「His Master’s Voice(ヒズ・マスターズ・ヴォイス)」と聞くと、犬が蓄音機に耳を傾けるあのロゴを思い浮かべる人も多いはず。
オーディオ好きの間では長年親しまれてきた象徴的なブランドですが、近年は“完全ワイヤレスイヤホン”としても注目を集めています。
では、その音質は本当に「本物」なのか? そしてなぜ今、再び人気が高まっているのか?
ここでは、実際のレビューや技術背景を踏まえながら、その魅力を掘り下げていきます。
「His Master’s Voice」ってどんなブランド?
まず、この名前のルーツから。
「His Master’s Voice」は、19世紀末に描かれた一枚の絵がもとになっています。
犬が亡き飼い主の声を蓄音機から聴いている姿──それがブランド名と象徴になりました。
このマークはのちにVictor(日本ビクター)やJVCによって商標化され、日本でも長く「音にこだわるブランド」の代名詞として浸透しました。
つまり、「His Master’s Voice」を冠した製品は単なるイヤホンではなく、“原音を忠実に再現する”という哲学を受け継ぐ存在でもあります。
音質へのこだわり:ビクタースタジオのDNA
Victor/JVCは、プロの音作りを支える「ビクタースタジオ」のノウハウを製品開発に生かしています。
ワイヤレスイヤホンも例外ではありません。
代表的なモデルでは、木の振動板「ウッドドームカーボン」を採用したチューニングを行い、自然で温かみのある音を実現。
この木材の共鳴構造が、金属や樹脂では出せない柔らかな響きを生み出しています。
実際のレビューでも
「低音が豊かで伸びやか」「高音が刺さらず、全体のバランスが良い」
といった評価が多く、派手さよりも“自然な心地よさ”を重視しているのが特徴です。
音場(空間表現)にも定評があり、ライブ音源やクラシックを聴くと、まるでホールにいるような臨場感が得られるとの声もあります。
実際の使用感:長時間リスニングでも疲れにくい
音が良くても、装着感が悪ければ使い続けるのは難しいですよね。
その点、His Master’s Voiceワイヤレスイヤホンは装着性にも強みがあります。
JVC独自のイヤーピース「スパイラルドット」シリーズを採用するモデルも多く、音の濁りを抑えながら耳にフィット。
密閉感が高く、遮音性にも優れているため、ボリュームを上げすぎずとも細かな音がしっかり届きます。
さらに、軽量設計で長時間の使用でも耳が痛くなりにくいという点も好評。
「一日中つけていても疲れなかった」「仕事中も自然に使える」といった口コミが多いのは、その快適さゆえです。
ノイズキャンセリングや機能面はどう?
音質に注力している一方で、機能面も見逃せません。
一部モデルでは、アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載。
通勤電車やカフェのざわめきなど、生活環境に合わせて雑音を抑制できます。
ただし、ハイエンドモデルのように強力なノイズ除去を求める人には少し物足りないかもしれません。
それでも、「音の自然さを損なわない穏やかなノイズカット」という点で評価されています。
Bluetooth接続の安定性も良好。
動画視聴時の遅延を軽減する“低遅延モード”を備えたモデルもあり、音楽だけでなく映画・ゲーム用途にも対応します。
His Master’s Voiceイヤホンの「音質は本物」なのか?
結論から言うと、“本物志向のリスナー”が満足できるレベルにあります。
その理由は大きく三つ。
- 音の自然さと解像度のバランスが優れている
ビクタースタジオで磨かれた音作りは、低音から高音までがなめらかに繋がる。
人の声やアコースティック楽器の響きがリアルで、耳に心地よい。 - イヤーピースや筐体設計が音の精度を高めている
ドライバーのポジションと通気構造が工夫され、立体的な音場を再現。
小さなイヤホンながら、空間の広がりを感じられる。 - ブランドの哲学が一貫している
「録音現場の音をそのまま届けたい」という思想が全製品に通底しており、チューニングの方向性がぶれない。
もちろん、音の好みは人それぞれ。
「低音をもっと強調したい」「高音のキレを求めたい」と感じる人もいるでしょう。
しかし、全体のバランスと再現性という観点では、このイヤホンは確かに“本物”の部類に入ります。
なぜ今、人気が再燃しているのか?
一時期は海外ブランドのイヤホンが市場を席巻しましたが、近年、国内メーカーの再評価が進んでいます。
His Master’s Voiceイヤホンが注目を集める理由には、次のような背景があります。
- 信頼感のあるブランドストーリー
「犬が主人の声を聴く」というエピソードが、ブランドの誠実さを象徴しています。
この情緒的なストーリーが“音を愛する人たち”に響くのです。 - コスパの良さ
高音質ながら、価格帯は1万円前後のモデルが中心。
初めてのワイヤレスイヤホンとしても手を出しやすく、上級者のサブ機としても人気です。 - 装着感と日常使いのしやすさ
長時間使用でも耳が疲れにくく、生活の中に自然に溶け込む。
通勤・リモートワーク・散歩など、幅広いシーンにマッチします。 - “国産の音作り”への共感
ビクターならではの音の温かみや奥行きに惹かれ、「やっぱり日本の音が好き」と再評価する層が増えています。
購入時の注意点とチェックポイント
購入を検討する際は、以下の点を確認しておくと安心です。
- 型番と仕様を確認する
「His Master’s Voiceワイヤレスイヤホン」と表記されていても、モデルによって機能やドライバー構造が異なります。
対応コーデック(SBC/AAC/aptXなど)、再生時間、防水性能などを必ずチェックしましょう。 - ANC・低遅延機能の有無
ノイズキャンセリングの強度や低遅延モードの性能はモデル差があります。
静かな環境で音楽を聴く人か、通勤中に使う人かで最適な仕様が変わります。 - イヤーピースのサイズ
自分の耳に合ったサイズを選ぶことで、音質も大きく変わります。
フィット感が悪いと低音が逃げ、全体のバランスが崩れることもあります。 - 保証・サポート体制
ワイヤレスイヤホンはバッテリー劣化や接続トラブルが避けられません。
メーカー保証やサポート対応の有無を事前に確認しておきましょう。
まとめ:His Master’s Voiceワイヤレスイヤホンの魅力をひと言で
このイヤホンをひと言で表すなら、「原音への誠実さを、日常に落とし込んだ一台」。
派手なチューニングではなく、聴き疲れしないナチュラルな音づくり。
長年の音響ノウハウが凝縮されたそのサウンドは、確かに“本物”と呼ぶにふさわしいクオリティです。
そして、ブランドの物語やデザインの美しさも、使うたびに気分を上げてくれる。
ただ音を聴くだけでなく、「音楽と向き合う時間を大切にしたい」という人にこそおすすめです。
これからワイヤレスイヤホンを選ぶなら、ぜひこの“犬と蓄音機”のロゴをもう一度思い出してみてください。
His Master’s Voiceワイヤレスイヤホン──その音質はやはり、本物です。
