Lenovo AI Now(レノボ・エーアイ・ナウ)をご存知ですか? 「AIアシスタント」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ChatGPTやCopilotといったクラウドサービスかもしれません。でも、このLenovo AI Nowは、それらとは根本的に異なる、「あなたのパソコンの中だけで完結する」全く新しいタイプのAIなのです。
いま、仕事でもプライベートでも、AIにファイルを読み込ませたり質問をしたりする機会が増えています。そのとき、ふと頭をよぎるのは「このデータ、クラウドに送られて大丈夫?」という不安。特に機密文書や個人情報が含まれるときは、ためらってしまいますよね。
そんなもどかしさを一気に解決してくれる可能性を秘めたのが、Lenovo AI Nowです。最大の特徴は、全ての処理があなたの端末内(ローカル)で行われること。インターネットに接続していなくても、あなたのデータが外部のサーバーに送信されることも一切ありません。つまり、「安全・無料・オフライン可用性」という、これまでのAIサービスでは難しかった3つのメリットを同時に実現しているんです。
この記事では、Lenovo AI Nowが一体何者で、何ができて、どんな未来を変えようとしているのかを、わかりやすく解説していきます。
Lenovo AI Nowの核心:クラウドAIとの決定的な違い
まず、Lenovo AI Nowの立ち位置をはっきりさせましょう。既存のAIサービスと比べたときの、最も分かりやすい違いは次の2点です。
1. すべては「ローカル」で完結する
ChatGPTなどのサービスは、あなたの質問やファイルをクラウド上の高性能サーバーに送って処理し、結果を返します。対してLenovo AI Nowは、あなたのパソコンに組み込まれたAIエンジンが、そのパソコン内にあるデータだけを使って処理を行います。データがネットワークを流れることが物理的にないため、セキュリティとプライバシー保護が圧倒的に高いのです。
2. 「無料」の本当の意味
多くのクラウドAIは、無料プランには利用制限があり、本格的に使おうとすると有料サブスクリプションが必要です。Lenovo AI Nowは、対応するLenovoのパソコンを持っていれば、利用回数や機能の制限なく完全無料で使い続けられます。これは、端末を売った時点でAI機能も提供するという、新しいビジネスモデルと言えるでしょう。
つまり、Lenovo AI Nowは「あなた専用の、安全で自由なAI秘書」をパソコンに内蔵するようなイメージ。外部とのやりとりがないからこそ実現できる、新しい安心感がここにあります。
実際に何ができる? 3つのコア機能を詳しく見る
では、この画期的なAIは具体的にどのような働きをしてくれるのでしょうか。その機能は主に3つに分けられます。
1. ローカルチャット:オフラインでの会話型AI
インターネットがなくても、ChatGPTのようにテキストで対話できます。「旅行の計画を立てて」といった一般的な質問から、アイデア出しまで、幅広く対応。基盤となっているのは、Metaが開発した大規模言語モデル「Llama 3」を微調整した技術です。ただし、情報はモデルに組み込まれた時点のものになるため、最新のニュースやリアルタイム情報を求める場合は不向きです。あくまでも、あなたの思考のパートナーとしての役割が中心になります。
2. ナレッジアシスタント:あなたの「個人知識庫」の最強案内役
これが、Lenovo AI Nowの最も実用的で革命的な機能かもしれません。あなたのパソコン内や、接続したクラウドストレージ(OneDriveなど)に散らばっている大量のファイルを、AIが整理・理解してくれるのです。
具体的には、
- Word、Excel、PDF、テキストファイル、画像ファイルなどを指定したフォルダに登録するだけで、AIがその内容を「学習」します。
- その後、自然な言葉で質問するだけで、登録した全資料から瞬時に答えを探し出してくれます。
- 「先月の会議の議事録の要点をまとめて」
- 「AプロジェクトとBプロジェクトの計画書の違いを教えて」
- 「契約書の中で、賠償条項が書いてある箇所を抜き出して」
こんな風に、今まで自分で目を通して探し、まとめるのに何十分もかけていた作業が、数秒で終わってしまうのです。まさに、個人の「知的生産性」が飛躍的に向上する機能と言えるでしょう。
3. PCアシスタント:音声・文字でパソコンを操作
「電源設定を省電力モードに変えて」「Wi-Fiをオフにして」といった、普段なら設定画面を何クリックもして行う操作を、自然な言葉で指示するだけで実行できます。パソコン操作に不慣れな人にとってはハードルが下がりますし、誰にとっても操作の効率化につながります。
知っておくべき「現実」:利用条件と現在の課題
ここまで聞くと「すぐにでも使ってみたい!」と思うかもしれません。しかし、Lenovo AI Nowは最先端の技術であるがゆえに、現時点ではいくつかの利用条件と課題があることも正直に知っておく必要があります。
■ 対応しているのは「英語のみ」(2026年1月現在)
