新しくサーバーを導入したい、あるいは今使っているシステムをリプレースしたい。そんなとき、Lenovoの「ThinkSystem」という名前を目にしたことはありませんか? 名前は知っているけど、実際にどんな製品があって、どう選べばいいのかよくわからない…。そんな悩みを抱えるIT担当者やインフラ管理者の方も多いはず。
特に、かつてIBMの「System x」やLenovoの「ThinkServer」を使っていた方なら、新しいブランドへの移行に戸惑いを感じているかもしれません。でも大丈夫。この記事では、Lenovo ThinkSystemの全体像をわかりやすく解説し、あなたのワークロードにピッタリのサーバーを選び、円滑に運用を始めるための実践的な知識をお届けします。システム選定の第一歩から、効率的な管理方法まで、この一記事で網羅していきましょう。
ThinkSystemって何? 従来のサーバーと何が変わったの?
まずは基本から確認しましょう。Lenovo ThinkSystemとは、Lenovoが提供するエンタープライズ向けのサーバー、ストレージ、ネットワーク製品をまとめたブランド名です。最大の特徴は、これまで別々に展開していた「System x」と「ThinkServer」という2つのサーバーシリーズを、一つのブランドに統合した点にあります。
これにより、ユーザーは一貫性のある製品ラインアップの中から、自分のニーズに合わせて最適な機器を選べるようになりました。混乱しがちだったブランドも一つに整理され、最新のインテルXeon Scalableプロセッサを搭載した、高性能で効率的なサーバー群が「ThinkSystem」という名前で提供されています。
あなたの悩みはどれ? ThinkSystemが解決できること
では、具体的にLenovo ThinkSystemを検討している方が抱える代表的な疑問や悩みを見ていきましょう。あなたの状況と重なる部分はありますか?
- 「製品が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない」
- 仮想化、データベース、HPC(高性能計算)など、用途によって求められる性能や拡張性は違います。豊富なラインナップの中から、自社の目的と予算に合った一台をどう見極めるかが最初の関門です。
- 「今使っているシステムからの移行が心配…」
- 旧システム(特にSystem x)からのリプレースを考えている場合、OSやアプリケーションの互換性は大丈夫? ライセンスはそのまま使える? こうした移行時の不安は尽きません。
- 「導入後の管理が手間で、効率化したい」
- サーバーが増えると、個別の設定や監視、ファームウェア更新などの作業負担が増えます。できる限り自動化し、管理工数を削減したいというのは多くの管理者の本音です。
- 「大事なシステムを預けるのだから、信頼性とサポートが気になる」
- ビジネスの基盤となるサーバーは、高い信頼性と万が一の時の迅速なサポートが必須です。ハードウェアの品質や、提供されている保守サービスの内容は重要な判断材料です。
これらの悩みのほとんどは、ThinkSystemの適切な選び方と、付随する管理ツールの活用方法を知ることで、解消の道筋が見えてきます。次の章から、その具体的な方法を詳しく説明していきます。
迷わないための選び方! ThinkSystemサーバーラインナップ完全理解
ThinkSystemの中心となるのは、インテルXeon Scalableプロセッサを搭載したラックマウント型サーバーです。ここが一番選択肢が多く、迷いやすいポイントでもあります。選び方のコツは、「筐体サイズ(1U/2U)」と「性能・拡張性のグレード」の2軸で考えることです。
まずは筐体サイズで大まかに分ける
- 1Uサーバー: ラックに占める高さがわずか1単位(約4.4cm)のスリムなサーバーです。主な特徴は以下の通り。
- 省スペースで、多くの台数を高密度に設置できる。
- 拡張スロット(PCIeスロット)やドライブベイの数は2Uより少ない傾向。
- ウェブサーバーやアプリケーションサーバー、高い計算密度が求められるHPC環境などに適しています。
- 2Uサーバー: 1Uの2倍の高さ(約8.7cm)を持つサーバーです。主な特徴は以下の通り。
- 筐体に余裕があるため、より多くの拡張カードや大容量のストレージ(HDD/SSD)を搭載できる。
- 冷却性能に余裕があり、高発熱のCPUやメモリを搭載しやすい。
- データベースサーバー、ファイルサーバー、バックアップサーバー、GPUを搭載するAI/機械学習基盤など、拡張性と高い性能が求められるワークロードに最適です。
次に、グレードで性能とコストを調整する
同じ1Uや2Uでも、ThinkSystemはさらに「バリュー」「バリュープラス」「メインストリーム」といったグレードに分かれています。これは、搭載できるCPUの種類、メモリスロット数、拡張スロット数、冗長電源の有無などが異なるためです。
- バリュー: 必要最小限の構成でコストを抑えたい場合に。基本的な信頼性は確保しつつ、予算を優先します。
- バリュープラス: コストと性能・拡張性のバランスが良い、多くのユースケースで採用されるスタンダードなライン。
- メインストリーム: 最高の性能と拡張性を求めるエンタープライズ環境向け。多くのメモリスロット、豊富な拡張性、高度な管理機能を備えます。
選定の実践例
- 例1: 仮想化ホスト(中規模)を構築したい
- → 十分なコア数と大容量メモリが必要。拡張性もある程度欲しい。
- 候補: 2Uの「バリュープラス」または「メインストリーム」モデル。仮想マシンを多く稼働させるために多くのメモリを搭載でき、将来の増設にも対応しやすい。
- 例2: フロント側のWeb/APサーバー群を高密度に設置したい
- → 1台あたりの性能は標準的で良いが、ラック内にできるだけ多くの台数を詰め込みたい。
- 候補: 1Uの「バリュー」または「バリュープラス」モデル。省スペースでコストパフォーマンスに優れた選択肢です。
