「手のひらサイズなのに高性能」——そんな言葉に惹かれる人は多いはず。
ASUSの小型PC「MINIPC PN60」は、まさにその理想を形にしたようなミニマルマシンです。
コンパクトさ、静音性、そしてコスパの高さ。この記事では、PN60の実力を徹底的に掘り下げていきます。
小型PCブームの中心、MINIPC PN60とは
PN60はASUSが展開するミニPCシリーズの中でも特に人気の高いモデル。
わずか115×115×49mmという超コンパクトサイズに、Core i5-8250UやCore i7-8550UのCPUを詰め込み、一般的なデスクトップ顔負けの性能を発揮します。
重さはわずか0.7kg。手に取ると「これで本当にPCなの?」と思うほどの軽さです。
見た目はシンプルな黒いキューブ型。無駄のないデザインで、デスクに置いても圧迫感がありません。
さらにVESAマウントに対応しているので、モニター裏に取り付けて“隠す”使い方も可能です。
省スペース性を求めるユーザーにとって、これはかなり魅力的なポイントです。
コンパクトでも侮れない性能
見た目の可愛らしさに反して、PN60の中身は本格派。
CPUには第8世代Intel Core i5-8250UまたはCore i7-8550Uを採用。
どちらも4コア8スレッド構成で、クロック数は最大3.4〜4.0GHzまで上がります。
実際のベンチマークでは、Cinebench R15で約476cb、R20では1,100点前後というスコアを記録。
この数値は軽量ノートPCや省電力型デスクトップをしのぐレベルです。
ブラウジングやOffice作業はもちろん、写真編集や動画の軽い書き出しもスムーズにこなせます。
内蔵グラフィックスはIntel UHD 620。
最新3Dゲームには力不足ですが、YouTubeの4K再生や画像処理、簡単な動画編集なら問題なし。
むしろ“必要十分”という印象です。
ストレージ・メモリの拡張性も十分
小型PCの弱点は「後からカスタマイズできないこと」ですが、PN60は例外です。
底面パネルを外せば、M.2 SSDスロットと2.5インチSATAベイが現れ、デュアルストレージ構成も可能。
M.2でOSを、2.5インチでデータを、といった柔軟な運用ができます。
メモリスロットはSO-DIMM×2で最大32GBまで対応。
最初は8GBで運用し、後から増設してもOK。
この拡張性の高さが、長く使えるポイントでもあります。
ベアボーンモデルの場合は、自分でメモリやストレージを選んで組み込む必要がありますが、
その分コストを抑えつつ好みの構成に仕上げられるのが魅力です。
充実したインターフェース
PN60の背面と前面には、USB3.1 Type-A/Type-C、HDMI、LANポート、オーディオジャックなど、
デスクトップ顔負けの豊富な端子が並びます。
Type-C経由でDisplayPort出力も可能で、HDMIと合わせてデュアルディスプレイ環境を構築できます。
またWi-Fi(IEEE802.11ac)とBluetooth 4.2も標準搭載。
無線環境での使用にも抜かりがありません。
4K UHD出力にも対応しているため、リビングの大画面TVに接続してホームシアターPCとして使うのもおすすめです。
静音性の実力は?実使用レビューから見る現実
カタログスペック上では「アイドル時19dB、高負荷時34dB」と発表されています。
これは“ささやき声よりも静か”なレベル。
ただし、実際に使ったレビューを覗くと、環境や負荷によってはもう少し音が目立つようです。
例えば、CPUに負荷をかけるとファン回転数が5,000rpmを超え、48dB前後の騒音が測定されたという報告もあります。
これは静かな部屋だとやや気になる程度。
特に机上に設置すると、ファンの高音が耳につくという声もありました。
一方で、モニター裏や少し離れた位置に設置すると音はほとんど気にならないという意見も多く、
設置環境による差が大きい印象です。
つまり、「静音性を活かすかどうかは置き方次第」。
背面の排気口をふさがず、風通しを確保するのがコツです。
発熱と冷却のバランス
筐体が小さいため、発熱が心配になるのは当然。
しかしPN60は内部にヒートパイプと冷却ファンを備えており、効率的に熱を逃がす設計になっています。
アイドル時の消費電力はわずか11W程度。
一般的なノートPCより省エネです。
ただし、長時間の高負荷作業では筐体全体がほんのり温かくなります。
手を触れて熱いと感じるほどではありませんが、連続で動画エンコードなどを行う場合は
エアフローの良い場所に置くのが安心です。
実際の使用感:静かで頼れる“小さな相棒”
起動は高速で、スリープ復帰も一瞬。
SSDを搭載すれば、電源を押してからデスクトップ表示までわずか10秒前後です。
Webブラウジングや文書作成はもちろん、Zoom会議などのオンライン用途でも快適。
ファンの音もこの程度の作業ならほぼ無音に近いです。
リビングに置けばメディアサーバーや映画鑑賞用PCとしても活躍。
HDMI経由でテレビにつなげば、YouTubeやNetflixを大画面で楽しめます。
また、省電力設計のおかげで電気代も控えめ。
常時稼働させても電気代が月数百円程度というレビューもあります。
高コスパの理由
PN60が「高コスパ」と評される理由は、性能と価格のバランスにあります。
Core i5-8250Uモデルが6万円前後、Core i7-8550Uモデルでも7万円台という価格帯。
ノートPCなら10万円を超えるスペックを、このサイズ・価格で手に入れられるのは驚きです。
さらに、自分でメモリやSSDを選べるベアボーン形式のため、コスト調整が自在。
中古パーツを活用すれば、5万円以下でハイスペックな1台を組み上げることも可能です。
静音性や省エネ性能も相まって、長期的に見ても“維持費のかからないPC”と言えます。
購入前に知っておきたい注意点
もちろん、完璧な製品というわけではありません。
以下のような点には少し注意が必要です。
- グラフィックス性能は控えめ。3Dゲームや高負荷の映像編集には不向き。
- ファン音は環境によっては聞こえる。静音を求める場合は設置位置を工夫すること。
- ベアボーンモデルはメモリ・SSD・OSを自分で用意する必要がある。
ただ、これらを理解したうえで使うなら、コストを抑えた“理想の省スペースPC”になります。
MINIPC PN60はどんな人におすすめ?
・デスク周りをスッキリさせたい人
モニター裏に隠してもOK。机上に本体を置かずに済むのは大きな魅力です。
・在宅ワーク用のサブPCが欲しい人
ZoomやTeams、Officeソフト中心なら余裕で快適。小音で邪魔になりません。
・リビングで使える静かなPCを探している人
4K出力対応で、映像も滑らか。静音設計で夜間使用にも向きます。
・自作やカスタムを楽しみたい人
ベアボーン形式なら、好きなSSDやメモリを組み合わせて性能をチューニング可能。
MINIPC PN60の性能と静音性を徹底検証して見えてきた結論
PN60は「小さいけど本格的」「静かだけどパワフル」という言葉がぴったりの1台。
コンパクトPCの中でも完成度が高く、ビジネス・プライベートどちらのシーンでも活躍します。
静音性については、完全無音というわけではありませんが、設置環境を工夫すればかなり静かに運用可能。
そして、同クラスのPCと比べても価格が抑えられており、まさに“高コスパモデル”という評価がふさわしいでしょう。
省スペース・性能・静音の三拍子を求めるなら、MINIPC PN60は間違いなく有力候補です。
デスクをシンプルに、作業を快適にしたい人にとって、長く付き合える頼れる相棒になるはずです。
