スマホで動画を撮るのは当たり前の時代だけど、なんだか自分の撮った映像が「なんとなくスマホっぽい」と感じたことはない?
映画のような深みのある色合い、明るい空の雲の一枚一枚までくっきり、暗い室内でもノイズが少ない…そんな映像に憧れるなら、あなたにこそ知ってほしい機能があります。
それが、iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxに搭載されている「Apple ProRes Log撮影」です。
名前だけ聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、その本質はシンプル。
カメラが自動で色味やコントラストを決めてしまう前に、「素材そのものの豊かな情報」をまるごと記録するモードなんです。
この記事では、そんなLog撮影の魅力を存分に引き出し、あなたの動画制作の可能性を一気に広げる方法を、初心者の方にもわかりやすくお伝えしていきます。
Log撮影ってなに? iPhoneで得られる3つの大きなメリット
まずは、「Log」がなぜプロから愛されるのか、その核心を理解しましょう。
簡単に言うと、Logは「編集用の特別な下準備」のような撮影モードです。
普通のモードで撮ると、カメラはその場で「これがきれいな映像だ!」と判断して色や明るさを調整し、完成品を保存します。
一方、Logモードで撮影すると、カメラは「明るい部分の情報」も「暗い部分の情報」も、できるだけ全てを記録しようとします。
その結果、最初に見る映像は色が薄く、コントラストが低い、少し変な感じがするかもしれません。
でも、ここに大きな価値があります。
この「薄い状態」の映像を、DaVinci ResolveやFinal Cut Proといった編集ソフトで自分の好みに色付け(カラーグレーディング)することで、得られるメリットは計り知れません。
- 白飛び・黒つぶれを大幅に軽減:真夏の青空と雲のコントラスト、夕日のグラデーション、逆光の人物の顔…普通の撮影では明るすぎて真っ白(白飛び)や、暗すぎて真っ黒(黒つぶれ)になってしまう部分の細かい情報を保持できます。
- 編集の自由度が桁違いに向上:撮影後に、まるでRAW写真を現像するように、映像の雰囲気を自由に変えられます。温かい印象にすることも、クールで映画的な雰囲気に仕上げることも、あなた次第です。
- 複数カメラでの色合わせが簡単:iPhone 16 Proとプロ用カメラを併用して撮影したとしても、Logデータは色の情報が豊富なので、編集段階で見た目を自然に一致させることが容易になります。
ただし、この高性能な処理には強力なチップが必要です。
Apple ProRes Log撮影は、iPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Max、そして最新のiPhone 16 Pro/iPhone 16 Pro MaxのProモデルだけが対応している、まさに「プロ向け」の機能なのです。
128GBモデルでも大丈夫! Log撮影を始めるための2つの準備
「でも、ProResって聞くとすごくファイルサイズが大きくて、すぐ容量がいっぱいになりそう…」
特に128GBモデルをお使いの方の、この不安はもっともです。
標準のカメラアプリでProRes Logを選択すると、高画質な設定では内部ストレージがすぐに圧迫されてしまいます。
でも、心配はいりません。そこには確実な解決策があります。
方法1:外部SSDを使って容量制限を突破する(高画質派向け)
最もストレートで確実な方法です。
iPhone 16 ProのUSB-Cポートに、高速な外部SSDを直接接続して記録します。
これなら、内部ストレージの容量を一切気にすることなく、最高品質の4K/60fpsや4K/120fps(スローモーション用)でのLog撮影が可能に。
選ぶSSDの目安は、書き込み速度が220MB/s以上あれば4K/60fpsに、440MB/s以上あれば4K/120fpsにも安心して対応できます。
接続する前に、パソコンでSSDを「exFAT」形式でフォーマットしておくことをお忘れなく。
方法2:Blackmagic Cameraアプリでスマートに撮る(手軽さ重視派向け)
実は、App Storeで無料で提供されている「Blackmagic Camera」というアプリを使うと、さらに柔軟な選択ができます。
このアプリ内で、コーデック(記録方式)を「HEVC(H.265)」、カラースペースを「Apple Log-HDR」に設定すれば、ProRes形式を使わずにLog撮影が可能になります。
HEVCは効率的な圧縮方式なので、ファイルサイズを大幅に抑えつつ、Logの豊かな情報を保持できるのです。
これなら、128GBの内部ストレージのみでも、実用的な長さのLog撮影が十分に楽しめます。
今日から使える! 撮影設定の実践ガイド
準備が整ったら、いよいよ設定です。二つの主要な方法を押さえましょう。
標準カメラアプリで設定する
最もオーソドックスな方法です。
- iPhoneの「設定」アプリを開き、「カメラ」→「フォーマット」と進みます。
- 「Apple ProRes」のスイッチをオンにします。
- その下に「ProResエンコーディング」という項目が現れるので、タップして「Log」を選択します。
- カメラアプリを起動し、動画モードにしたら、画面右上の「Log」アイコン(四角の中に波線)が表示されていることを確認します。
これで設定は完了。シンプルですね。
Blackmagic Cameraアプリで設定する(おすすめ)
先ほど紹介した無料アプリは、設定だけでなく、撮影時の制御機能が圧倒的に豊富で、本格派にはたまらないツールです。
- アプリを起動したら、画面中央上部の設定ボタン(歯車アイコン)をタップ。
- 「カメラ設定」から「カラースペース」を「Apple Log-HDR」に。
- 「録音コーデック」で「HEVC Video」を選択します(128GBモデルで内部記録する場合)。
このアプリの真価は、波形モニターやゼブラパターンといったプロ用の露出確認ツールが使える点。
