「あの懐かしいホームボタンが今でも使えるiPhoneって、実際どうなんだろう?」
「最新のiPhoneは高すぎるけど、性能はしっかり欲しい。いい選択肢はないかな?」
そんな風に考えているあなたに、2022年に登場しながらも今なお熱い支持を集めるスマートフォン、iPhone SE 第3世代があります。発売から数年が経過したいま、この「見た目は昔、中身は最新」を掲げたモデルにどんな価値があるのか。本当に自分に合うのか。この記事では、2026年の視点で徹底的に解説していきます。結論から言えば、この端末は特定の価値観を最優先する人にとって、今でも最高の選択肢のひとつです。
iPhone SE第3世代の本質:変わらないものと、ガラリと変わったもの
まず、このモデルが何者なのかをはっきりさせましょう。見た目は2017年に発売されたiPhone 8や、2020年の第2世代SEとほぼ同じ。4.7インチの画面、上下のベゼル、そしてホームボタンに組み込まれたTouch ID(指紋認証)。手にした瞬間、「あ、知ってるこの感じ」という安心感がありますよね。このデザインだからこそ、過去のモデル用のケースがそのまま使えるという利点もあります。
では、何が変わったのでしょうか?
最大の変化は、その「中身」、特に頭脳にあたるチップです。第3世代SEには、当時の最新モデルであったiPhone 13シリーズと同じ「A15 Bionic」チップが搭載されました。前世代(A13チップ)と比べて、処理速度は最大で約1.3倍、グラフィック性能は約1.2倍も向上。特にAI処理を担当するニューラルエンジンはコア数が倍増し、これが写真の画質を大きく進化させる原動力になりました。
つまり、使い慣れた操作性と、最新に匹敵するスピードを両立させたのが、このスマートフォンの真骨頂なのです。
2026年現在の冷静な評価:長所と短所を白黒つける
年月が経った今、このモデルの強みと弱みはより鮮明になっています。あなたの生活スタイルに照らし合わせて、じっくり考えてみてください。
揺るぎない3つの長所
- 圧倒的なコストパフォーマンス
「最新チップを、手頃な価格で」。これが発売当時の最大の売りでした。現在では新品の流通は限られますが、中古市場を中心に、高性能なA15チップを非常にリーズナブルな価格で手に入れられる選択肢として残っています。スマートフォンを「消耗品」ではなく「長く使う道具」と捉える人にとって、これは大きな魅力です。 - Touch IDとホームボタンの確かな操作性
マスク生活が完全になくなったわけではない今日でも、顔を隠したままでもサッとロック解除できるTouch IDの便利さは健在です。画面を見ずにホームボタンの位置を触感で確認できるのは、何よりも確実。最新モデルのジェスチャー操作が苦手な方や、物理ボタンの「カチッ」という反応を好む方にとって、これは譲れないポイントです。 - 片手操作の完成形としてのコンパクトサイズ
幅約67mm、重さ約144g。このサイズ感は、ポケットにすっとしまえ、片手で全ての操作を完結させる「取り回しの良さ」では右に出るものはいません。大画面が主流の今だからこそ、この軽快さは一度味わうと手放せなくなる感覚です。
時代とともに顕著になった3つの短所
- バッテリー持続時間のハンディキャップ
これが最大の弱点です。公式スペック上の動画再生時間は最大15時間ですが、実際に5G通信を使ったり、外出先で頻繁に使ったりすると、ヘビーユーザーなら1日の途中で充電が必要になる場面も。特に発売から数年経った中古機ではバッテリー自体が劣化している可能性が高く、購入時にはバッテリー状態の確認が必須です。 - シンプルすぎるカメラシステム
背面カメラは12MPの単眼レンズのみ。超広角も望遠もありません。A15チップによる高度な画像処理(ディープフュージョンやスマートHDR4)で写り自体は向上していますが、ハードウェアの限界から暗い場所での撮影に強い「ナイトモード」には非対応です。SNSに上げる程度の日常写真は問題ありませんが、写真撮影を楽しみたい方には物足りなさを感じるでしょう。 - 最新のAI機能への非対応
これは今後を考える上で重要なポイントです。iOS 18以降で本格化した「Apple Intelligence」などの生成AI機能は、A17 Pro以降の新しいチップを必要とします。A15チップを搭載する第3世代SEは、これらの最先端の便利機能を利用することができません。今後のOSアップデートでも、機能面で制限を受ける可能性があります。
結局、どんな人におすすめできる? タイプ別で診断
これらの特徴をふまえて、今この機種を選ぶ価値が特に高い人を3つのタイプに分けてみました。
1. 操作感を変えたくない「現状維持派」
今、iPhone 8や第2世代SEを使っているあなた。使い慣れたホームボタンとTouch IDをそのままに、体感できるほど速い動作と、写真のキレイさだけを手に入れたい。そう思っていませんか? 筐体サイズが同じなのでケースも流用可能で、移行コストが最小限。あなたには、これ以上ないアップグレードです。
2. スマホはツールと割り切る「機能本位派」
最新の多眼カメラにも、画面の広さにも、そこまで興味がない。電話、メッセージ、地図、ネット検索、そしてごく簡単な写真撮影ができれば十分。でも、操作のストレスはなく快適に使いたい。そんな「必要十分」を求めるあなたに、A15チップの快適さはしっかり届きます。余計な機能にコストをかけない、スマートな選択と言えるでしょう。
3. 生体認証の確実性を求める「実務派」
医療現場や工事現場、あるいは日常的に手袋を使う環境で働く方。マスクが手放せない環境にいる方。顔認証(Face ID)が難しい状況では、Touch IDの確実さは圧倒的です。仕事で使うツールとして、信頼性を最優先するあなたのニーズにピッタリ合っています。
迷ったときの比較ポイント:類似モデルと何がどう違う?
