最近注目を集めている「ミニPC」。その中でも、低消費電力と手頃な価格で人気の「Intel N100」や「N150」を搭載したモデルが続々と登場しています。
でも実際のところ、この2つのCPUにはどんな違いがあるのか。どちらを選べば満足できるのか。この記事では、最新情報をもとにわかりやすく整理していきます。
ミニPCが人気を集める理由
まず、なぜミニPCがここまで注目されているのか。
答えはシンプルで、「小さい・静か・安い」からです。
一般的なデスクトップPCと比べると、手のひらサイズで場所を取らず、ファンの音も静か。さらに価格も2万円台からとリーズナブル。
それでいて、ネット閲覧や資料作成、動画視聴などの日常的な作業には十分な性能を持っています。
在宅ワークの増加もあり、「サブ機」「家族共用PC」「リビング用PC」など、さまざまな使い方が広がっているのです。
Intel N100とN150 ― どちらも省電力の新世代CPU
まず、N100とN150の共通点から押さえておきましょう。
どちらも「Intel 7」プロセス（10nm相当）で製造され、TDP（ベース電力）は6Wと非常に低い設計。
4コア4スレッド構成で、軽作業から動画再生まで幅広くこなせる性能を備えています。
この2つのCPUは、いわば「兄弟モデル」。N150はN100のマイナーチェンジ版のような立ち位置です。
基本設計は同じですが、ブーストクロック（最大動作周波数）が少し高くなっています。
- N100：最大3.4GHz
- N150：最大3.6GHz
数字だけ見るとわずかな差ですが、後述するように体感できる場面もあります。
性能の違いはどれくらい？ 実際の処理速度を比較
各種ベンチマークやレビューを総合すると、N150はN100より約10〜15％ほど高速という結果が多く見られます。
特にシングルスレッド性能がわずかに上がり、ブラウザ操作や軽いアプリの起動で「ほんの少し速い」と感じる程度。
マルチタスクや同時処理では、N150のクロックアップ分だけ余裕が出ます。
とはいえ、CPUの基本構造が同じため、大幅な性能差というよりは「ちょっとした上乗せ」というイメージが正確です。
もしネット閲覧やOffice作業、動画視聴がメインならN100で十分。
逆に、複数のタブを開いて作業したり、動画編集や仮想環境を使ったりする場合はN150が快適です。
N100搭載ミニPCの魅力とおすすめの使い方
N100搭載機の魅力は、やはり価格の安さとコストパフォーマンスにあります。
たとえば、GMKtecやNiPoGiといったメーカーのN100モデルなら、2万円前後で購入可能。
メモリ8〜16GB、SSD搭載、Windows 11プリインストールといった構成も珍しくありません。
この価格帯で4K動画の再生や複数アプリの同時起動ができるのは驚きです。
消費電力が低いため、24時間稼働させても電気代が抑えられ、ホームサーバーやメディアセンター用途にも向いています。
また、小型ゆえにVESAマウント対応でモニター裏に隠して設置できるのも魅力。
「とにかく省スペースで安く、静かな1台を」という人にはN100搭載ミニPCがベストチョイスです。
N150搭載ミニPCの特徴と強み
N150搭載ミニPCは、N100より少し新しく、同じく小型・静音を維持しつつ一段上の処理性能を備えています。
代表的なモデルとしては、Blackview MP60やBeelink EQ14などがあり、価格は2万5千円前後。
N150はブーストクロックが3.6GHzに向上しており、マルチタスク時の滑らかさが増しています。
たとえば、ブラウザで複数タブを開きながらZoomやSpotifyを同時に使うような場面で、N150の余裕が感じられるでしょう。
また、最近のN150モデルではデュアルチャネルメモリや高速NVMe SSDに対応しているものもあり、
トータルで見てもN100より少し快適に動作する傾向があります。
実際の価格差とコスパの見極め方
では、N100とN150、どちらを選ぶのが正解なのでしょうか？
結論から言えば、「価格差が3,000円以内ならN150、それ以上ならN100」が目安です。
なぜなら、性能差は確かにあるものの、大きな飛躍ではないからです。
例えば、N100搭載機が19,000円で、N150搭載機が26,000円という場合、
単純にコスパを取るならN100の方が満足度は高いでしょう。
一方、ほぼ同じ価格で売られているなら、将来性を見込んでN150を選ぶのがおすすめ。
長く使いたい、あるいは少しでも処理の余裕を持ちたいならN150のほうが安心です。
ミニPC選びで注意すべきポイント
CPU性能だけを見て決めるのは危険です。
同じN100やN150を搭載していても、製品によって「実際の快適さ」が大きく違うことがあります。
購入前にチェックしたいポイントは次のとおりです。
- メモリ構成：デュアルチャネル対応かどうか（体感速度が大きく変わる）
- ストレージ：NVMe SSD対応か、交換・増設が可能か
- 冷却性能：ファンレスか静音ファンか。熱対策がしっかりしているか
- ポート数：USBやHDMI、LANなどの拡張性
- メーカーサポート：保証やアップデート対応の有無
特に安価なモデルでは、メモリがシングルチャネルでパフォーマンスが制限されている場合があります。
レビューや仕様表をよく確認しておくと失敗しにくいです。
用途別のおすすめ選び方
ここで、用途に応じたおすすめをまとめてみましょう。
N100がおすすめの人
- 主な用途がWeb・メール・Office
- コストを抑えたい
- 24時間稼働の省電力サーバーを作りたい
- 静音・小型・ファンレス重視
N150がおすすめの人
- 複数アプリを同時に使いたい
- 動画編集や軽い仮想環境を試したい
- 長く使いたい
- 少しでも速さを重視したい
どちらも軽作業では十分な性能を発揮するため、「予算」と「用途」で選ぶのが最も合理的です。
今後の展望 ― NシリーズCPUはどう進化する？
IntelのNシリーズは、従来のAtom系CPUから大きく進化したラインです。
「省電力と実用性能の両立」というコンセプトのもと、年々改善されています。
今後はN200やN305といった上位モデルも登場しており、
ミニPCの選択肢はさらに広がっていくでしょう。
特にN305などは8コア仕様で、クリエイティブ作業にも対応するレベルに達しています。
ただし、その分価格も上がるため、
ライトユーザーにとっては依然としてN100・N150がバランスの取れた選択肢であることは変わりません。
N100・N150搭載ミニPC徹底比較のまとめ
ここまで紹介したように、N100とN150は共に低消費電力・低発熱・高コスパを誇るミニPC向けCPUです。
- N100：とにかく安く、静かで、軽作業に最適
- N150：少し余裕のある動作、将来性重視におすすめ
どちらを選んでも失敗しにくく、
「小さくても快適に動くPCがほしい」というニーズにしっかり応えてくれます。
今後もミニPC市場はますます拡大していくでしょう。
手軽に導入できる省スペースPCとして、N100・N150搭載モデルは間違いなく“今”最も注目すべき選択肢です。
