ノートパソコンを開いたら、電源ボタンを押しても画面は真っ暗のまま。代わりに、電源ランプが3回、規則正しく点滅している……。
この状況、かなり焦りますよね。大切なデータが入っているのに、仕事や課題の締切が迫っているのに、肝心のパソコンが起動してくれない。一体何が起こっているんだろう? 故障? それとも、もうダメなの?
まず、落ち着いてください。この「3回点滅」は、LenovoやThinkPadが発する特定のエラーコードです。パソコンが「今、こんな問題が起きているよ」と教えてくれている、一種のモールス信号のようなものなんです。
この記事では、その点滅が意味するエラーの正体から、自分で試せる具体的な解決手順、そして最終的な対処法までを、ステップバイステップで詳しく解説していきます。ぜひ、あなたのパソコンを再び動かすための手引きとして、最後までお付き合いください。
Lenovo/ThinkPadの電源ランプ3回点滅は「メモリエラー」のサイン
結論からお伝えすると、多くのLenovo/ThinkPad機種において、電源ランプの3回点滅は、「システムメモリ(RAM)に関連する問題が検出された」 ことを意味しています。
パソコンが起動するとき、BIOS/UEFI(パソコンの基本的な入出力を司るプログラム)は、CPU、メモリ、ストレージなど主要なハードウェアに異常がないか、厳密な自己診断(POST:Power-On Self-Test)を行います。この検査でメモリに問題が見つかると、画面にエラーメッセージを出す前に起動プロセスを停止させ、代わりにこの点滅パターンでユーザーに知らせる仕組みになっています。
つまり、画面が映らないほど深刻な状態に見えても、これは「メモリがちゃんと認識できていないよ」という、比較的特定しやすい問題のサインなのです。ハードディスクやSSDの中身(あなたの大切なデータ)が直接消えているわけではありませんので、まずは安心してください。
まず試したい! 自分でできる基本のトラブルシューティング
それでは、具体的にどう対処すればいいのでしょうか。専門知識がなくても、自宅やオフィスで簡単に試せる方法から順番にご紹介します。作業の前には、必ず電源アダプターを抜き、バッテリーも取り外せる機種であれば外して、完全に通電を切ってから始めてください。
ステップ1:メモリの再装着(リシート)
一番可能性が高いのは、メモリがゆるんでしまっている、または接点(金メッキ部分)がほこりや酸化で接触不良を起こしている状態です。これを解決するために、メモリを一旦抜いて再びしっかり差し込む「リシート」を行いましょう。
- 準備:静電気で精密部品を傷めないよう、金属部分(水道の蛇口など)に触れて放電します。できれば静電気防止リストストラップがあると理想的です。
- メモリカバーを開ける:ノートパソコンの底面(D面)を見て、メモリ用の小さなカバーが付いている場合が多いです。通常、ネジ1~2本で固定されています。カバーを外し、メモリモジュールを確認します。
- メモリを取り外す:メモリの両側にある留め金(ラッチ)を外側に軽く押し広げると、メモリが斜め上に浮き上がります。その状態で、メモリを真横にスライドさせて取り出します。
- 接点を清掃する:メモリの金色の端子部分を、消しゴムで非常に優しくこすってみてください。表面の微細な汚れや酸化膜を取り除くことができます。その後、エアダスター(なければ息を軽く「フーッ」と)で消しカスをよく吹き飛ばします。
- メモリを再装着する:メモリモジュールの切り欠き(凹んでいる部分)がスロットの突起部分と合う向きを確認し、斜め約30度でスロットに差し込みます。カチッと音がするまで、上から真下に均等に力強く押し込みます。両側のラッチが自動的にかかるはずです。
- 試す:メモリカバーを元に戻し、バッテリー、電源アダプターを接続して、再度電源を入れてみましょう。
ステップ2:メモリスロットを変えてみる
ノートパソコンにメモリスロットが2つ以上あり、メモリモジュールが1枚しか搭載されていない場合、そのメモリを別の空いているスロットに挿し直してみてください。元のスロット自体に不具合がある可能性があります。
逆に、メモリを2枚差している場合(デュアルチャネル構成)は、1枚ずつ、それぞれ単体で起動するかを試してみます。この作業で、不具合のある特定のメモリモジュールを特定できる可能性があります。
ステップ3:周辺機器をすべて外す(最小構成での起動)
電源ランプの点滅はメモリエラーが主ですが、他の要因が絡んでいることもあります。パソコンを最小構成にして起動を試みることで、問題を切り分けます。
- USBに接続しているマウス、キーボード、外付けHDD、USBメモリなどをすべて抜く。
- SDカードが挿さっていたら、取り出す。
- 外部ディスプレイ(モニター)ケーブルを外す。
- 内蔵バッテリーが着脱式の場合、バッテリーを外した状態で、ACアダプターのみで起動を試みる(この時、ACアダプターは純正または信頼できる高品質なものを使用してください)。
