる存在になるはずです。
「机の上を広く使いたい」「静かな作業環境がほしい」「コスパのいい小型PCを探している」――そんな人にとって、ACEMAGICミニPCは間違いなく試す価値のある一台です。