画面に映っている部分のどの明るさが飛びそうか、視覚的に確認しながら撮影できるので、失敗が格段に減ります。
失敗しない! Log撮影の必須テクニック3選
設定が終わっても、普通と同じ感覚で撮ると、思わぬ失敗につながるかもしれません。
Logを活かすための、特に重要な3つのポイントを押さえましょう。
1. 露出は「ハイライト優先」が鉄則
Logの最大の強みである「ハイライトの情報保持」を活かすためには、明るすぎて白飛びしてしまう部分を作らないことが最も重要です。
編集で暗くすることはできても、完全に飛んでしまった白い部分に後からディテールを戻すことはできないからです。
Blackmagic Cameraアプリの「ゼブラ」機能をオンにし、画面の中で過剰に明るい部分がしましま模様で表示されたら、露出(明るさ)を少し下げて調整しましょう。
2. 野外ではNDフィルターが必須アイテムに
「ハイライトを飛ばさないように露出を下げたいけど、それだと映像全体が暗くなってしまう…」
こんなジレンマを解決してくれるのが、カメラレンズの前に取り付ける「ND(減光)フィルター」です。
サングラスのように光の量を適度にカットしてくれるので、適正な露出を保ったまま、シャッター速度を理想的な値(「1/フレームレート×2」が目安。24fpsなら1/48秒前後)に設定することができます。
これにより、自然なブレ(モーションブラー)を持った、フィルムのような質感の映像が撮れるようになります。
3. ホワイトバランスを「固定」する
Log映像は編集で色味を大きく調整する前提なので、撮影中にオートホワイトバランスが働いて色がブレる(変動する)のは好ましくありません。
室内(タングステン灯)なら約3200K、晴天の屋外なら約5600Kなど、光源に合わせたケルビン値でホワイトバランスをマニュアル固定しましょう。
Blackmagic Cameraアプリなら、この設定も簡単です。
編集の第一歩:Log映像を「現像」して魅力を引き出す
撮影が終わったら、いよいよ楽しい編集の時間です。
Log映像はそのままでは色が薄いので、まずは「Rec.709」と呼ばれる標準的な色域に変換する「現像」作業が必要です。
ここでは、プロも愛用する無料の超本格編集ソフト「DaVinci Resolve」を使った基本的な流れをご紹介します。
- プロジェクト設定:DaVinci Resolveを起動し、新規プロジェクトを作成したら、「プロジェクト設定」の「カラーマネジメント」セクションを開きます。ここで「カラースペース」を「Apple Log」に合わせておくことで、ソフトが正しくデータを認識します。
- 変換LUTの適用:編集ページの「カラー」ワークスペースに移動します。画面右下の「LUT」ボックスから、「Apple Log to Rec.709」のような変換用のLUT(ルックアップテーブル)を適用します。一瞬で、自然なコントラストと色合いの映像に変身します。
- クリエイティブな調整:ここからがあなたの出番です。変換後の映像を土台に、色補正パネルを使って好みの雰囲気に仕上げていきましょう。暖かくしたいならハイライトをオレンジ寄りに、映画のように冷たい印象にしたいならシャドウに青を少し足す…そんな微調整がLogデータなら驚くほどきれいに反映されます。
最初は「Apple Log to Rec.709」LUTを適用するだけで、その違いの大きさに驚くはずです。
それだけで、スマホで撮ったとは思えない深みと質感が手に入ります。
ユーザーの声から学ぶ、よくある悩みと解決策
実際にLog撮影に挑戦した方々の声には、貴重な気づきが詰まっています。
- 「登山の風景を撮影したら、空の雲と山の影の両方がくっきり写って感動した!」
→ Logの広いダイナミックレンジが、自然界の高いコントラストを見事に収めた好例です。 - 「128GBのiPhone 16 Proで、Blackmagic CameraアプリのHEVC Logを使ったら、旅行の長時間撮影も容量を気にせずできた」
→ アプリの選択肢があることで、機種を問わずLogの世界に入れるのが嬉しいですね。 - 「自転車で走りながらの撮影は手ブレが心配だったけど、Blackmagic Cameraの『シネマティック安定化』がすごく効果的だった」
→ アプリの高度な機能が、実践的な課題を解決してくれます。
撮影前に確認! iPhone 16 Pro Log撮影の重要注意点
最後に、スムーズに撮影を進めるために、知っておくべき重要なポイントをまとめます。
- 対応モードの確認:Apple ProRes Logは、シネマティックモード、スローモーション、タイムラプスでは使用できません。通常の動画撮影モード専用の機能です。
- 発熱対策:4K/120fpsなどの高負荷な設定で長時間撮影すると、本体が熱を持つことがあります。撮影時は保護ケースを外すだけで放熱性が向上し、パフォーマンス低下を防げることがあります。
- 音声にもこだわる:せっかく映像の質感が上がれば、音もこだわりたいところ。内蔵マイクの「空間オーディオ」は風切り音の抑制に効果的ですが、インタビューなどでは外部マイクの接続をおすすめします。
あなたの映像が変わる! iPhone 16 Pro Log撮影の世界へ
いかがでしたか?
「iPhone 16 Pro Log撮影」は、一見専門的な技術に思えますが、その本質は「後から自由に色を創れる、高品質な素材を撮る」という、クリエイターにとっては理想的な機能です。
最初は、Blackmagic Cameraアプリで手軽にHEVC Logから始めてみる。
慣れてきたら、外部SSDを使って最高画質のProRes Logに挑戦する。
その過程で、露出や色の基礎を学び、編集ソフトで世界を広げていく。
この一歩が、あなたの動画を単なる「記録」から、感情やストーリーを伝える「作品」へと昇華させるきっかけになるはずです。
さあ、あなたのiPhone 16 Proを取り出して、まずは設定を変えてみましょう。
目の前の世界が、これまでとは全く違う「素材」として見え始める、その瞬間を体験してください。