このように、「何をしたいか」から逆算して、筐体とグレードを組み合わせて考えると、自ずと最適なモデルの候補が絞り込まれていきます。
忘れてはならない最重要チェックポイント:OS互換性
特に既存環境からの移行を考えている方にとって、これが最も重要な確認事項です。新しいThinkSystemサーバーでは、古いバージョンのオペレーティングシステムがサポートされていない可能性が非常に高いです。
具体的には、以下のようなOSは、ThinkSystemの公式サポート対象外となるケースがほとんどです。
- Windows Server 2008 R2
- VMware ESXi 5.5
- 非常に古いバージョンのLinuxディストリビューション
これを怠ると、高価なサーバーが到着したのにOSがインストールできない…という最悪の事態になりかねません。必ず、導入を検討しているThinkSystemの特定モデルについて、Lenovoの公式互換性ガイド(互換性マトリクス) や、Microsoft、VMware、Red HatなどOSベンダーのサポート情報をダブルチェックしてください。わからない場合は、販売代理店やLenovoのSEに必ず確認を取りましょう。
管理工数を劇的に減らす「秘密兵器」XClarity
サーバーを導入したら、次は運用です。ここでThinkSystemの真価を発揮するのが、統合管理ソフトウェアの「XClarity」です。XClarityは、ThinkSystemサーバー(場合によってはストレージやスイッチも)を一元的に管理できるLenovo独自のプラットフォームです。
XClarityでできる、うれしいこと
- まとめて設定(プロビジョニング): 複数台のサーバーに、OSやファームウェア、ドライバを一括でインストール・設定できます。一台一台手作業で設定する手間から解放されます。
- まとめて監視: すべてのサーバーのハードウェア状態(温度、ファン、電源、ドライブの健康状態など)を一つの画面で集中監視できます。異常があればアラートで知らせてくれます。
- まとめて更新: セキュリティパッチや性能向上のためのファームウェア更新を、管理下のサーバー群に一括で適用することが可能です。バージョン管理が楽になり、セキュリティリスクを低減します。
- リモート操作: KVM over IP機能により、サーバーのコンソール画面にネットワーク経由でアクセスできます。データセンターに足を運ばなくても、電源操作やOSレベルのトラブルシューティングが行えます。
サーバーの数が多ければ多いほど、このXClarityの効果は絶大です。導入初期の設定時からXClarityを使いこなす計画を立てることで、その後の運用ライフサイクル全体にかかる管理負荷を大幅に削減できるのです。
信頼性のその先へ:ストレージ・ネットワークとサポート体制
Lenovo ThinkSystemはサーバーだけの話ではありません。データを保管する「ThinkSystem ストレージ(DSシリーズ)」と、サーバー間をつなぐ「ThinkSystem ネットワークスイッチ(NEシリーズ)」も、同じブランドの一員として統合的に設計されています。
大きなメリットは、これらストレージやスイッチも、先ほど紹介したXClarityで管理できる可能性が高い点です。サーバー、ストレージ、ネットワークというインフラの主要要素を、同じツールで見える化し、管理できるようになれば、インフラ全体の運用効率と安定性は飛躍的に向上します。
そして、ハードウェアを選ぶ際にもう一つ大切なのが、サポートと保守契約です。どれだけ優れたサーバーでも、故障はゼロではありません。重要なのは、故障が起きた時にどれだけ早く復旧できるかです。
Lenovoは、お客様のビジネスへの影響度に応じて、様々なレベルの保守サービスを提供しています。
- 次営業日対応
- 4時間以内のオンサイト対応(24時間365日)
- パーツの事前置き(保有)サービス など
自社のシステムが止まって許容できるダウンタイムはどれくらいか? それを基準に、適切な保守サービスを選択することが、システム全体の信頼性を高める最後の重要なピースになります。
さあ、第一歩を踏み出そう! Lenovo ThinkSystem導入への道筋
ここまで、Lenovo ThinkSystemの全体像から、選び方、管理のコツ、そして信頼性の確保方法までをお伝えしてきました。最後に、実際に導入を進めるための具体的な行動ステップをまとめます。
- 要件を紙に書き出す: 実行したいアプリケーション、必要な性能(CPUコア数、メモリ量、ストレージ容量と速度)、ラックの空きスペース、予算、将来の拡張計画を整理しましょう。
- 候補モデルを絞り込む: この記事で紹介した「筐体サイズ」と「グレード」の考え方をもとに、ThinkSystemのラインナップから2〜3つの候補モデルを選びます。
- 互換性を確実に確認する: 候補モデルについて、使用予定のOSとアプリケーションの互換性を公式情報で必ず確認します。これが成功の最大の鍵です。
- パートナーに相談する: ここまでの情報を元に、Lenovoの正規販売パートナーやSEに相談しましょう。より詳細な構成提案や見積もり、導入計画のアドバイスを得られます。XClarityの導入計画も、この段階で話し合うと良いでしょう。
- 保守サービスを選定する: ビジネス要件に基づいて、適切なレベルの保守契約を選択します。
Lenovo ThinkSystemへの移行は、単なるハードウェアの買い替えではなく、インフラのパフォーマンスと管理性を次のレベルに引き上げるチャンスです。旧来の資産を活かしつつ、新しいプラットフォームのメリットを最大限に享受するためには、情報に基づいた計画的な一歩が何よりも大切です。
この記事が、あなたのLenovo ThinkSystem導入の成功への、確かな第一歩となることを願っています。システム構築のご検討、頑張ってください!
