レノボから発売されたlenovo trackpoint keyboard ii。その名の通り、ThinkPadの象徴であるトラックポイントを備えた外付けキーボードです。発表された時から、「ついに来たか!」と心躍らせたThinkPadユーザーは多いのではないでしょうか。私もその一人で、発売後すぐに購入し、毎日の仕事で使い込んできました。
今日は、商品説明だけではわからない「実際の使い心地」や「本当に価値があるのか」というポイントに絞って、半年間使ってみた本音をお伝えします。ThinkPadのあの打鍵感をデスクトップで再現したい方、作業効率を劇的に上げたい方、はたまたトラックポイントに初挑戦する方まで、購入を迷っているあなたの判断材料になるはずです。
開封の儀からわかる、レノボのこだわり
箱を開けると、すっきりと佇むキーボード本体。第一印象は、「思ったよりコンパクトで美しい」です。ThinkPadらしい黒を基調とし、表面はしっかりとした質感。重量は約500gと、カバンに入れて持ち歩くにも負担になりません。
付属品は、USB Type-Cケーブルと2.4GHz用の超小型USBレシーバー(Nanoレシーバー)のみ。このレシーバーは、本体背面の専用スロットに収納できるので、紛失の心配が最小限に抑えられています。シンプルですが、必要なものは全て揃っているという印象です。
核心はここ! TrackPointの本質的な価値と「慣れ」の真実
このキーボードの最大の目玉は、言うまでもなくトラックポイント(通称:赤ポチ)です。ThinkPadユーザーなら誰もが愛用する、あのポインティングデバイスがそのまま搭載されています。
その最大のメリットは、ホームポジションから手を一切動かさずにカーソル操作が完結することです。文章を書いている最中に少し前の段落を修正したい時、表計算で隣のセルを選択したい時、いちいちマウスに手を伸ばす必要がなくなります。この「手を動かさない」という動作の省略が、積み重なると膨大な時間の節約と、作業の「流れ」を断ち切らない集中を持続させてくれます。
ここで気になるのが、「トラックポイントって難しいんじゃないの?」という点でしょう。これは正直、人によります。ですが、ひとつ確かなのは、「マウスの完全な代替」としてではなく、「マウスを補完するサブデバイス」として捉えると、習得へのハードルはグッと下がるということ。
最初は思うように動かせずイライラするかもしれません。でも、ほんの数日、意識して使い続けるだけで、少しずつコツが掴めてきます。私自身、最初はマウス8割・トラックポイント2割くらいの使い分けでしたが、今では5割5分くらいまでトラックポイントを使う割合が増えました。細かい修正や、ブラウザのタブ切り替えなど、短距離・軽微な操作にこそ、その真価を発揮するのです。
打鍵感の真実:ThinkPad本体と「完全に同じ」か?
多くのレビューが「ThinkPadと同じ打鍵感!」と謳います。これについての私の感想は、「非常に近いが、細かい点で違いを感じる」です。
良い点から言えば、打鍵感は確かにThinkPadらしい、しっかりとしたストロークと明確なフィードバックがあります。一般的な薄型キーボードのようなペチペチした感触ではなく、指に優しい深さがあります。そして何より静かです。オフィスや自宅の書斎、カフェなどで使っても、周囲を気にするレベルの音はほとんど出ません。これは大きなアドバンテージです。
しかし、一点、私が感じた違いは「キーの重さ」です。私が普段メインで使っている最新のThinkPad X1 Carbonと比べると、このTrackPoint Keyboard IIのキーを押し込む際の荷重が、ほんの少しだけ重く感じます。これは好みが分かれるところで、むしろ「しっかり打鍵している」という実感が得られて好きだ、というユーザーも多いようです。
もう一つの大きなポイントは配列です。コンパクトサイズでありながら、Home, End, PgUp, PgDnキーが独立して配置されているのは、文書編集やコーディングをする人にとっては神がかり的なメリットです。Fnキーとの組み合わせ操作がいらないため、ストレスフリーで爆速編集が可能になります。
逆に、ThinkPadユーザーであれば当然ですが、左下の「Ctrl」キーと「Fn」キーの位置が一般的なキーボードと逆になっている点には要注意です。初めての方は誤操作連発必至です(笑)。しかし、一度この配列に慣れてしまうと、むしろこちらの方が合理的だと感じるようになります。
接続性の実力:2.4GHzとBluetooth、結局どっちがいい?
