「曲を作ってみたいな」そんな気持ち、ちょっとした好奇心、誰でも一度は持ったことがあるんじゃないでしょうか。
でも、いざ始めようとすると壁がたくさん。楽器ができない、音楽理論がわからない、機材が高そう…。そんな理由で、多くの人が最初の一歩を踏み出せずにいます。
もし、そんなあなたが今、手元にiPhoneを持っているなら、もう音楽制作を始めるためのものはすべて揃っています。そう、そのiPhoneに標準で入っている、無料アプリ「GarageBand」こそが、最高の音楽制作入門ツールなんです。
楽器経験ゼロ、知識ゼロからでも大丈夫。この記事を読み終わる頃には、あなたもGarageBandで自分だけのメロディやリズムを作り始めていることでしょう。
GarageBandってなに? 無料でここまでできる驚きのアプリ
GarageBand(ガレージバンド)は、Appleが開発した完全無料の音楽制作アプリです。DTM(デスクトップ・ミュージック)やDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)と呼ばれるソフトの一種で、プロのミュージシャンも愛用する本格派です。
でも「プロ用」と聞いて身構えないでください。このアプリの本当のすごさは、初心者にも優しい直感的な設計にあります。
ピアノもギターもドラムも、全てがこのアプリの中にバーチャル楽器として用意されています。録音スタジオのような機材も必要ありません。あなたのiPhoneが、そのままミニ音楽スタジオになるんです。作った音楽は、そのままSNSでシェアしたり、着信音にしたりできる手軽さも魅力です。
さあ、始めよう! 迷わず選べる3つのスタート地点
アプリを開いたはいいものの、画面にたくさんのボタンやメニューがあって、「どこから手をつけていいかわからない…」と感じるかもしれません。
安心してください。GarageBandでの始め方は、主に3つのパターンから選べます。あなたの「やってみたい!」という気持ちに一番近い入り口から、気軽に試してみてください。
1. DJ気分で音楽を組み立てる「Live Loops」で遊ぶ(超オススメ!)
「演奏は苦手だけど、音楽の組み立て自体を楽しみたい」「パズル感覚で曲を作ってみたい」という方に、まず試してほしいのが「Live Loops」機能です。
これは、プロが制作した数百もの短い音楽フレーズ(ループ)が、グリッド(升目)状に並べられた画面です。あなたがすることはただ一つ、気に入ったフレーズのマス目をタップするだけ。
タップしたマス目の音が鳴り始め、次々と別のマス目をタップしていくと、ドラム、ベース、シンセなどの音が重なり合って、あっという間にオリジナルのリミックスやトラックが完成していきます。コードやリズムの知識は一切不要。直感的な操作で、音楽の「センス」を存分に発揮できるのが魅力です。
2. 画面を楽器に!「Touch Instruments」で演奏する
「ピアノを弾いてみたい」「ドラムを叩きたい」という、具体的な「演奏」への憧れがある方は、「Touch Instruments」から始めるのが楽しいでしょう。
画面に表示されたバーチャルキーボードやドラムセット、ギターの指板を、そのままタップして演奏します。特に「Smart」と名の付いた楽器(Smart Piano、Smart Guitarなど)は、初心者に優しい仕組みが満載です。
例えばSmart Pianoなら、画面下に「C」や「G」といったコード名が表示されます。これをタップするだけで、そのコードに合わせたきれいなアルペジオ(分散和音)やリフが自動で流れ出します。1本指で、あの名曲のコード進行を再現することだって夢じゃありません。演奏に自信がなくても、立派な作曲体験ができるんです。
3. レゴブロックのように曲を作る「ループ」を使う
「自分の中でメロディのイメージがあるわけじゃないけど、素材を組み合わせて何かを作りたい」という方は、膨大なライブラリから音素材を選んでつなげていく方法が向いています。
画面右上の「ループ」アイコン(波線が重なったマーク)をタップすると、「ループブラウザ」が開きます。ここでは、ジャンルや楽器、ムード(明るい、暗いなど)から、数千ものプロ品質の音楽ループを検索できます。
気に入ったループを聴いて、タイムライン上にドラッグ&ドロップ。まずはドラムループで土台を作り、そこにベースループ、ピアノループと重ねていくと、驚くほど本格的な楽曲が組み上がっていきます。すべてのループはキーとテンポが自動で同期するので、音が外れてしまう心配もありません。まるで音楽のレゴブロックで遊んでいるような感覚です。
