最近、デスクの上をスッキリさせたい人たちの間で「ミニPC」が人気ですよね。手のひらサイズのボディに必要十分な性能を詰め込み、リビングや書斎でもスマートに使える。だけど、長く使っていると必ずぶつかるのが「ストレージ容量が足りない!」という問題です。
今回はそんなときに役立つ「ミニPCへのHDD増設」について、初心者でも分かるように詳しく解説していきます。
作業の流れや注意点、実際におすすめの構成例まで、これを読めば容量不足のストレスから解放されるはずです。
ミニPCにHDDを増設するメリットとは?
まずは、「なぜHDDを増設するのか?」を整理しておきましょう。
ミニPCの魅力は、小さくて静かで省エネなこと。その反面、内部の拡張性が低く、購入時のストレージ容量で我慢している人も多いと思います。写真や動画、ゲームデータ、ビジネス書類を溜めていくと、すぐにいっぱいになってしまうんですよね。
HDDを増設することで得られるメリットは主に次のとおりです。
- 大容量データを安価に保存できる
SSDよりもコスパが高く、1〜4TBクラスでも手が届きやすい価格帯です。 - データとOSを分けて使える
システムドライブをSSD、データ保存用にHDDという構成にすれば、管理がしやすく故障時のリスクも減ります。 - バックアップやアーカイブ用途に最適
家族写真や動画、制作データの長期保管にも向いています。
もちろんHDDはSSDよりも読み書きが遅いですが、「起動速度よりも容量重視」という方にはぴったりの選択です。
HDDを選ぶときのポイントと注意点
ミニPCに使うHDDは、普通のデスクトップ用と同じものを使えばいい…というわけではありません。筐体が小さい分、物理的な制限があるため、以下の点を必ずチェックしましょう。
サイズと厚みの確認
ほとんどのミニPCが対応しているのは2.5インチのSATAドライブです。
ただし厚みには「7mm」「9.5mm」などの制限があります。例えばLenovo ThinkCentre M75q-2 Tinyでは9.5mm以下のドライブしか入りません。購入前に必ず取扱説明書で確認してください。
接続方式
内部で接続できるのはSATAが主流。M.2スロットしかないモデルの場合、HDDの増設ができないケースもあります。その場合は外付けHDDを検討しましょう。
放熱と静音性
HDDは動作時に熱とわずかな振動が発生します。
ミニPCは通気性が限られているため、HDDの発熱がこもらないように、ケース内のエアフローや設置位置にも気を配るのがポイントです。静音性を重視するなら5400rpmモデルを選ぶのもおすすめ。
用途に合わせた選択を
- OSやアプリ起動を速くしたい → SSD
- 写真・動画などを大量に保存したい → HDD
- 両方をバランスよく使いたい → SSD+HDD構成
このように役割を分けると、コスパも性能も両立できます。
実際のHDD増設手順(内部増設編)
ここからは、実際にミニPCの内部へHDDを増設する流れを紹介します。作業自体はそれほど難しくありませんが、落ち着いて慎重に行うことが大切です。
1. 事前準備
- PCの電源を完全に切り、ケーブルをすべて抜く
- 静電気対策として、金属に触れて体の電気を逃がす
- 小型プラスドライバーを用意
- 作業スペースを確保し、HDDを静かに扱う
作業前に現在のデータをバックアップしておくと安心です。
2. ケースを開ける
多くのミニPCは底面や背面にネジがあり、それを外すと内部へアクセスできます。ゴム足の下にネジが隠れていることもあるので注意してください。
3. HDDマウンタの確認
内部には2.5インチドライブを固定するためのマウンタやケーブルが備わっていることがあります。
それを取り外し、HDDをネジで固定します。厚みのあるHDDを使う場合、ケーブルの取り回しに余裕があるか確認しておきましょう。
4. ケーブルを接続
SATAケーブルと電源ケーブルをそれぞれ接続します。
