最近、コンパクトで高性能な「ミニPC」が話題になっています。その中でも注目を集めているのが、AMDの最新統合GPU「Radeon 880M」を搭載したモデル。
見た目は小さくても、中身はデスクトップ顔負けの実力を持つ――そんな“ちょっといい”ミニPCたちを、最新情報と実測データを交えて紹介していきます。
Radeon 880Mとは？最新APUの実力をチェック
まずは、Radeon 880MというGPUがどんな存在なのかを整理しておきましょう。
Radeon 880Mは、AMDの「Ryzen AI」シリーズなどに搭載される統合型グラフィックス（iGPU）。最新アーキテクチャのRDNA 3.5を採用し、前世代「Radeon 780M」から性能が約15％向上したとされています。
演算ユニットは12基（768シェーダー相当）、動作クロックは約3.2GHz。統合GPUとしてはハイエンドクラスで、3DMark Time Spyではスコア約3,700点というデータも。これは、フルHD環境のゲームや動画編集などもこなせるレベルです。
つまり、専用GPUを積まずとも「軽めのゲーム」「映像制作」「マルチモニター作業」など、幅広い用途に対応できるというわけです。
Radeon 880Mのベンチマークを深掘り
統合GPUというと、以前は「ゲームには不向き」というイメージがありました。
しかし、Radeon 880Mはその常識を覆しつつあります。
実測ベンチマークでは次のような結果が報告されています。
- 3DMark Time Spy： 約3,757点
- Geekbench OpenCL： 約30,000点前後
- 実ゲーム性能（1080p High設定）
平均フレームレート：約36fps（中量級タイトル）
Ultra設定では平均28fpsほど
つまり、「設定を少し調整すれば1080pで多くのタイトルを快適に動かせる」という水準です。
前世代のRadeon 780Mからは確実な進化を見せていますが、上位の専用GPU（例：RTX 4060）とはまだ差があるため、“ミドルクラスの統合GPU”として評価するのが妥当です。
Radeon 880M搭載ミニPCおすすめ5選
ここからは、実際にRadeon 880Mを搭載している注目ミニPCを紹介します。
すべて「小型・静音・高性能」を両立したモデルで、どれも個性豊かです。
1. Beelink SER9 Pro
Ryzen AI 9 365 + Radeon 880M
今いちばん注目されているのがこのモデル。
最新のRyzen AI 9 365（8コア16スレッド）とRadeon 880Mを組み合わせ、静音性・冷却性能・拡張性の三拍子がそろっています。
32GBのLPDDR5Xメモリ（デュアルチャネル）と1TB NVMe SSDを標準搭載。USB4ポートやHDMI×2、DisplayPortも備え、最大3画面出力にも対応。
レビューでは「高負荷時でも静か」「筐体温度が低い」と高く評価されています。
唯一の注意点は、メモリが基板直付け（増設不可）なこと。将来的な拡張を重視する人はその点を確認しておきましょう。
2. ACEMAGIC F3A
Ryzen AI 9 HX 370 + Radeon 880M
コンパクトボディにRyzen AI 9 HX 370を搭載した高性能ミニPC。
Radeon 880Mの性能を最大限に引き出す設計で、DDR5メモリのデュアルスロットを採用。最大64GBまで増設できます。
実機レビューでは、「静音で熱がこもりにくい」「ゲームや動画編集でも快適」と評されており、価格に対してのパフォーマンスは非常に優秀。
USB4端子を備えているため、将来的にeGPU（外付けGPU）を接続することも可能です。
外観もアルミ調で高級感があり、デスクに置いても映えるデザインが魅力です。
3. Minisforum UM790 Pro Refresh
Ryzen 9 8945HS + Radeon 880M
ハイパフォーマンスと冷却設計に定評のあるMinisforumシリーズからも、Radeon 880M搭載機が登場。
Ryzen 9 8945HSと組み合わせることで、ベンチマーク性能はTime Spyスコア3700超え。
PCIe 4.0 SSD×2、USB4、2.5G LAN、Wi-Fi 7対応など、最新規格をフル装備。
動画編集やAI処理など、マルチスレッド性能が求められる用途にも十分対応します。