このキーボードは、2.4GHz(付属レシーバー使用)とBluetooth 5.0のデュアルワイヤレスに対応しています。この切り替えは背面の物理スイッチでパチッと行えるので、複数デバイスを使い分けるのに超便利です。
- 2.4GHz接続の強み:とにかく応答が速く、遅延を感じません。ゲームはしませんが、タイピングやカーソル移動のレスポンスは完璧です。また、ペアリング作業が不要で、レシーバーを差せば即認識されるので、会社支給のロックがかかったPCなどでも問題なく使えます。
- Bluetooth接続の強み:USBポートを占有せず、タブレットやスマホとも接続できます。例えば、デスクトップPCを2.4GHzで、私のThinkPadノートをBluetoothで接続し、スイッチ一つで切り替えて使っています。
ただし、一点だけ大きな制約があります。それは、Bluetoothの接続プロファイルが1つしか記憶できないこと。つまり、AというPCとBluetoothペアリングしている状態で、Bというタブレットに切り替えたい場合、Aとのペアリングを解除(または無視)してBと新規ペアリングする必要があります。3台以上のBluetoothデバイスを頻繁に行き来する使い方には、少し面倒に感じるかもしれません。
また、USB Type-Cケーブルは充電専用で、有線でのデータ通信には対応していません。純粋な有線キーボードとして使うことはできませんので、ご注意を。
長く使ってわかった、隠れた長所と正直な弱点
半年間、ほぼ毎日8時間以上使い込んで気づいた、良い点と注意点をお話しします。
まずは、うれしかった長所から:
- バッテリーの持ちは本当に優秀:公称約2ヶ月とされていますが、フル充電から1日8時間使用で、確かに1ヶ月半から2ヶ月は持っています。しかも、15分の充電で約1週間使えるので、切らして焦ることはまずありません。
- マルチデバイス対応がワークフローを変える:物理スイッチで接続先を変えられるので、デスクトップPCで資料を作りながら、隣のThinkPadでメールを確認する、といった並行作業が驚くほどスムーズです。
- 存在感のあるトラックポイントキャップ:最近のThinkPad本体に搭載されるトラックポイントキャップは低めで「押す」操作感ですが、この外付けキーボードのキャップは高めで、より伝統的な「倒す」操作感です。個人的には、こちらの方が微調整が効きやすく好みです。
次に、知っておいてほしい弱点や注意点:
- パームレストがない:これは多くのユーザーが指摘する最大の弱点かもしれません。ノートPCの一体型キーボードと違い、手のひらを置く場所がデスクトルになっています。長時間のタイピングでは、薄いリストレストを別途用意した方が疲れが軽減されます。
- フット(スタンド)は丁寧に扱おう:背面の折りたたみ式フットは、角度調整に便利ですが、その根元部分はやや脆弱です。Amazonなどのユーザーレビューでも「折れた」という報告が散見されます。開閉は優しく行うことをお勧めします。
- FnLockの記憶が怪しい?:Bluetooth接続時など、特定の環境下では、Fnキーとファンクションキーの機能をロックする「FnLock」の状態が、電源を切るたびにリセットされる現象が報告されています。これはファームウェア更新で改善される可能性がありますが、現時点での注意点として挙げておきます。
こんな人にこそ、強くおすすめしたい
総合的に判断して、lenovo trackpoint keyboard iiは、全ての人に万能なキーボードではありません。しかし、以下のいずれかに強く心当たりがある方には、これ以上ないほどの最適解となり、仕事の効率と満足度を確実に押し上げてくれるでしょう。
- ThinkPadのキーボードが好きで、その操作体系をデスクトップ環境でも失いたくない人。
- マウスとキーボードの往復運動を減らし、作業の「流れ」を最大化したい生産性追求者。
- 複数のPCやタブレットを、ワンタッチで切り替えながら操作するマルチデバイスユーザー。
- オフィスや図書館など、静粛性が求められる環境で働くことが多い人。
逆に、「マウスか大型タッチパッドがないと不安」「とにかく安く済ませたい」「バックライトが必須」という方には、他の選択肢を検討されることをお勧めします。
まとめ:ThinkPad TrackPoint Keyboard IIは、選択する価値がある“投資”
値段だけ見ると、確かに安い買い物ではありません。しかし、そのコストは、ThinkPadが長年培ってきた究極の入力体験への「投資」だと私は考えます。
使い始めは少し戸惑うかもしれません。でも、一度トラックポイントの効率性と、ホームポジションから全てが完結する快適さを体感してしまうと、もはや後戻りはできなくなります。それは単なる道具の選択ではなく、作業のための「環境」そのものの最適化です。
もし、あなたが効率とこだわりを両立させたいと思っているなら、このlenovo trackpoint keyboard ii は、間違いなくあなたのデスクを、そしてワークフローを、次のレベルに引き上げてくれる一枚になるはずです。