選択肢は他にもあります。迷った時は、ここを比べてみてください。
・[iPhone 13 mini]との違い
13 miniは、より小さな本体に5.4インチの全面有機ELディスプレイを詰め込み、超広角カメラも備えた「高密度」モデルです。認証方法がFace IDになります。つまり、「Touch IDかFace IDか」、そして「コンパクト性をどこまで求めるか」が選択の分かれ道。13 miniも販売は終了していますが、中古市場では価格帯が近い場合があります。
・最新の廉価モデル(例:[iPhone 16e])との違い
2025年登場の新しいエントリーモデルは、現代的な全画面ディスプレイとFace ID、そして最新チップ(Apple Intelligence対応)を採用しています。その代わり、画面サイズは6.1インチと大きくなります。ここでの選択は、「最新の機能とデザイン」を取るか、「コンパクトサイズとTouch ID」を取るかという、根本的な価値観の選択になります。
購入前に確認すべき、3つの現実的なポイント
実際に手に入れるとなったら、この点をチェックしてください。
1. OSサポートはあとどれくらい?
アップルは通常、発売から5~7年間は最新OSの提供を続けます。2022年発売の第3世代SEは、2026年現在も最新のiOSを動かしており、セキュリティアップデートを含むサポートは少なくとも2028年前後までは続くと予想されます。ただし、前述の通り最新OSの全機能(特にAI関連)を使えるわけではない点は理解が必要です。
2. どこで、どんな状態のものを買う?
現在、新品を正規販売する店舗はほとんどありません。購入先は中古市場が中心になります。価格比較サイトや信頼できるリサイクルショップのオンラインサイトで相場を調べましょう。中古品を購入する際は、「バッテリー最大容量」(80%以下は要注意)と「外観の傷」を必ず確認することが鉄則です。
3. 5Gは使えるの?
使えます。iPhone SEシリーズで初めて5G(Sub-6 GHz帯)に対応したのがこの第3世代です。ただし、より高速なミリ波帯や上位モデルのような高度なアンテナ技術には非対応なので、スペック表上の数値だけを見て過度な期待は禁物です。とはいえ、実用上は十分快適な速度を体験できるでしょう。
iPhone SE第3世代の真の価値は、トレードオフを受け入れられるかどうか
結局のところ、iPhone SE 第3世代を2026年に選ぶということは、「絶対に手放せない一つの価値」のために、他の多くのトレードオフを進んで受け入れる決断です。
その「一つの価値」とは、片手で全てを操作し切る軽快さかもしれません。ホームボタンを押す確かな手応えかもしれません。あるいは、必要十分な性能に見合った、控えめな出費かもしれません。
大画面で動画を楽しみたい、最新のAI機能を試したい、バッテリー持ちに一切の不安を感じたくない——そういう願いがあるなら、別のモデルが幸せにしてくれるでしょう。
しかし、もしあなたが求めているのが、時代に流されない、確固たる「使い心地」そのものなら。iPhone SE第3世代は、発売から数年を経た2026年の今でも、輝きを失わない唯一無二の選択肢です。最新であることよりも、自分に確かに合っていること。その大切さを教えてくれるスマートフォンだと言えるのではないでしょうか。
