最近、ミニPCの進化がすごい勢いで進んでいる。省スペースで場所を取らず、それでいて性能はノートPCを超える──そんな製品が次々と登場している。その中でも注目度が高いのが、GMKTECの「EVO X2」だ。
この記事では、実際に調べた情報をもとに、EVO X2がどんなミニPCなのか、どこが魅力で、どんな人におすすめできるのかをじっくり紹介していく。
GMKTECとは?EVO X2が生まれた背景
GMKTECは中国・深センのメーカーで、近年ミニPC市場で存在感を強めているブランドだ。価格帯の割に性能が高く、デザインも洗練されていることから、海外のガジェットファンを中心に支持を集めてきた。
そんな同社が「小型なのにデスクトップ級」を目指して開発したのが、このEVO X2。
従来の「省スペースでそこそこ動く」ミニPCとは一線を画し、AI処理や動画編集、3D制作などにも対応できるハイエンドモデルとして登場した。
Ryzen AI Max 395搭載、16コア32スレッドの化け物スペック
EVO X2の最大の特徴は、AMDの最新APU「Ryzen AI Max 395」を搭載していること。
16コア32スレッド、最大クロック5.1GHzという数字だけでも、一般的なノートPCとは次元が違う。
AI処理向けのNPU(ニューラルプロセッサ)を内蔵しており、ChatGPTのようなローカルLLMの実行や、AIアシスタント系のアプリも快適に動作する。
GPUにはRadeon 8060S(40CU)を採用。ゲーム性能も高く、1440p解像度でAAAタイトルをスムーズに動かすことが可能だとレビューで報告されている。
つまり、ミニPCの形をしていながら、実際のパフォーマンスはもはやデスクトップ級。
重い処理をサクサクこなせる一台として、動画編集者やゲーマー、AI開発者など幅広い層に向けられている。
メモリ・ストレージ構成もハイエンド級
EVO X2には、最大128GBのLPDDR5Xメモリ(8000MHz)が搭載されている。
これがオンボード仕様であるため増設はできないものの、その分速度と安定性が高い。
さらに、PCIe 4.0 M.2 2280スロットを2基備え、最大16TBまでのSSDを搭載可能。
ミニPCの中でもトップクラスの拡張性を誇る。
この構成なら、大容量データを扱うクリエイティブ用途でもストレスは少ない。
たとえば動画編集、3Dモデリング、AIモデルの学習など、メモリ消費の激しい作業でも余裕をもってこなせる。
接続性・通信性能も妥協なし
高性能な内部だけでなく、外部接続の豊富さもEVO X2の魅力だ。
最新のWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応しており、高速かつ安定した無線接続が可能。
有線では2.5GbEのLANポートを備え、ネットワーク環境をフルに活かせる。
映像出力はHDMIとDisplayPortの両方に対応し、4Kモニターを複数枚接続しても安定。
さらにUSB4ポートを搭載し、外付けGPUや高速ストレージを使う環境にも柔軟に対応できる。
このあたりの拡張性を見ると、「小さくても妥協しない設計思想」がしっかり伝わってくる。
デザインと冷却システム
EVO X2の筐体はアルミ製で、質感は非常に高い。
放熱性を重視した設計で、内部の熱を効率よく逃がす構造になっている。
とはいえ、ハイパフォーマンスゆえに高負荷時の温度はそれなりに上がる。
海外レビューでは「CPUが95℃近くまで達することもある」との報告もあり、静音性より性能を優先したチューニングのようだ。
長時間のAI処理やゲームを想定するなら、冷却スペースを十分に確保して設置したい。
それでもこのサイズでこの性能を出している点は、素直に驚くレベルだ。
実際の使用感:ゲームも編集も快適
多くのレビュアーが「ミニPCの枠を超えた性能」と絶賛している。
実際、EVO X2では『Cyberpunk 2077』や『Apex Legends』などの重めのゲームを1440pで安定プレイできるという報告がある。
内蔵GPUでここまで動くのは相当な進化だ。
また、Premiere ProやDaVinci Resolveでの動画編集、Blenderでの3Dレンダリングも快適。
CPUとGPUの両方が高性能なため、エンコード速度も非常に速い。
AIタスクでは、Stable DiffusionやLoRA学習などもローカルでスムーズに動作する。
まさに「小さなワークステーション」といった印象だ。
注意点:静音性と価格、そしてメモリ拡張
性能が高い分、いくつかの注意点もある。
まず冷却時のファンノイズ。負荷がかかると回転音が目立ちやすく、静かな環境では少し気になるかもしれない。
次にメモリのオンボード仕様。増設はできないため、購入時に用途に合った容量を選ぶ必要がある。
さらに価格もそれなりで、海外では2000ドル前後、日本でも30万円近い価格帯になる見込みだ。
ただし、このスペックをデスクトップで組む場合も同等かそれ以上のコストがかかる。
それをこのサイズでまとめていると考えれば、決して高すぎるとは言えないだろう。
どんな人におすすめできるか
EVO X2は、明確に「高負荷な作業をする人」向けのミニPCだ。
日常使いや軽い作業だけなら、もっと安価なモデルでも十分。
しかし、次のような使い方を想定しているなら、EVO X2は非常に魅力的な選択になる。
- AIアプリやローカルLLMを動かしたい
- 動画編集や3D制作をストレスなくこなしたい
- 高性能ゲーミング環境を省スペースで構築したい
- ノートPCの代わりに据え置き型の高性能マシンが欲しい
特に「デスクトップは置きたくないけど性能は妥協したくない」人にとって、EVO X2は理想的な一台だ。
まとめ:GMKTEC EVO X2ミニPCは小さな巨人
GMKTEC EVO X2ミニPCは、まさに「小さな巨人」と呼べる存在だ。
16コアのRyzen AI Max 395、最大128GBメモリ、Wi-Fi 7対応と、どの項目を見ても妥協がない。
その反面、価格や発熱など、扱う際の注意点もあるが、総合的に見れば“ミニPCの限界を押し広げたモデル”であることは間違いない。
省スペースで本格的な作業をこなしたい人。
AIやクリエイティブ分野で次世代のパワーを感じたい人。
そんなユーザーに、EVO X2は強くおすすめできる。
高性能Ryzenを搭載したこの一台は、まさにコスパ最強のミニPCと呼ぶにふさわしい。
これからミニPCを選ぶなら、GMKTEC EVO X2を候補に入れておく価値は十分にある。
