外出先でエフェクターを使いたい。あるいは電子工作のプロトタイプに電源を供給したい。そんなとき、普通のモバイルバッテリーでは電圧が足りずに困った経験はありませんか。
実は最近のモバイルバッテリーは、スマホを充電するだけの時代じゃないんですよね。9Vというちょっと特殊な電圧を出力できるモデルがじわじわ注目を集めています。
ただ、ここでひとつ落とし穴があります。「PD対応」と書いてあっても、必ずしも9Vが出るわけじゃないんですよ。買ってから「あれ、動かない…」なんてことにならないように、今回は選び方のコツから実際におすすめできるモデルまで、しっかりお話ししていきますね。
そもそも9V出力ってどんなときに必要なの?
まずは「なぜ9Vなのか」というところから整理しておきましょう。
一般的なスマートフォンの充電は5Vが標準です。でも世の中には9Vで動くことを前提に設計された機器がけっこうあるんです。
たとえばギタリストならおなじみのエフェクター。BOSSやMXRなどのコンパクトエフェクターは、たいてい9Vの電池またはACアダプターで駆動します。あとは電子工作で使うArduinoの一部モデルや、ラジコンカーの受信機用電源なんかも9Vが要求されるケースがありますよね。
こういった機器に5Vのモバイルバッテリーをつないでも、電圧不足でLEDがかすかに光るだけ。あるいはまったく反応しないという悲しい結果になります。
「じゃあ専用の電池を持ち歩けばいいじゃん」と思うかもしれません。でも9V角型電池って高いんですよ。しかもエフェクターだと数時間で消耗しちゃう。ライブ本番中に電池切れなんて悪夢ですから、大容量のモバイルバッテリーで安定供給できるならそれに越したことはありません。
9V出力のカギを握る「USB PD」と「PPS」って何が違うの?
ここからが本題です。9Vを出力するモバイルバッテリーを選ぶうえで、絶対に知っておきたい技術の話をします。難しくないので安心してくださいね。
USB PD対応=9Vが出るわけではない
USB PDというのは「Power Delivery」の略で、簡単に言えば「機器と相談して適切な電圧を供給しますよ」という賢い仕組みです。5V、9V、15V、20Vと、複数の電圧を切り替えられるのが特徴。
ところが問題はここから。メーカーによっては「5Vと15Vと20Vは出すけど、9Vは出しません」という製品もあるんです。仕様表をよく見ると、対応電圧の欄に9Vの記載がない。これ、けっこう見落としがちなポイントです。
購入前には必ず製品の仕様ページで「出力:9V/○A」という表記があるかをチェックしてください。これを怠ると、せっかく買ったバッテリーがただの重い文鎮になってしまいますよ。
PPS対応なら電圧が安定しやすい
さらにワンランク上の選択として知っておきたいのが「PPS」です。Programmable Power Supplyの略で、ざっくり言うと「より細かく電圧を調整できる機能」と思ってください。
これが地味に大事なんです。たとえばエフェクターのようなアナログ回路は、電圧がふらつくと「ブーン」というノイズが乗ることがあります。PPS対応のバッテリーなら、9V付近で電圧を安定させやすいので、そういったトラブルを減らせるわけです。
特にオーディオ用途で使いたい人は、PPS対応モデルを候補に入れることをおすすめします。
実際に9V出力ができるおすすめモバイルバッテリー3選
さて、ここからは具体的な製品を見ていきましょう。いずれも実際に9V出力が確認されているモデルばかりです。
Philips DLP7721C(20000mAh)
まず最初にご紹介するのはPhilips モバイルバッテリー 20000mAhです。このモデル、仕様表を見るとUSB-Cポートでしっかり9V出力に対応しています。
20000mAhという大容量なので、エフェクターなら余裕で一日中駆動できる計算です。実際にユーザーの間でも「電子工作の電源として安定している」と評価する声が多いですね。
