「最近ミニPCの動作が重い」「売却や譲渡の前にデータをきれいにしたい」──そんな時に必要なのが“初期化”です。
ミニPCはコンパクトで扱いやすい一方、メーカーやモデルによって仕様が違うため、初期化の手順を間違えると再起動不能になることもあります。
この記事では、ミニPCを安全かつ確実に初期化する方法を、初心者でもわかるよう丁寧に解説します。
ミニPCを初期化する前に準備しておくこと
大切なデータのバックアップを取る
初期化を行うと、PC内のデータがすべて消去されます。
仕事の資料や写真、動画など、大切なファイルはクラウド(OneDrive・Google Driveなど)や外付けHDDに保存しておきましょう。
もしライセンスが必要なソフトを使っている場合は、プロダクトキーやアカウント情報を必ず控えてください。再インストールの際に必要になります。
不要な周辺機器は取り外す
USBメモリ、外付けHDD、プリンターなど、初期化に関係のない機器は外しておきましょう。
特にUSBデバイスを接続したままだと、誤って削除対象になったり、リセットが途中で止まることがあります。
OSとドライバーの確認
初期化の前にWindows 11 Home 日本語版のアップデートを済ませ、システムが安定している状態にしておくと安心です。
また、ミニPCの場合はWiFiやBluetoothなどのドライバーが特殊なことがあります。メーカー公式サイトから最新のドライバーをダウンロードしておきましょう。
ミニPCを初期化する3つの方法
1. Windows 11 Home 日本語版の「PCをリセットする」機能を使う
もっとも手軽なのが、Windows標準の初期化機能です。手順は以下の通り。
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「システム」→「回復」を選択
- 「このPCをリセットする」をクリック
- 「個人用ファイルを保持する」または「すべて削除する」を選ぶ
- 「クラウドから再インストール」か「ローカル再インストール」を選択
「クラウドから再インストール」を選ぶと、最新のWindowsをオンラインで再取得できます。
ただし、インターネット環境が不安定な場合は「ローカル再インストール」が安全です。
この方法はWindowsが正常に起動できる場合に最適。初期化後も設定やドライバーの再インストールが比較的スムーズに進みます。
2. メーカー独自のリカバリ機能を使う
ミニPCには、工場出荷時の状態に戻せる“リカバリ機能”が搭載されているモデルもあります。
電源を入れた直後に「F9」や「F12」など特定のキーを押すと、リカバリーメニューに入るタイプです。
この方法では購入時の状態──つまりプリインストールソフトも含めて戻せます。
ただし、不要なバンドルアプリまで再インストールされることがある点に注意。
「とにかく出荷時の状態に戻したい」という人におすすめです。
3. USBメディアを使ってクリーンインストールする
より確実で“まっさらな状態”にしたい場合は、USBメモリからWindowsを入れ直す方法が最も徹底的です。
- 8GB以上のUSBメモリを用意
- Microsoft公式サイトから「メディア作成ツール」をダウンロード
- ツールを使ってインストールメディアを作成
- ミニPCの電源を切り、USBを差し込む
- 起動直後に「F7」「F12」などのキーを押してUSB起動を選択
- セットアップ画面で「カスタム:Windowsのみをインストール」を選ぶ
- 既存のパーティションを削除して未割り当て領域にインストール
クリーンインストールは時間と手間がかかりますが、不要なソフトが一切残らず、動作も軽快になります。
OSが起動しない場合や、リセット機能が動かないときにも有効です。
初期化時に注意すべきポイント
電源を切らない
初期化中に電源を落とすと、システムが壊れて起動できなくなることがあります。
電源ケーブルを抜かず、ノート型ミニPCならACアダプターを接続した状態で行いましょう。
WiFi・Bluetoothドライバーが消える可能性
初期化後に「WiFiがつながらない」「Bluetoothが動かない」といったケースがあります。
ミニPC特有の無線チップは汎用ドライバーでは動作しない場合があるため、事前にドライバーをUSBに保存しておくと安心です。
ストレージの状態をチェック
SSDやeMMCが劣化していると、初期化が途中で止まることがあります。
不安な場合は無料の診断ツールでストレージの健康状態を確認しておきましょう。
初期化がうまくいかない時の対処法
- Windowsが起動しない場合
電源を入れた直後に強制終了を3回繰り返すと、回復メニュー(自動修復)に入ることができます。
「トラブルシューティング」→「このPCを初期状態に戻す」を選べば、OS上からと同様の初期化が可能です。 - USB起動ができない場合
BIOS/UEFI設定で「ブート順」を確認し、USBを最優先に設定しましょう。
セキュアブートがオンのままだと外部デバイスからの起動を拒否することもあるので、必要に応じてオフにします。 - ライセンス認証が通らない場合
Microsoftアカウントに紐づいた「デジタルライセンス」があれば、同じハードウェア構成なら自動的に再認証されます。
もし認証エラーが出る場合は、トラブルシューティングから「このデバイスのハードウェアを変更しました」を選びましょう。
初期化後にやっておきたい設定
ネットワークとWindows Updateの確認
まずはWiFiまたは有線LANを設定し、Windows Updateを実行して最新の状態にします。
セキュリティ更新を怠ると、せっかく初期化しても脆弱なままです。
ドライバーと必要なソフトを入れ直す
メーカー公式サイトからチップセット・グラフィック・WiFiなどのドライバーをダウンロードしてインストール。
その後、自分が日常的に使うアプリだけを厳選して入れましょう。
不要な試用版ソフトは入れないことで、再び動作が重くなるのを防げます。
バックアップ設定を構築する
初期化後の“まっさらな状態”は非常に貴重です。
システムイメージの作成やクラウドバックアップを設定しておくと、次回トラブルが起きた時も短時間で復旧できます。
ミニPCを初期化するメリットと注意点
初期化の最大のメリットは「トラブルをリセットできる」こと。
ソフトウェアの不具合や設定の混乱が原因で発生するエラーを一掃し、まるで新品のような動作を取り戻せます。
一方で、完全にデータが消える点には注意。
売却や譲渡目的ならむしろ好都合ですが、自分用として再利用する場合は必要なデータを復元できるよう準備しておきましょう。
まとめ:ミニPCを初期化する方法を理解して安全にリセットしよう
ミニPCの初期化は、トラブル解消にもデータリセットにも役立つ有効な手段です。
ただし、手順を誤ると起動不能やドライバー不具合を引き起こすこともあります。
以下の流れを守れば、安全かつ確実に進められます。
- バックアップとライセンス情報を準備
- 不要な周辺機器を外す
- 標準のリセット機能またはUSBからクリーンインストールを実施
- 初期化後はドライバー・Windows Update・セキュリティ対策を整える
ミニPCはコンパクトでも中身は立派なパソコン。
丁寧に初期化してリフレッシュすれば、再び快適に使い続けられます。