静音性と電力効率のバランスも良く、オフィスにもゲームルームにも溶け込む万能機です。
4. Morefine M600S Ryzen AI Edition
Ryzen 7 AI 365 + Radeon 880M
軽量・省スペースを追求したミニPCながら、内部構成はしっかりしています。
Radeon 880Mの性能を活かすための冷却設計が工夫されており、ファンノイズが非常に静か。
最大64GBメモリと1TB NVMe SSDを搭載可能で、作業用メインPCとしても活躍します。
4K出力対応でマルチモニター環境にも強く、動画再生やストリーミングにも向いています。
日常作業から軽いゲームまでをこなせる、コスパ重視の選択肢です。
5. GEEKOM A8
Ryzen AI 9 365 + Radeon 880M
国内でも人気の高いGEEKOMブランドからも、Radeon 880M搭載機が登場しました。
性能的にはBeelink SER9 Proに近い構成ですが、GEEKOM A8は筐体デザインと静音性の高さが魅力。
レビューでは「熱がほとんど気にならず、常に安定して動作する」「ファン音が控えめ」と好評。
また、国内保証があり、購入後の安心感も大きいです。初めてミニPCを買う人にもおすすめの1台です。
Radeon 880M搭載ミニPCを選ぶポイント
同じRadeon 880Mを積んでいても、製品によって性能差はあります。
その差を生むのは、次の3つの要素です。
- メモリ構成
シングルチャネルかデュアルチャネルかでGPU性能が大きく変わります。
できればデュアルチャネル仕様のモデルを選ぶのが理想です。 - 冷却設計
熱がこもると自動的にクロックが下がる「サーマルスロットリング」が発生します。
冷却性能に余裕のあるモデルは、同じGPUでも安定したパフォーマンスを維持できます。 - 電源設定とTDP制限
Radeon 880MはCPUのTDPに依存します。65W設定と45W設定では、ベンチマークスコアに差が出る場合も。
性能重視なら高TDP設定のモデルを、静音重視なら控えめ設定のモデルを選ぶと良いでしょう。
どんな用途に向いている？
Radeon 880M搭載ミニPCは、軽い作業から中程度のクリエイティブ用途まで幅広く対応します。
- ◎得意分野
日常作業、動画再生、画像編集、軽い動画編集、1080pクラスのゲーム。
特にeスポーツ系やインディーゲームなどは快適に動きます。 - △注意したい点
最新のAAA級ゲームを高設定でプレイするには力不足。
4K編集や3Dレンダリングなど、GPU負荷の高い用途では外付けGPUが必要になる場合もあります。
このように、無理なく“現実的な範囲”で高性能を楽しめるのがRadeon 880Mの魅力です。
Radeon 880Mが注目される理由
では、なぜ今Radeon 880Mが注目されているのでしょうか。
その理由はシンプル。
「統合GPUでも十分に戦える時代になった」からです。
これまで「小型PC＝低性能」という常識がありました。
しかしRadeon 880Mは、消費電力と発熱を抑えながら、従来の専用GPUに迫る描画性能を実現。
小さな筐体でも快適に動くミニPCが現実になったのです。
さらに、Ryzen AIシリーズによってAI推論処理（NPU）も扱えるようになり、
映像処理や写真補正、AI支援アプリの動作もよりスムーズになっています。
つまり、Radeon 880M搭載ミニPCは
「コンパクトで、静かで、しかも賢い」――そんな時代の最適解と言えるでしょう。
まとめ｜Radeon 880M搭載ミニPCおすすめ5選を振り返って
最後に、今回紹介したRadeon 880M搭載ミニPCをもう一度おさらいしましょう。
- Beelink SER9 Pro：高静音・高冷却で万能バランス
- ACEMAGIC F3A：拡張性とデザイン性が光る
- Minisforum UM790 Pro Refresh：最新規格対応のハイスペックモデル
- Morefine M600S：軽量・省スペースでコスパ抜群
- GEEKOM A8：国内保証付きで安心感あり
どのモデルも、コンパクトさと性能を両立した実力派です。
Radeon 880Mは、これまでの“統合GPUの限界”を超える存在。
小さなボディで大きなパワーを体感したい人に、今もっともおすすめできる選択肢です。
ミニPCの新時代は、すでに始まっています。
あなたのデスクにも、Radeon 880Mの力を――。