ひとつ注意したいのは、ケーブルの選び方。9Vを取り出すには「PDトリガーケーブル」と呼ばれる専用ケーブルが必要になる場合があります。普通のUSB-Cケーブルだと5Vしか出ないこともあるので、そこは押さえておきましょう。
ラディウス RK-PH100W(10000mAh)
続いてはラディウス モバイルバッテリー RK-PH100W。こちらは「3電源出力の自動切替」という機能が特徴で、5V、9V、12Vを機器に合わせて自動的に切り替えてくれます。
Quick Charge 3.0にも対応しているので、対応スマホなら高速充電も可能。容量は10000mAhとやや控えめですが、そのぶん本体が軽くて持ち運びしやすいのが魅力です。
「9Vで動くかどうかちょっと心配…」という人でも、自動切替機能のおかげで過電圧の心配がなく、安心して使えますよ。
CIO SMARTCOBY TRIO(20000mAh)
三つ目はCIO SMARTCOBY TRIOです。最大67W出力というパワフルなモデルで、ノートPCの充電にも使えるほどの実力を持っています。
この製品のポイントはPPS対応であること。先ほどお話ししたように、電圧の安定性が求められるシーンで真価を発揮します。ギタリストの間でも「エフェクター用電源として優秀」と話題になっているモデルです。
トリプルポート搭載なので、エフェクターに給電しながらスマホも充電できる。ライブや屋外収録のお供にぴったりですね。
9V出力で失敗しないために絶対押さえたい注意点
ここまで読んで「よし、買うぞ」と思った方に、最後に重要な注意点をお伝えします。
ケーブル選びで9割決まるといっても過言ではない
9V出力で一番多い失敗が「ケーブル」です。これ、本当に多いんですよ。
USB PDで9Vを出力するには、バッテリーと機器が「9Vでいこう」というネゴシエーション(通信)をします。ところが安物のUSBケーブルはこの通信に対応していないことがあるんです。結果、機器が9Vを要求しているのに、バッテリーは5Vしか出さない。動かない。
対策としては「PD対応」と明記されたケーブルを選ぶこと。さらに機器側の端子がDCプラグ(丸いやつ)なら「9Vトリガーケーブル」や「PD to DC変換ケーブル」が必要になります。このあたりはお使いの機器に合わせて選んでくださいね。
PSEマークは必ず確認する
これも地味に大事な話。モバイルバッテリーにはPSEマークという安全規格の表示が義務付けられています。マークのない海外製の安価な製品は、発熱や発火のリスクが否定できません。
特に9V出力は通常の5Vよりも発熱量が増える傾向があります。安全に使うためにも、PSE認証済みの国内正規品を選ぶようにしましょう。
消費電力の計算も忘れずに
「20000mAhもあるから余裕でしょ」と思って使っていたら、意外と早くバッテリーが切れた。こんな経験をしたことがある人もいるかもしれません。
バッテリーの容量表示は「5V出力時」を基準にしていることが多いんです。9Vで使うと変換ロスが発生して、実質的な容量は表示よりも少なくなります。ざっくりとした目安として、20000mAhのバッテリーでエフェクター(消費電流約100mA)を動かす場合、理論上は数十時間持ちますが、実際には変換効率を考慮して6~7割くらいで見積もっておくと安心です。
まとめ:9V出力対応モバイルバッテリーは「目的と仕様確認」で選ぶ時代
今回は9V出力に対応したモバイルバッテリーについて、選び方からおすすめモデル、注意点まで一通りお話ししました。
振り返ってみると、ポイントはシンプルです。
- まずは「本当に9Vが必要な機器なのか」を確認する
- 仕様表で「9V出力」の記載があるかを必ずチェックする
- できればPPS対応モデルを選ぶと安定性が増す
- ケーブルはPD対応のものを別途用意する
これさえ押さえておけば、外出先でもエフェクターを鳴らせるし、電子工作の実験も思いのままです。
最近はコンパクトで高機能なモデルが増えてきたので、昔みたいに「9V電池を大量に買い込む」なんて時代じゃなくなりましたね。ぜひ今回の記事を参考に、自分にぴったりの一台を見つけてみてください。