一部のミニPCでは専用のフラットケーブルを使用することもあるため、メーカー指定のパーツを使うのが安全です。
5. 組み戻して起動
HDDを固定したらケースを戻し、電源ケーブルを接続して起動します。
Windowsが立ち上がったら「ディスクの管理」を開き、増設したHDDを初期化・フォーマットしてドライブレターを割り当てましょう。
これでHDDが新しいドライブとして使えるようになります。
外付けHDDという選択肢もアリ
内部スペースに余裕がないミニPCでは、外付けHDDを使うのも手です。
USB3.0/USB-C接続であれば、読み書き速度も十分。電源不要のポータブルHDDなら設置も簡単で、外観もスマートにまとまります。
メリットは次の通り。
- 分解せずにすぐ使える
- 取り外し・持ち運びが簡単
- ミニPC本体の熱や振動に影響を与えない
特に小型モデルやメーカー保証を残したい人には外付けタイプがおすすめです。
また、NAS(ネットワークストレージ)を活用すれば、家庭内の他のデバイスともデータ共有ができます。
HDD増設後の運用とメンテナンス
せっかく増設したHDDを長く使うために、いくつかの習慣を取り入れましょう。
定期的なバックアップを取る
HDDは機械式パーツを使っているため、長期的には故障リスクがあります。
大切なデータは定期的にクラウドや別ドライブにもコピーしておくことが基本です。
温度管理と設置場所
高温環境ではHDDの寿命が短くなります。
PCの吸気口を塞がないようにし、夏場は風通しの良い場所に設置しましょう。
健康状態のチェック
「CrystalDiskInfo」などの無料ツールを使えば、HDDの状態を簡単に確認できます。
異常を示す数値が出たら、早めにバックアップと交換を検討しましょう。
ミニPCにおすすめの構成例
ミニPCの用途に応じて、いくつかおすすめの構成パターンを紹介します。
高速起動+大容量保存のバランス型
- メインドライブ:SSD(M.2 NVMe 512GB〜)
- サブドライブ:HDD(2.5インチ 1〜2TB)
起動やアプリ動作をSSDで高速化しつつ、動画・写真などはHDDに保存。最もバランスが取れた構成です。
ホームサーバー・メディア保存用
- メインドライブ:SSD(128GB程度)
- データ保存用:HDD(4TB〜)
- 必要に応じて外付けHDDやNASを追加
音楽や映画を一括管理したい人に最適。24時間稼働を想定するなら静音・低発熱のHDDを選びましょう。
コスト重視の拡張前提型
- 初期構成:SSDのみ(256GB)
- 将来的に2.5インチHDDを増設予定
まずはSSDだけで運用し、容量が足りなくなった段階でHDDを追加するスタイルです。費用を抑えつつ、拡張性も確保できます。
HDD増設前に確認しておきたいチェックリスト
最後に、作業前に確認すべきポイントをまとめておきます。
- ミニPCが2.5インチHDD対応か
- 厚み(7mm or 9.5mm)の制限
- SATAポートと電源コネクタの有無
- マウンタやネジが付属しているか
- 電源OFF・静電気対策を行ったか
- データのバックアップは取ったか
- ケース内の冷却経路が確保されているか
- HDD取り付け後に認識・フォーマットできるか
これらを事前に押さえておけば、失敗やトラブルのリスクを大きく減らせます。
まとめ:ミニPCにHDDを増設して、快適な環境を作ろう
ミニPCはコンパクトながら、ひと工夫すればデスクトップ並みに頼れる存在になります。
HDDを増設すれば、容量不足のストレスから解放され、動画編集・写真整理・ゲーム保存なども快適にこなせるようになるでしょう。
もちろん作業には注意が必要ですが、手順を守れば誰でも実現可能です。
「速度はSSD、容量はHDD」と役割を分けて使いこなすことで、ミニPCのポテンシャルを最大限に引き出せます。
これを機に、自分のミニPCをアップグレードしてみませんか?
HDD増設で、あなたのミニPCはもっと快適な作業空間を生み出してくれるはずです。