これだけは押さえたい! GarageBand超実用的な使い方のコツ
基本の入り口がわかったら、次は制作をより楽しむための実践的なコツをいくつか紹介します。これらのポイントを知っているだけで、作業がスムーズになり、できることの幅がぐっと広がります。
まずは「テンポ」と「キー」を設定しよう
曲作りを始める前に、画面上部にあるメトロノームのような数字(テンポ=BPM)と、「C」や「G」のようなアルファベット(キー=調)を確認・設定しましょう。特に「キー」を曲の始めに決めておくと、後で追加するすべての音がその調に自動で合わせられるので、心地よいハーモニーが生まれやすくなります。迷ったら、テンポは120前後、キーは「Cメジャー」に設定しておくのが無難です。
魔法の編集ツール「ピアノロール」を知る
打ち込んだメロディやベースラインの音程や長さを細かく修正したい時は、「ピアノロール」エディタを使います。トラックをダブルタップして開くこの画面では、音符一つ一つの位置(音程)と長さ(音価)を視覚的に確認・編集できます。ちょっとしたメロディの修正から、複雑なシンセフレーズの作成まで、本格的な作曲の肝となる機能です。
録音の基本:カウントインとメトロノームを味方に
実際に演奏を録音する時は、画面左上の「設定」アイコン(歯車マーク)をタップして、「カウントイン」をオンにしましょう。録音開始前に「1, 2, 3, 4」とカウントが入るので、タイミングを取りやすくなります。また、慣れるまで「メトロノーム」もオンにしておくことをおすすめします。一定のリズムが鳴り続けるので、演奏がずれてしまうのを防いでくれます。
みんなが気になるQ&A 初心者の疑問を解決
GarageBandを始める際によくある疑問や不安に、ここでお答えします。
Q. 音楽の知識が全くないんですけど、本当にできますか?
A. 本当にできます。むしろ、GarageBandは「知識がないからこそ、まずは触って音を出す楽しさを味わってほしい」という思想で作られていると感じます。Live LoopsやSmart Instrumentsは、まさにそのための機能です。まずは知識よりも「楽しむこと」を優先してください。楽しんでいるうちに、自然と「このコードってなんだろう?」と興味が湧いてきたら、それが次の学びのステップです。
Q. 作った曲はどうしたらいい? 保存や共有方法が知りたい。
A. プロジェクトは自動でiCloudに保存されるので、紛失の心配はありません。曲が完成したら、画面左上の「▼」マークをタップし、「マイソング」に戻ります。作品を長押しして「共有」を選ぶと、オーディオファイル(MP3など)として書き出せます。ここから、メールやメッセージで友達に送ったり、YouTubeやSoundCloudなどのSNSにアップロードしたりできます。さらに「着信音」として書き出せば、世界に一つだけのオリジナル着信音の完成です!
Q. もっといろんな音を使いたい! 追加の音源はある?
A. あります。アプリ内の「サウンドライブラリ」(楽器選択画面の右上などにあります)を開くと、無料でダウンロードできるたくさんの追加サウンドパックが用意されています。エレクトロニカ、ヒップホップ、ロックなど、さまざまなジャンルの音源が随時追加されているので、あなたの音楽の引き出しをどんどん増やしていけます。
iPhoneのGarageBandで広がる、あなたの音楽の世界
いかがでしたか? たった一台のiPhoneと、無料のGarageBandがあれば、音楽制作への扉はもう目の前に開かれていることがお分かりいただけたと思います。
大切なのは、完璧な知識や高価な機材を揃えることではなく、「ちょっとやってみよう」というその一歩です。Live Loopsで遊ぶのでも、Smart Pianoでコードを鳴らすのでも、何でも構いません。まずはアプリを開き、何か一つ、音を出してみてください。
最初は意味がわからなくても、触っているうちに少しずつわかってくること、できることが増えていきます。そして、自分が選んだ音や組み合わせが、ひとつの「作品」として形になっていく瞬間の喜びは、何物にも代えがたいものです。
音楽制作は、あなたの新しい自己表現の手段になるかもしれません。感情を込めたメロディ、エネルギーのあるビートを作ることで、日常に新しい彩りが加わるかもしれません。全ては、あなたがGarageBandを起動させるその指先から始まります。
さあ、今日、今この瞬間から、あなただけの音楽を作り始めましょう。このiPhoneのGarageBand超初心者ガイドが、その心強い道しるべとなれば幸いです。