現在、公式に対応している言語は英語だけです。チャットの入力も、AIからの回答も原則英語です。一部では、英語で回答を生成した後で「これを日本語に翻訳して」と指示することで日本語テキストを得られるという検証報告もありますが、公式の機能ではありません。英語での操作に抵抗がなければ問題ありませんが、日本語での自然な対話を求めるユーザーには、現状では大きなハードルと言わざるを得ません。
■ 対応ハードウェアは限られている
すべてのパソコンで動くわけではありません。現在は、特定のLenovo AI PCモデルにほぼ限定されています。具体的には「Yoga Slim 7i Gen 9 Aura Edition」や一部の「ThinkPad」シリーズなど、比較的新しく、AI処理に適した高性能なCPUや、十分なメモリ(24GB以上が推奨される場合も)を搭載した機種が対象です。これは、大規模なAIモデルを快適に動作させるために必要な演算リソースが大きいためです。
■ 技術的な特性と制限
当初は省電力でAI処理を行う専用チップ(NPU)を活用すると期待されていましたが、実際には主にGPU(グラフィックスプロセッサ) を使って処理を行うケースが多いようです。そのため、それなりの性能を持つグラフィックス性能が必要で、古いパソコンでは動作が重くなる可能性があります。また、「無料で制限なし」とは言え、複雑で高度な推論が必要なタスクでは、最新のクラウドAIと比べて精度や応答速度に差を感じる場面もあるかもしれません。
セキュリティは本当に大丈夫? 「ローカル処理」の信頼性
これが、多くのビジネスユーザーが最も気にする点でしょう。Lenovo AI Nowのセキュリティアピールは、単に「ローカルで動く」だけではありません。Lenovoはこれをさらに強化するために、ハードウェアレベルの暗号化技術と、信頼できるAIを管理するフレームワークを組み合わせていると説明しています。
あなたがナレッジアシスタントに登録したファイル(個人知識庫:PKB)は、強固に保護された領域に保存されます。法律事務所の機密文書、医療機関の患者情報、企業の開発中の特許情報など、絶対に外部に漏らすことができないデータをAIに処理させたい場面で、その真価が発揮されるでしょう。
「クラウドAIは便利だけど、社外秘の資料はアップロードできない…」というジレンマを、Lenovo AI Nowは根本から解消する可能性を秘めているのです。
ユーザーの声から見える、本音の評価
実際に使い始めた人たちからは、次のような声が挙がっています。
賛辞の声:
- 「オフラインで、自分のPDF資料の要点を数秒でまとめられるのは革命的!」
- 「PCの設定を、わざわざメニューを探さずに言葉で変えられる便利さはやみつきになる」
- 「無料でここまで高機能なAIが使えるのは、業界のルールを変えるかもしれない」
戸惑いや課題の声:
- 「日本語に対応してくれないと、日本ではなかなか普及が難しいのでは…」
- 「メモリをかなり消費するので、他の作業と並行すると動作が重くなる感じがする」
- 「ファイルの内容によっては、期待した通りの要約や回答が得られないこともある」
特に、対応PC以外のLenovoタブレットなどに同梱されている場合でも、その機能が十分に認知されず、「何ができるのか分からない」というユーザーもいるようです。
Lenovo AI Nowが描く、AIと人間の新しい関係
Lenovo AI Nowは、単なる一つのアプリケーションを超えた存在です。それは、Lenovoが提唱する「Hybrid AI(ハイブリッドAI) 」という未来の基盤となる技術の一つです。
Hybrid AIとは、ローカルAI(端末内AI) とクラウドAIを状況に応じてシームレスに使い分けるという考え方です。機密性の高い処理はローカルで、最新情報が必要な検索はクラウドで――と、最適な場所でAIの力を発揮させることで、ユーザー体験とセキュリティの両方を最大化しようというビジョンです。
Lenovoは公式に、今後より多くの言語(当然、日本語も含まれると期待されます)への対応を計画しています。また、ChatGPTなどのクラウドAIと連携する「ハイブリッドモード」の実現も視野に入れているとみられ、AI PCという新たなカテゴリーの中心的存在として進化を続けていくでしょう。
まとめ:Lenovo AI Nowは誰のためのツールか?
Lenovo AI Nowは、「絶対的なセキュリティが求められる業務」に携わる人や、「クラウドサービスの利用制限や課金モデルに縛られたくない」というユーザーにとって、まさに待ち望まれた答えとなる可能性を大いに秘めています。
現在は、言語対応やハードウェア要件という現実的な壁があります。しかし、その先にある「データを外に出さずに、AIのパワーを最大限に活用する」というコンセプトは、これからのAI時代において非常に重要で説得力のある価値観です。
もしあなたが、機密性の高い作業が多い、あるいはオフライン環境での作業が多いのであれば、次にパソコンを選ぶ際の重要な選択肢として、Lenovo AI Now対応のAI PCを候補に入れてみてはいかがでしょうか。それは、単に新しいパソコンを買うことではなく、「仕事とAIとの付き合い方」そのものをアップデートする第一歩になるかもしれません。
データのプライバシーを守りながら、AIの力をフルに引き出す――そんな新しい日常が、Lenovo AI Nowによってもう始まろうとしています。