これで起動するようであれば、外した周辺機器のどれかが原因だった可能性があります。一つずつ接続しながら再現するか確認してみましょう。
それでもダメな場合に考えられる原因と次の一手
上記の基本的な手順を試しても電源ランプの3回点滅が治らない場合、考えられる原因はもう少し深い部分にあります。ここからは、必要な道具や技術的ハードルが少し上がる対処法です。
原因1:メモリモジュール自体の物理的故障
メモリ自体が寿命や何らかの衝撃で壊れてしまっている可能性があります。他の正常なパソコンにそのメモリを挿して同じ症状が出るか、あるいは逆に、互換性が確認されている別の正常なメモリをあなたのパソコンに挿して試すことが、最も確実な確認方法です。
メモリの故障が疑われる場合、新しいメモリへの交換が必要になります。購入する際は、お使いの機種の製品仕様ページやサポートページで正式にサポートされているメモリの規格(DDR4/LPDDR5など)、周波数、最大容量を必ず確認してください。特に最近のノートパソコンは、メモリがマザーボードに半田付けされている(交換不可)モデルも増えているので注意が必要です。
原因2:マザーボード側の不具合
メモリを差す「メモリスロット」や、メモリコントローラーを内蔵するCPU、マザーボード自体に問題が発生しているケースです。これは個人での修理が非常に難しく、専門的な修理が必要になります。
具体的には、ノートパソコンのマザーボードは非常に高密度に部品が実装されており、スロットの交換などの部分修理はほぼ不可能で、マザーボード全体の交換となることがほとんどです。
原因3:BIOS/UEFI設定の問題(比較的まれ)
まれに、BIOS/UEFIの設定が何らかの原因でおかしくなり、メモリを正しく認識できなくなることがあります。これをリセットする方法が2つあります。
- CMOSクリア(BIOSリセット):マザーボード上のボタン電池(コイン電池)を一時的に外す、または特定のジャンパーピンをショートさせることで、BIOS設定を工場出荷時の状態に戻します。ノートパソコンでは方法が機種により大きく異なる(底面に専用の小さな穴がある場合も)ため、お使いの機種のマニュアルやサポート情報で、正しい手順を必ず確認してから行ってください。
- BIOSのアップデート:BIOSの不具合を修正するアップデートが提供されている場合があります。しかし、画面が映らない状態でのBIOS更新は極めて危険です。万一失敗すると、パソコンが完全に起動不能(ブリック)になるリスクがあります。この作業は、画面が映る状態で行うのが原則です。
最終手段:Lenovo公式サポートに相談する
ここまでご自身で試していただいた内容を全てメモしておき、それでも解決しない場合、またはマザーボードの故障が強く疑われる場合は、Lenovoの公式サポートに連絡することをお勧めします。
サポートに問い合わせる際に伝えるとスムーズな情報はこちらです。
- お使いのモデル名とシリアルナンバー(大抵は底面またはバッテリー収納部に貼られたラベルに記載)。
- 発生している症状「電源ランプが3回点滅し、画面が映らない」。
- これまでに試した対処法(例:「メモリのリシート、別スロットでの試行、最小構成での起動を試みましたが改善しません」)。
これらの情報があると、サポート担当者が問題を迅速に把握し、次のアクション(遠隔診断、修理受付、パーツ交換の案内など)を提案しやすくなります。パソコンが保証期間内であれば、無料で修理に対応してもらえる可能性も高いです。
まとめ:Lenovo/ThinkPadの電源ランプ3回点滅は、焦らず順序立てて対処を
電源ランプが点滅して画面が真っ暗だと、つい大きな故障を想像して慌ててしまいがちです。しかし、この3回点滅は、ほぼ間違いなくメモリに関する問題を指し示す、パソコンからの明確なメッセージでした。
対処法の流れを簡単におさらいしましょう。
- 基本作業:電源を完全に切り、メモリのリシートと接点清掃を丁寧に行う。
- 切り分け作業:メモリスロットを変えたり、1枚ずつ試したり、周辺機器を全て外した最小構成で起動を試みる。
- 原因の特定:別の正常なメモリで試すなどして、メモリ自体の故障か、マザーボード側の問題かを切り分ける。
- 専門家への依頼:自身での解決が難しいと判断したら、Lenovo公式サポートに状況を詳しく伝えて相談する。
この手順に沿って冷静に行動すれば、無事に起動する可能性は十分にあります。もしも故障だったとしても、データはストレージ(SSD/HDD)に残っていることがほとんどですので、修理後にあらためてアクセスできるでしょう。
いかがでしたか? この記事が、あなたのLenovo/ThinkPadを再び動かすための一助となれば幸いです。パソコンとの付き合いは長いですから、こんなトラブルも、きっと乗り越えられる経験の一つになるはずです。
